『小さな世界はワンダーランド』ナレーション:斎藤工、監督・脚本・製作:マーク・ブラウンロウ『プラネットアース』、脚本・製作:マイケル・ガントン『ライフ ―いのちをつなぐ物語―』、配給:ギャガ。5月9日(土)TOHOシネマズ 新宿ほか全国順次公開(C)BBC 2014

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自分の10倍、100倍、1000倍以上も大きさの生物が周囲を歩きまわり、ボーっと食事をしていると、空から舞い降りる巨大生物に食べられてしまう。雨が降ると瞬く間に大洪水が起こり、一瞬で流される……。何だか『進撃の巨人』以上に恐ろしい話だが、そんな現実がこの世の中には実在する。それは、小動物たちの生きる世界だ。

……なんて言葉で説明されてもピンと来ない人が多いと思うが、その驚きの世界の様子を映像として楽しむことができるのが、5月9日から公開になる映画『小さな世界はワンダーランド』だ。

この作品は、ネイチャー・ドキュメンタリー界の世界最高峰ブランド・BBCアースが、あのピクサー・スタジオの協力のもと製作したもの。主役を務めるのは、神秘的な原生林に生きるシマリス(15cm)と、見渡す限り空っぽな砂漠で暮らすスコーピオンマウス(8cm)だ。

そんな小さな動物たちが、超高感度カメラなどで撮影された超鮮明&大迫力の映像で、巨大なスクリーンにドドーン! と現れる。もうそれだけでニヤニヤが止まらないほど可愛らしくて楽しいのだが、彼らの視点から描かれる“小さな世界”はとにかく驚きの連続だ。

まずシマリスは、冬眠までに100個のドングリを集めないと生き残ることができない。そのため必死にドングリを集めるのだが、そう簡単に事は進まない。

森のなかには体重500kgのヘラジカなど、シマリスから見ると恐竜のように巨大な生き物がウヨウヨといる。「うんしょ、うんしょ」とドングリをほっぺに詰めているシマリスの背後から、アメリカワシミミズクが襲いかかる場面は「シマリス、後ろ!」と思わず叫びたくなる恐ろしさだ。

しかも、集めたドングリを意外な相手にゴッソリ盗まれることもある。見た目は可愛らしいシマリスだが、この森のなかでは“毎日が生命の危機”とも言えるスゴい生活を送っているのである。

一方のスコーピオンマウスにも、ガラガラヘビなど多数の外敵がいる。大雨が生み出した水の流れも、彼らにとっては聖書の大洪水のような恐ろしさだ。また餌とする猛毒サソリとの闘いでは驚きの身体能力と反射神経を披露。その生死をかけた闘いは、総合格闘技にも勝る大迫力だ。

そして本作は、そんな自然の世界の厳しさを伝えつつも、“ピクサー・スタジオが協力”という点から想像できるように、全体としてはハートウォーミングな物語に仕上がっている。ちなみにナレーションを務めるのは、今をときめく斎藤工。小さな主役たちがどのような成長を遂げ、この世界を生き抜いていくかは、作品を見て確認を。
(古澤誠一郎)