二刀流芸人「厚切りジェイソン」、約1億円の資産家に 勤務会社が東証マザーズに上場、株価暴騰
東証マザーズ市場に新規株式公開(IPO)したクラウドシステムの導入支援企業、TerraSky(テラスカイ)が上場2日目の2015年5月1日午後、ようやく初値を付けた。
公開価格の1700円の4.5倍となる7650円。その後も買いが殺到し、高値で9150円を付けた。初日は買い気配のまま取引が成立しなかった。
1万1380株のテラスカイ株を保有する
じつはITベンチャー企業のテラスカイは、漢字をネタにした「切れキャラ」で人気急上昇中の異国のお笑い芸人、「厚切りジェイソン」こと、ジェイソン・デイヴィット・ダニエルソンさんがグローバルアライアンス部長を務める会社だ。しかも、テラスカイ株を1万1380株(7380株のストックオプション分を含む)保有する、大株主の一人でもある。
公表している「新規上場申請のための有価証券報告書」によると、筆頭株主は代表取締役社長の佐藤秀哉氏が52.47%を保有。以下、NTTソフトウェア、サーバーワークス、みずほキャピタル、セールスフォース・ドットコムが大株主に名を連ねるが、そんな中にジェイソンさんもいる。
テラスカイ株が高値で9150円、公開価格の5倍超と暴騰したことで、1万株超を保有するジェイソンさんもいきなり1億円超の資産家になったことになる。
もっとも、ストックオプション分はすぐには売却できないし、あくまで保有株をすべて売ったらの話ではあるが。
ちなみに、テラスカイの株主に名を連ねている個人の多くは同社の社員。「マネージャーや社歴の長い社員にストックオプションを付与しています」と話している。
厚切りジェイソンさんは上場当日の2015年4月30日、ツイッターで、
「本日は弊社の上場セレモニーにて東京証券取引所に来ております」
とのコメントを、株価ボードの前にキリッとしたスーツ姿の、自撮りと思われる写真とともに公開していた。
インターネットには、
「Why!! japanese people!!の人かwww」
「鐘ついたの」
「ついこの間お笑いに出てた人が『弊社の上場セレモニーで』とか言ってるのが面白い」
「ネタよりもこの落差のほうが面白いんだけどwww」
といった声が寄せられている。
そもそも、ジェイソンさんの名前が売れはじめたのは、ピン芸人の日本一を決めるフジテレビ系お笑い番組「R‐1ぐらんぷり2015」の決勝戦(2月10日放送)に進出したこと。「芸歴4か月」(当時)のスピード出世の、異色の外国人として話題になった。
勤めているテラスカイが東証マザーズに上場したことで、お笑いだけでなく、ITベンチャー企業で部長を務める「エリート」という一面にも興味が湧いた人は少なくないようだ。
ジェイソンさんにITベンチャー企業のエリート部長の素顔
厚切りジェイソンさんは、米国出身の来日5年目。学歴はピカピカで、17歳で飛び級入学したミシガン州立大学でコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校大学院に進んだ。日本語は独学で、好きな「お笑い」を見ながら学んだそうだ。
一方、ジェイソンさんが勤めるテラスカイは2006年3月の設立。10年にNTTソフトウェア、14年には米国のセールスフォース・ドットコムと資本提携。顧客関係管理(CRM)ソフトで世界最大の「Salesforce(セールスフォース)」に特化したクラウドシステムの導入支援、コンサルティング、システム構築などで急成長した。
Salesforceの導入実績では、富士通ゼネラルや小田急バス、昭和シェル石油など1700社以上(2015年3月23日時点)。また、画面開発プラットフォームの「SkyVisualEditor」なども取り扱う。
2016年2月期の業績(連結ベース)は、売上高が前期比41%増の23億400万円、営業利益が20%増の1億9200万円を見込んでいる。
同社は、今回の上場に伴う公募増資によって3億3000万円を調達する見込みで、事業拡大に向けた人材の採用など人件費に充てる予定という。