「風立ちぬ」でお馴染みシベリア登場「とと姉ちゃん」21話

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連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第4週「常子、編入試験に挑む」第21話 4月27日(水)放送より。 
脚本:西田征史 演出:岡田健


出たー、シベリア!
森田屋の板前・長谷川(浜野謙太)が食べていたのは、宮崎アニメ「風立ちぬ」(13年)に登場して話題になった、洋菓子と和菓子のハーフみたいなお菓子。
「とと姉ちゃん」4週の時代設定は昭和10年(1935年)頃。ちょうど「風立ちぬ」の主人公たちも、この頃青春期を送っていた。「風立ちぬ」で西島秀俊が声を当てた、主人公の同僚・本庄も劇中、シベリアを食べていたので、ととがシベリア食べている場面もつくってほしかった。そして常子たちは、長谷川(浜野謙太)がシベリアを食べているのを見て、ととを思い出す・・・なんて場面もあればSNS は祭りだっただろうと妄想が止まりません。

21話はこんな話


松と竹のお弁当を間違えて配達してしまった常子(高畑充希)たち。
五八様(しじゅう注文してくれるお客様、要するにお得意様)もなくしてしまったと激怒する宗吉(ピエール瀧)。
でも、松を配達してしまったお客様の中に竹を楽しみにしていたかもしれないからと、常子が謝りに行ったことで、まつ(秋野暢子)に高く評価される。

21話の、どうしたもんじゃろのぉ


森田屋の面面も、心配するほど悪いひとはいなかったようで(平岩紙は目が笑ってなく見えるだけ、ピエール瀧はジャイアンみたい、浜野謙太は単なるドジ)、良かった良かった! だが、せっかく人の善意を描くのなら、しじゅう注文してくれるお客様は1回の失敗で離れたりしないというような善意を描いてほしかった。
主人公周辺は善人で、彼女たちを取り巻く外の世界は悪意に満ちていて(お弁当を間違えてものすごく乱暴に怒っていた)、それにも負けずにがんばって解決していくみたいな構造だと、ややさみしい。かといって、「このドラマには悪人がひとりもいないのです」と(ドヤ顔で)主張するようなドラマがいいわけではなく、できれば、いい塩梅であってほしい。

シベリアを食べていた浜野謙太、朝も夜も大活躍


20話レビューでは、坂口健太郎(星野武蔵役)が朝も夜も大活躍していることを書いたが、浜野謙太も、現在、深夜ドラマにレギュラー出演中だ。
TBSで火曜(こっちも坂口と同じ火曜!)深夜1時28分から放送している(毎日放送だと日曜深夜)「ディアスポリス」で、松田翔太演じる主人公の相棒役を演じている。
朝も夜もさわやかな坂口に比べると、浜野の夜はダーティー。横領して裏社会に逃げ込んだ元エリート銀行員で、整形までして闇に潜んでいる役だ。お弁当の松と竹を間違ったり、シベリア食べたりするのどかな「とと姉ちゃん」とはまるで違う。
ミュージシャンでもある浜野、役者としては大根仁作品によく出ていて、たいていはクセのある役を任されてきた。代表作はやっぱり「モテキ」(10年 テレビ東京)のオム先生だろう。
「とと姉ちゃん」では、「あさが来た」の亀助こと三宅弘城のように、全国区の高齢者の方々やお子様にも愛されてほしい。
なお、「ディアスポリス」は「ディアスポリス-DIRTY YELLOW BOYS-」というタイトルで9月に劇場版が公開される。
(木俣冬)