忘れてた!ずっと痛いんだった「ファイアパンチ」3話

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Webマンガ配信サービス少年ジャンプ+にて、「ファイアパンチ」第3話が配信されている。


 “氷の魔女”の力により、世界は雪と飢餓に苦しんでいた。生まれながらに再生能力を持つ少年アグニは、自分の腕を食料にし、村人達や妹に分け与えていた。

しかし、そこに現れたベヘムドルグ兵に“人食い村”のレッテルを張られてしまい、ドマの“朽ちるまで消えない炎”でアグニは、妹も村も全てを失ってしまう。燃焼と再生を8年間繰り返して炎人間になったアグニは、ドマに復讐を誓った。

早く敵を倒せ!アグニは十分に苦しんだ!


この漫画は肉体的にも精神的にも想像を絶する苦しみを味わったアグニの復讐劇だ。ジャンプ漫画とは思えない過激さとグロさもこの作品の特徴になる。食料にする為、妹に頼んで腕を切り落としてもらうシーンや、暖炉に焼べる為に身体を“薪”にされるシーンはとてつもなく衝撃的だった。

そしてもう一つの特徴が、アグニのチート級の強さだ。かつて、こんな序盤からこんなにも負ける姿が想像つかない主人公が居ただろうか?再生能力で防御面は完璧、攻撃面では朽ちるまで消えない炎を持っている。第1話で出てきた何やら強そうな鉄を生み出す能力の奴も一撃だった。どんなに強い敵が来ても負けようがない。

「もうアグニは十分苦しんだよー。その最強の力で早く恨みを晴らしてくれよー」

おそらく読者のほとんどがそう願っていた。強すぎる主人公が一発で敵を倒す瞬間を待ちわびていたはずだ。事実、第1話の圧勝劇は爽快だった。しかし、我々は肝心な事を忘れていることに気付かされる……

アグニはまだ痛かった


第3話は、アグニが奴隷狩りから助けた少年サンに懐かれるところから始まる。いくらアグニが追っ払っても「行く場所がないから。一緒にいると暖かいから」と離れようとしない。

それをベヘムドルグの兵士数人が遠くから監視していた。アグニの事は国でも話題になっており、殺す事が出来たら奴隷が一人貰えるという。しかし、前述の通りアグニは最強の主人公だ。こんな何でもなさそうな奴らにやられるわけがない。

必死についてくるサンに根負けしたアグニは、仕方なく廃墟で一緒に野宿することになる。しかし、サンが眠りについたところで、身体が焼かれる激痛を思い出す。気を紛らすものがなくなり、痛みが増してしまったのだった。

そうだった。再生能力があっても痛みを感じないわけではないのだった。アグニのあまりの強さに完全に忘れていた。

再生能力と言えば、幽☆遊☆白書の戸愚兄は身体をちぎられながらも笑っていた。暗殺教室の殺せんせーも、ドラゴンボールの魔人ぶうも、みんな平気な顔で再生していた。再生能力とはちょっと違うが、アンパンマンもニコニコしながらカバオくんに自分の顔をあげていた。

しかし、彼らはアグニとは違う。妖怪や魔人や超人などの類で、痛覚があるのかさえも疑わしい。彼らのせいで麻痺していたが、アグニはただの人間だったのだ。再生能力があるだけで、超人ではなかったのだ。炎で焼かれ続ける身体はいつだって痛い。

そこへ先ほどの取るに足らないはずのベヘムドルグ兵がアグニの脳天に銃弾を一発。倒れたところにもう一発。第3話は終わってしまう。

今までの俺TUEEEE感は幻だった。そもそも心が折れて再生を止めてしまえば、その瞬間にアグニは死んでしまう。今まで負けるところが想像すら出来なかったが、もうやられそうになっている。

一体アグニはどうなってしまうのか?続きが気になる「ファイアパンチ」第4話は、5月9日少年ジャンプ+で配信。もちろん無料だ。

(沢野奈津夫)