「給料を待っているだけの人に成長はない」 ビジネスモデル創造の達人が語る“伸びない人”
会社で正社員として働いている人にとって、給料は当たり前に毎月支払われる労働への対価だ。だが、経営者やフリーランスからすれば、「毎月お金が入ってくる」というのは幻想であって、毎月ごとが勝負となる。
『だったら「仕事」やめちゃえばぁ…!?』(合同フォレスト刊)の著者である麻雅八世さんは、大学を自主退学したあとに24歳で渡米、その後カメラマンとして広告代理店やフリーで活躍し、31歳のときに広告・編集制作の会社を起業。さまざまなビジネスモデルを考案、実践し、その後始めた教材販売事業で成功を収めたという異色の経歴の持ち主だ。
そんな麻雅さんの生き方は、限りなく能動的で、限りなく自由なように見えるが、一体どのようなことを考えているのだろうか? お話をうかがった。
(新刊JP編集部)
■「難しいから2ページ読んでやめた」という本にはしたくない
――まず、『だったら「仕事」やめちゃえばぁ…!?』というタイトルが非常に印象的ですね。
麻雅:特にこの「やめちゃえばぁ…!?」の部分ですよね。語尾に「ぁ」を付けた理由は、「提案」を込めたのが一つ、それと「指示」の余韻を残したかったのが一つです。
――このタイトルはご自身でつけられたのですか?
麻雅:「仕事やめちゃえばぁ…!?」は僕が考えました。「だったら」という言葉は実はちょっと違うものだったのですが、お世話になっている出版社の取締役から「だったら」という言葉を使ったらどうだろうと言われまして、しっくりきたので採用しました。
――「だったら」の前に自分で言葉をあてはめられますよね。このタイトルにドキッとする人は多いと思います。
麻雅:まさにそこですね(笑)。
――文体もすごく若々しいです。どのような人に読んでほしいと考えて書かれたのですか?
麻雅:決して若い人だけというわけではなく、20代から40代の仕事をしている方々に。もちろん、50代の方々にも手にとってほしいです。実際に読まれた年配の人から「もっと早く読みたかった!」と言われました。
――問いかけるような文体でとても読みやすかったです。
麻雅:僕自身そういった本が好きですし、今、出版業界で本離れが進んでいる理由に、「本が読みにくい」というものがあると感じているんですよ。いくら良いことが書いてあっても、2ページくらい読んで「これはちょっと読むのがメンドウくさいな」と思われて読まれなかったら意味はないですし。
■「口あけて待っているだけの人に成長はありません」
――この本を通して伝えたかったことはなんですか?
麻雅:「時間を売らないで生きた方がいいよ」ということですね。僕は62歳になるのですが、これまで一度も「就職」をしたことがないんです。大学を退学したあとも、当時大卒の初任給が10万円くらいだった時代に月30万円以上は楽に稼いでいたし、毎日満員電車に乗って通勤している人たちを見て、「何でそんな辛いことをしているんだろう」という素朴な疑問が浮かんでいました。
それを分析していくと、彼らは自分の技術や能力を提供していると思っているけれど、実は多くの人は自分の時間を売って作業しているにすぎないんです。そしてそのまま定年退職となったときに、その後のことを全く考えられなくなって、燃え尽き症候群に陥ってしまう。そうならないための「他人に時間を売らない生き方」があるし、それは少し勉強すればいくらでも見えてくるんです。
――「社畜は奴隷や家畜よりも悲惨」という言葉は突き刺さるものがあります。ただ、社畜であることはすごく楽なことでもあると思います。
麻雅:そうなんですよね。
――社畜の何が問題だと思いますか?
