篠原ともえ、深田恭子らの共演ドラマ 最終回を阻んだ″酒鬼薔薇″

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たまごっち、ポケモン、ハイパーヨーヨー、「もののけ姫」が流行した1997年、当時の旬のアイドルたちが勢ぞろいし、スパイ大作戦ばりのアクションを演じるドラマが放映されていたことを覚えているでしょうか? 
日本テレビ系で放送された『FiVE』(土曜9:00〜)は、ともさかりえ・鈴木紗理奈・篠原ともえ・遠藤久美子・知念里奈・榎本加奈子といった面々が謎の犯罪組織と戦う姿を描く、全11話のドラマでした。

ともさか、シノラー、深キョンまで……当時の人気アイドルが“汚れ役”で共演


それぞれの事情から殺人などの犯罪に手を染めたナナカ(鈴木紗理奈)、カヨ(篠原ともえ)、イヅミ(遠藤久美子)、マドカ(知念里奈)、エリ(榎本加奈子)の5人は、服役していた女子刑務所から脱獄。突然現れた謎の男、ヨドバシ(唐渡亮)に助けられ、彼のもとでスパイとして働くことを強要されます。
敵として現れたアサミ(ともさかりえ)も仲間に加わり、少女たちはそれぞれの特殊スキルを活かして巨悪に戦いを挑む……というのが『FiVE』のあらすじ。唐渡亮の「新人」というクレジット表記や、またその妹役として当時中学3年生の深田恭子が女優デビューしていたりすることも見逃せません。

「♪裸の太陽〜」MOON CHILDによる主題歌もヒット


主題歌はMOON CHILDの『ESCAPE』。ドラマ放送開始後の5月28日に発売され、ドラマ後半の盛り上がりと歩調を合わせるように、登場3週目の6月23日付ランキングでオリコンシングルチャート1位を獲得しました。MOON CHILDのシングルとしては今のところ唯一のオリコン1位曲です。

メンバーがどんどん死んでゆく! 過激な設定でDVD化されず?


事務所の枠を超えた人気アイドルの共演は今見てもなかなか豪華ですが、ほぼ全員が殺人犯、そしていじめや虐待などの暗い過去を抱えている設定はなかなか衝撃的。第2話でさっそくエリ(榎本加奈子)が死亡。ドラマ終盤ではどんどんメンバーが減ってゆき、最後はメインキャストほとんど死んでしまうというセンセーショナルな展開も話題となりました。
しかし過激なストーリーがあだとなったか、放送直後にいちどVHSで発売された以外は、今日に至るまでDVD・ブルーレイ化が実現していないばかりか、再放送もされていません。

平均視聴率16.0% 健闘した『FiVE』


たびたび野球中継の延長による放送時間変更の影響を受けながら、『FiVE』は平均視聴率16.0%(関東地区)と健闘しました。最高視聴率は第4話の18.8%。同じ「土曜グランド劇場」枠の『家なき子』(1994年・最高視聴率37.2%)、『金田一少年の事件簿』(1995年、最高視聴率29.9%)などに比べると見劣りしますが、それでもラスト前の第10話では17.2%を獲得し、視聴率も上昇傾向に。
6月28日の最終回では、現実世界で7月1日に予定されていた香港返還にあわせ、生き残ったFiVEのメンバーが香港マネーを巡って悪の黒幕と最後の戦いに臨む、というストーリーが予定されていました。

最終回の視聴率が大幅に下がった意外な理由


ところが最終回放送当日、思わぬ事態が発生します。この日の午後7時過ぎ、各局は神戸連続児童殺傷事件の犯人、自称・酒鬼薔薇聖斗の逮捕を一斉に速報します。各局は午後9時から報道特番を放送しましたが、日本テレビ系では『FiVE』最終回をそのまま放送。視聴率は13.4%と大幅に下落してしまいました。
実際の数字以上に、現実世界で発生した事件のインパクトが、ドラマを吹き飛ばしてしまったのです。

アイドル版「スパイ大作戦」を目指した『FiVE』。振り返るとシリアスな劇中にも関わらず、“シノラー”全盛期の篠原ともえが「ぐふふぅ〜」のキャラを強いられていたり、香港マフィアのボス役に、なぜか写真家の加納典明が起用されていたりといったアレなポイントも多数。
とはいえ、スピーディな展開がツッコミどころを忘れさせてくれます。それにしてもこの「土曜グランド劇場」の枠って、『家なき子』しかり、『君といた未来のために 〜I'll be back〜』、『伝説の教師』、『女王の教室』しかり……DVD化や再放送が難しい作品が多いですね。
(DJGB)