大地真央の啖呵に震えた「とと姉ちゃん」43話

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連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第7週「常子、職業婦人になる」第43話 5月23日(月)放送より。 
脚本:西田征史 演出:岡田健


腹巻きバカ(by宗吉〈ピエール瀧〉)鉄郎に逃げられ、呆然と朝を迎えた小橋家の母娘。
そこへ星野武蔵(坂口健太郎)がやってきた。
余談になるが、鉄郎と星野、足したら星野鉄郎・・・有名キャラの名前をふたりに分散させたことに何か意味があるのだろうか。
話戻して、武蔵の意見によって、常子は歯磨きの容れ物を改良することにする。
森田屋一同も手伝って、せっせと新歯磨き作り。
こんなふうに総動員で歯磨き作っていて弁当作りは大丈夫なのかと心配になるが、仕出し屋の注文が減っていると、まつ(秋野暢子)に先週言わせているから、暇になっているのだろう。都合良く出来ている。
何かと都合良く話が進んでも、あまりいやな感じがしないのは、常子が考えて行動しているから。
助けてもらってもいるけれど、頭と体をちゃんと動かしているから、応援したくなる。

ところが、せっかく作った新歯磨きも、借金とりのコワモテの男たち見つけられてしまい、またまたピンチ! と思ったら、青柳滝子(大地真央)が屈強の若い職人を連れてやってきた。
ここもかなり都合いい展開だが、大地真央が「極道の妻たち」みたいにかっこいいから、気にならない。
「深川とけんかする覚悟があるってんなら 受けて立つよ」
この啖呵、さすが真央様。かつて女ねずみ小僧を演じていただけはある気っ風の良さ。借金取りも震えあがる。
「とっとと帰んな!」も決まってた。しびれる。

この時代、深川で材木を扱う老舗は、相当の勢力をもっていたようだ。
深川材木問屋の歴史は江戸時代に遡り、徳川家康が江戸幕府を作り、江戸城の大修築工事がはじまった時、湿地を埋め立てて作った場所が深川で、そこに日本各地から材木業者が集まってきた。水路の運送ができる強みで街が発展していったのだろう。
戦前、深川、材木というと、高倉健主演の「日本侠客伝」(1964年/東映)を思い出す。こちらは材木の運送を請け負う老舗やくざと新興やくざがいがみあうお話。当時の深川の縄張り争いみたいなエピソードも取り入れていったら面白くなりそうだけれど、西田征史は惜しげもなく数分で終了させる。大物だ。
任侠コントみたいなエピソードの次は、チューブが破裂するというドタバタ展開。次から次へと飽きずに楽しませてくれる。
(木俣冬)