麻雅:自分の会社で、与えられた仕事をこなしていて満足、または生き甲斐となっているならば、それは社畜であっても問題ないんですよ。会社の進むベクトルと自分の生きるベクトルが合致していれば、そこに満足感があるわけですからそれはそれで良いと思います。でも世の中を見ると、ほとんどの人は会社のベクトルとは違う方向にやりたいことがあって、給料のために社畜になっているように思います。それなら、別の生き方はたくさんあるはずなので気付いてほしい。
――それは会社に入って働く以外の稼ぎ方や生き方を知らないということでしょうか。
麻雅:童謡の「ほたるこい」という歌に「あっちのみずは にがいぞ こっちのみずは あまいぞ」という歌詞がありますよね。あの中に出てくるほたるは、「こっちの水は甘い、あっちは苦い」といわれても、その水を実際に両方なめてみないと味が分からないわけです。人間もそれと同じで、自分の場所が苦いのか、甘いのか分からないんです。
一ヶ所に居続けると、苦くても慣れてしまうんですよ。人間は安心と自由を求めるものですが、社畜はとりあえず安全ですし、土日だったり家に帰った後だったりと、わずかながら自由な時間がある。それに慣れてしまうのがすごく怖いことで、だんだんと行動にも起こさなくなるんですよ。
――そこから抜け出せなくなってしまうわけですね。
麻雅:成功するための習慣ってよく語られますけれど、逆に成功しない習慣もあるんですね。それをずっとやっていれば、もちろん成功はしません。習慣は誰がつくるかというと自分の中の潜在意識ですが、その潜在意識が心地よいものを習慣化します。成功しない習慣が心地よいと感じてしまったらますますそれを強化しますから、それは成功から遠ざかるだけですよね。
――麻雅さんから見て、「やりたいことをしている人」はどんな人だと思いますか?
麻雅:僕の周囲にいる人たちですね。経済的な自由があり、時間も自由に使える人たちです。
――経営者の視点から、どのような働き方をしている社員を評価しますか?
麻雅:経営的な思考を持っている社員でしょうか。アイデアが出せる人です。「俺は言われた通り働いているから、給料くれよ」という態度の人はいりません。僕は「もらう」という言葉が嫌いなんですよ。口あけて待っているだけの人に成長は多分ないですから(笑)。それに僕とはベクトルが合いません。ベクトルが合っている人は多分いずれ独立します。そのときは応援しますね。リクルート創業者の江副浩正さんみたいな感じですね。
――そういう人をどのように見分けるのですか?
麻雅:簡単ですよ。一つ質問すればいいんです。「将来やりたいことがありますか?」と。だいたいその場で具体的に答えられる人は2%くらいですね。そういう人は常にその夢を頭の中で描いていますから即答できます。描いていない人の場合、いきなり聞くとその場で作ろうとするのですが、見ていれば口だけだと分かりますよ。
(後編に続く)
『だったら「仕事」やめちゃえばぁ…!?』(合同フォレスト刊)の著者である麻雅八世さんは、大学を自主退学したあとに24歳で渡米、その後カメラマンとして広告代理店やフリーで活躍し、31歳のときに広告・編集制作の会社を起業。さまざまなビジネスモデルを考案、実践し、その後始めた教材販売事業で成功を収めたという異色の経歴の持ち主だ。
(新刊JP編集部)
■「難しいから2ページ読んでやめた」という本にはしたくない
――まず、『だったら「仕事」やめちゃえばぁ…!?』というタイトルが非常に印象的ですね。
麻雅:特にこの「やめちゃえばぁ…!?」の部分ですよね。語尾に「ぁ」を付けた理由は、「提案」を込めたのが一つ、それと「指示」の余韻を残したかったのが一つです。
――このタイトルはご自身でつけられたのですか?
麻雅:「仕事やめちゃえばぁ…!?」は僕が考えました。「だったら」という言葉は実はちょっと違うものだったのですが、お世話になっている出版社の取締役から「だったら」という言葉を使ったらどうだろうと言われまして、しっくりきたので採用しました。
――「だったら」の前に自分で言葉をあてはめられますよね。このタイトルにドキッとする人は多いと思います。
麻雅:まさにそこですね(笑)。
――文体もすごく若々しいです。どのような人に読んでほしいと考えて書かれたのですか?
麻雅:決して若い人だけというわけではなく、20代から40代の仕事をしている方々に。もちろん、50代の方々にも手にとってほしいです。実際に読まれた年配の人から「もっと早く読みたかった!」と言われました。
――問いかけるような文体でとても読みやすかったです。
麻雅:僕自身そういった本が好きですし、今、出版業界で本離れが進んでいる理由に、「本が読みにくい」というものがあると感じているんですよ。いくら良いことが書いてあっても、2ページくらい読んで「これはちょっと読むのがメンドウくさいな」と思われて読まれなかったら意味はないですし。
■「口あけて待っているだけの人に成長はありません」
――この本を通して伝えたかったことはなんですか?
