スタートアップ向け販売サービス『DMM.make SELECTION』開始、大型電動バイクzec00など6製品を販売

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DMMは、ハードウェアスタートアップ製品の販売と流通を行う新サービス『DMM.make SLEECTION』を開始します。DMMは従来よりDMM.makeをはじめとするハードウェアスタートアップ向けのサービスを行っていましたが、今回のサービスで流通や販売までをカバーすることになります。

8月27日に開催された発表会では、同時に第一弾として6製品を紹介。ゼクウ・モーターズの大型電動バイク『zec00』(タイトル写真)や、Miselu inc.のiOS機用MIDIキーボード『C.24』などが展示されました。

このサービスは、DMMが.makeなどで実施してきた、ハードウェアスタートアップ企業への支援をさらに広げるもの。DMM側は「(従来のサービスに加え)さらにその先のステージにフォーカスし、ハードウェアスタートアップ製品の販売/流通を最大化させる取り組みを行います」とアピールしています。

具体的な取り組みとして中心となるのは、同社の直販サイト(後述)での販売や、DMMが設置している世界各国の物流や販売の拠点となる法人を通した販売支援。さらに大きな製造リスクを負えない企業に向けた受注販売での対応や、さらに一般販売店での流通に向けた販売戦略についての相談といったサポートも行います。
このあたり、いわゆる販売代理店的なサポートは一通り行える体制と考えてよいようです。

なお、販売拠点に関しては、現在公開できる範囲ではサンフランシスコとベルリン。そのほかにも非公開での販売拠点がいくつかあるとのこと。さらに利益が見込めるようなところがあれば今後も拡大する、と発表しています。

DMM.make SELECTIONの製品群の購入は、DMM.make全般の製品を取り扱う直販サイト『DMM.make STORE』から可能です。同ストアは8月頭に開設されたサイトで、DMM.make発の家電ブランドであるUPQ(アップ・キュー)製品などの販売も行っています。UPQに関しては下記の記事を参照ください。

秋葉原発の新興家電ブランドUPQ発足:4Kモニタや充電スーツケース、SIMフリースマホなど24製品

今回SELECTION第一弾製品として展示されたラインナップは6製品。このうち最も注目を集めていたのが、ゼクウ・モーターズの大型電動バイク『zec00』です。受注販売扱いで、既に注文を受付中。価格は税込で959万400円(税抜で888万円)。運転に際しての免許は、普通自動二輪でOKです。

組み立てはハンドメイド。外観上からも目立つ、タイヤを保持する前後のスイングアームは、アルミ合金板を溶接して仕上げられたもの。その他多くの部品もアルミ合金ブロックからの削り出しによって作られており、贅沢かつ剛性と信頼性に優れたコンストラクションです。

モーターの最大出力は50kW、最大トルク144Nmと高トルク。車体重量は280kgですが、最高速度は160km/hと高速です。バッテリーは11.4kWh容量のリチウムイオンタイプ。充電時間は100V電源で8時間、200Vでは4時間。満充電からの航続距離は160kmをキープします。

米国Miselu inc.のiOS機用MIDIキーボード『C.24 KEYBOARD』は、Bluetooth 4.0 LE接続のiOS機用MIDIキーボード。こちらも販売中で、価格は2万4800円。昨年12月からソフトバンクでも販売されていた同名モデルと同じ仕様で、販路が広がった形となります。

折りたたみ式ながらタッチ感良好、さらにベロシティにも対応する鍵盤と、折りたたんだ状態ではiPad(第二世代から第四世代)用のカバーとしても使える構造が魅力。複数を連動させての鍵盤数増設にも対応します。開いた状態での本体サイズは242×201.3×28.5mm(幅×奥行き×厚さ)、重量は552グラム。

ユニークな展示で注目を集めていた個性派が、ZaaZのアロマディフューザー『ZaaZ 3』です。受注販売中で、価格は9万8000円。一台で最大50坪(150平方メートル)まで香りを拡散可能な、主に業務用をターゲットにしたモデルで、公式紹介にも「プロモーションやイベントなどで匂いを使った空間演出をする際に使うマシンです」との紹介があります。

本体は直径64×高さ280mmとコンパクトで、色はアルミ素材を活かしたシルバーとなっており、いい意味で目立ちません。

注目を集めていた理由は、Energyと名付けられたアロマの製品名と、その香りです。「1872年にテキサスで髭の男が淹れたブラックコーヒーの匂い」「切り出したばかりの木の匂い」にはじまり、「少年に呼びとめられたお姫様が立ち止まり、振りむいた瞬間の匂い」といったちょっと心がときめくようなものも。ちなみにお姫様〜はバラ系の香りでした。

さらに別室では、「バスタオルを巻いたお風呂上がりの女の子の匂い」と「昼下がりに自由が丘のカフェで食べるふんわりしたトーストの匂い」というEnregyのデモも実施。それぞれイメージの元となったパネル展示なども行われました。

ちなみに前者は女性向け石けんを中心とした香りで、後者は高価なクロワッサンなどが放つ、焼きたてパンのバター的な香り。とくに後者の完成度は高く、かの井之頭五郎さんでなくてもお腹が減ってくるような、見事な香りです。

またSTORE経由でEnergy、つまり香りのオーダーメイド受注を受けるという、ユニークなサービスも開始しています。

これに加え、「光でつながるスマホアクセサリー」ことvinchu Inc.のAYATORI(販売中、3127円)も販売を開始。
これは専用のiOS機アプリ『AYATORI MATCH』と連携して使う鳥形ランプ。アプリに自分の趣味を登録し、同じ趣味を登録している人とすれ違うと光り出して教えてくれる、というイベント向けの製品です。

さらに9月には、アイツーアイ技研による超小型3Dプリンター『Moo-del nano』が6万5000円前後で発売予定。さらに近日中には、DMM.make AKIBAのワークショップで生まれたタッチセンサー式MIDIキーボードなども販売が開始されます(価格未定)。

このように個性的な製品を擁し、さらに速い製品では即日販売を開始するという点からは、DMM側の本気度が伝わってきます。さらにハードウェアメーカーからの問い合わせは常に募集する体制となっているとのアピールもされたことから、今後も製品展開にも期待できそうです。

今回のDMMの取り組みは、これまでのハードウェアスタートアップが陥りがちなパターンであった「クラウドファンディングで制作が決定したものの、そのあとの販売展開で失速してしまう」といった落とし穴を避けるためのサポートとして、一定以上の効果を発揮しそうにも思えます。

Engadget読者にとっても、面白いガジェットの増加に繋がる取り組みという視点などから、おおいに注目できる動きと呼べるのではないでしょうか。