恐怖の個性把握テスト「僕のヒーローアカデミア」5話

写真拡大

『週刊少年ジャンプ』連載中、堀越耕平による人気コミックのアニメ化『僕のヒーローアカデミア』。先週放送の第5話「今 僕に出来ることを」から、本格的に学園編がスタート。原作ファンに人気のおっさんキャラも登場したぞ。


No.1ヒーローのオールマイトから超能力の一種である“個性”を受け継いだ少年・緑谷出久(いずく、通称デク)は、ヒーロー養成機関の最難関・雄英高校に無事合格する。ホッとしたのも束の間、入学初日、担任の相澤消太はいきなり“個性把握テスト”を行うことを宣言する。

個性把握テストとは、個性を自由に使ってもいい体力テストのこと。最下位の生徒はなんと除籍処分! 出久の個性“ワン・フォー・オール”は、絶大な威力を発揮するが、使うと腕の骨がバラバラになってしまう諸刃の剣だ。一度個性を使ったら、ほかのテストは受けられなくなってしまう。そもそも身体能力が低い出久は大ピンチ!

苦戦する出久を横目に、クラスメイトたちは次々と大記録を出していく。爆豪勝己はソフトボール投げで爆発を起こしながらボールをぶん投げて705.2m! 麗日お茶子はボールを無重力状態にして記録∞! 

追い詰められた出久はソフトボール投げで個性を使おうと決心するが、個性が発揮できない……! 実は相澤先生は、見るだけで相手の個性を消すことができる抹消ヒーロー、イレイザー・ヘッドだった。相澤先生は出久が個性を制御できないことを見抜いていたのだ。いくら個性の力が強くても、いちいち行動不能になっては意味がない(と相澤先生は考えている)。

「緑谷出久……お前の力じゃヒーローになれないよ」

相澤先生は、出久の個性を戻した上で再びソフトボール投げに向かわせる。玉砕覚悟の全力投球で行動不能になってもダメだし、萎縮して平凡な記録を出しても最下位は確実だ。

「相澤先生の言う通りだ。これまで通りじゃ、ヒーローになんてなれやしない。僕は人より何倍も頑張らないとダメなんだ! だから全力で今、僕に出来ることを!」

“ワン・フォー・オール”を指1本に集中させ、ボールをぶん投げる出久! 記録は……705.3m! 爆豪の記録より10センチだけ上というのがニクい。指は折れちゃったけど(痛い!)、行動不能にはならずに済んだ。逆境を創意工夫で乗り越えた!

オールマイトと相澤先生のヒーロー観の相違


原作を丁寧に、丁寧にアニメ化している感じの『ヒロアカ』。第4話が終わったところで原作の4話分(コミック1巻の半分ぐらい)しか消化していなかったが、第5話では少しテンポアップ。それでも、鍵になるセリフやカットは原作をきっちりと活かしている。

出久たちが所属する1年A組の個性的な面々が少しずつ顔を出してきたが、やっぱり第5話の裏の主役は、相澤先生! 頭ボサボサ、無精ヒゲにうつろな目、ボソボソ喋ってやる気がないように見えるが、何よりも合理的思考を重んじ、生徒には超厳しいクールなおっさんキャラだ。原作者によるキャラ紹介では「部屋に何もなさそう」と書かれていて、どうやら今流行りのミニマリストのようだ。ちょっとスナフキンっぽくもある。

『ジャンプ』誌上で行われた第1回人気キャラクター投票で、個性派クラスメイトたちがひしめく中、さりげなく9位にランクインした相澤先生。『ヒロアカ』の中でも、アダルティーな要素を一手に引き受けている。PIXIVのイラスト件数なら、たぶん『ヒロアカ』でベスト5に入るだろう。

オールマイトは相澤と「ウマが合わないぞ!」と言っているが、それはお互いのヒーロー観の相違に根ざしている。

オールマイトの場合、人を助けるために後先考えず体が動いてしまった出久にヒーローとしての素質を感じ取って、自らの後継者とした。とにかく人を助けるため「自己犠牲の精神」を重んじるのがオールマイトだ(これは原作者の堀越の考え方でもある)。

一方の相澤は、非常に合理的なヒーロー観を持つ。一人を助けても、自分が助けられていては意味がない。ヒーローは困っている人を助け、敵を捕縛し、自分も無事であらねばならない。そのためには現場を見極め、冷静な判断が必要となる。出久がヤケクソで大記録を出しても評価しなかったが、逆境の中、冷静に考えて創意工夫で結果を出したから今後の可能性を見出したのだ。

相澤先生の声を担当しているのは、『テニスの王子様』の跡部景吾役など、クールな役ならおまかせの諏訪部順一。ちなみに諏訪部は昨年ツイッターで、

「『俺ってクール?』って自分で言っちゃうのは、クールはクールでも『寒い』方のクールですよね。そんな看板掲げるより、本質の見極めや精練をせねば」(2015.8.25)

と発言している。気取っていればクールなんじゃなく、本質を掴まなければ役に沿ったクールな表現なんてできないということ。今後の相澤先生の活躍ぶりに期待したい。

そういえば、エンディングテーマ「HEROES」に乗せて駆け続ける出久の服が、中学の制服から雄英高校の制服に変わっていた。そういうの、嫌いじゃないよ!? ヒーローへの道へまた一歩近づいた。

さて、本日放送の第6話は「猛れクソナード」。いよいよ対人戦闘訓練に突入だ! 出久と爆豪が激突するぞ! それではご唱和ください、さらに向こうへ、「Plus Ultra!」。
(大山くまお)