麻雅:「時間を売らないで生きた方がいいよ」ということですね。僕は62歳になるのですが、これまで一度も「就職」をしたことがないんです。大学を退学したあとも、当時大卒の初任給が10万円くらいだった時代に月30万円以上は楽に稼いでいたし、毎日満員電車に乗って通勤している人たちを見て、「何でそんな辛いことをしているんだろう」という素朴な疑問が浮かんでいました。
それを分析していくと、彼らは自分の技術や能力を提供していると思っているけれど、実は多くの人は自分の時間を売って作業しているにすぎないんです。そしてそのまま定年退職となったときに、その後のことを全く考えられなくなって、燃え尽き症候群に陥ってしまう。そうならないための「他人に時間を売らない生き方」があるし、それは少し勉強すればいくらでも見えてくるんです。
――「社畜は奴隷や家畜よりも悲惨」という言葉は突き刺さるものがあります。ただ、社畜であることはすごく楽なことでもあると思います。
麻雅:そうなんですよね。
――社畜の何が問題だと思いますか?
麻雅:自分の会社で、与えられた仕事をこなしていて満足、または生き甲斐となっているならば、それは社畜であっても問題ないんですよ。会社の進むベクトルと自分の生きるベクトルが合致していれば、そこに満足感があるわけですからそれはそれで良いと思います。でも世の中を見ると、ほとんどの人は会社のベクトルとは違う方向にやりたいことがあって、給料のために社畜になっているように思います。それなら、別の生き方はたくさんあるはずなので気付いてほしい。
――それは会社に入って働く以外の稼ぎ方や生き方を知らないということでしょうか。
麻雅:童謡の「ほたるこい」という歌に「あっちのみずは にがいぞ こっちのみずは あまいぞ」という歌詞がありますよね。あの中に出てくるほたるは、「こっちの水は甘い、あっちは苦い」といわれても、その水を実際に両方なめてみないと味が分からないわけです。人間もそれと同じで、自分の場所が苦いのか、甘いのか分からないんです。
一ヶ所に居続けると、苦くても慣れてしまうんですよ。人間は安心と自由を求めるものですが、社畜はとりあえず安全ですし、土日だったり家に帰った後だったりと、わずかながら自由な時間がある。それに慣れてしまうのがすごく怖いことで、だんだんと行動にも起こさなくなるんですよ。
――そこから抜け出せなくなってしまうわけですね。
麻雅:成功するための習慣ってよく語られますけれど、逆に成功しない習慣もあるんですね。それをずっとやっていれば、もちろん成功はしません。習慣は誰がつくるかというと自分の中の潜在意識ですが、その潜在意識が心地よいものを習慣化します。成功しない習慣が心地よいと感じてしまったらますますそれを強化しますから、それは成功から遠ざかるだけですよね。
――麻雅さんから見て、「やりたいことをしている人」はどんな人だと思いますか?
麻雅:僕の周囲にいる人たちですね。経済的な自由があり、時間も自由に使える人たちです。
――経営者の視点から、どのような働き方をしている社員を評価しますか?
麻雅:経営的な思考を持っている社員でしょうか。アイデアが出せる人です。「俺は言われた通り働いているから、給料くれよ」という態度の人はいりません。僕は「もらう」という言葉が嫌いなんですよ。口あけて待っているだけの人に成長は多分ないですから(笑)。それに僕とはベクトルが合いません。ベクトルが合っている人は多分いずれ独立します。そのときは応援しますね。リクルート創業者の江副浩正さんみたいな感じですね。
――そういう人をどのように見分けるのですか?
麻雅:簡単ですよ。一つ質問すればいいんです。「将来やりたいことがありますか?」と。だいたいその場で具体的に答えられる人は2%くらいですね。そういう人は常にその夢を頭の中で描いていますから即答できます。描いていない人の場合、いきなり聞くとその場で作ろうとするのですが、見ていれば口だけだと分かりますよ。
(後編に続く)