【辺野古移設】沖縄・翁長知事と鳩山由紀夫元首相の「反日ぶり」を問う
【朝倉秀雄の永田町炎上】
4月17日、首相官邸において安倍晋三首相と翁長雄志沖縄県知事の会談がもたれた。これは翁長知事の就任後初めての会談となる。
米軍普天間飛行場返還問題について、安倍首相が「辺野古への移転が唯一の解決策」と新基地建設を進める考えを示す一方で、翁長知事は「沖縄の民意」を盾に改めて建設に反対する考えを強調。報道によれば、両氏の会談は約35分間で、冒頭の約6分間が報道陣に公開され、以降は非公開となった。
双方の主張が対立したまま公開が打ち切られたが、会談後に翁長知事は「(安倍首相とは)交わることはありませんでしたが、これからも会談する必要性はある」と述べたといい、意見交換は平行線のままで終わったとみられる。この後、何度対話の機会をもったとしても、互いに結論ありきの立場なのだから妥協点を見出すことなど不可能であろう。
泥仕合になった国と沖縄県の対立「世界一危険」と言われる普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題について、3月23日には翁長知事が、ボーリング調査などの移設関連作業を1週間以内に停止するよう沖縄防衛局に指示し、もし従わない場合は埋め立てに必要な岩礁破砕許可を取り消す意向を表明した。
同24日、国(沖縄防衛局)側が行政不服審査法に基づき、翁長知事の作業停止指示は「無効」だとして知事の上級庁である農水大臣に審査請求と併せて指示の効力を一時的に止める「執行停止」を申し立てていたが、30日、林大臣が「執行停止」の決定を下したことで、国と沖縄県の対立はまさに「泥仕合」の様相を呈してきた。
翁長雄志知事はこの問題に絡み、駐日米大使のキャロライン・ケネディ氏との会談を申し入れていたが、これに対し、米大使館側が難色を示していることが19日の報道で明らかになった。
外交は国の専権事項である。それにもかかわらず、翁長知事はこの件だけでなく、渡米して米国政府高官と直接交渉に及ぼうとするなど、一地方公共団体の長として逸脱している。
いたずらに普天間問題をこじらせた鳩山元総理ところで、そもそも普天間問題をここまでこじらせたのは、“宇宙人”こと鳩山由紀夫元総理が2009(平成21)年に、具体的な代替地のアテもないのに「最低でも県外の方向で」と口走ったことにある。これには米国が「機密漏洩だ」と猛批判。ワシントン・ポストのコラムには「ルーピー(間抜け)な日本の総理」などと書かれる始末だった。
「世界一危険」と言われる普天間飛行場を名護市辺野古に移設することで落ち着くまでには、1996(平成8)年に橋本龍太郎総理(当時)とクリントン米大統領(同)との首脳会談で日米両政府が返還で合意、1999(平成11)年には沖縄県が移設候補地として名護市辺野古に決定したという経緯がある。案の定、鳩山氏は2010(平成22年)5月に県外移設を断念し、前言を翻す。結局、一度は決着が着いた話を蒸し返し、事態をややこしくしただけであった。
尖閣諸島問題やロシアのクリミア併合でも「妄言」鳩山氏の「ルーピー」ぶりは議員を辞めても、いっこうに変わらないようだ。
つい最近も、外務省の再三にわたる「自重要請」を無視してウクライナ南部のクリミア半島を訪問。3月11日の記者会見で、ロシアがクリミア編入の根拠とした昨年(2014年)3月の住民投票について「ウクライナの法律に従い、平和的かつ民主的に行なわれた。軍事的影響はなかった。現地住民の意思によるものだ」などと嘯き、“無法国家”ロシアの肩を持った。
日本政府はあくまで「住民投票はウクライナの憲法に違反し、法的効力はない」との立場だから、鳩山氏は元総理でありながら日本の方針に真っ向から盾を突いたことになる。
菅官房長官は同日の記者会見で「政府の立場に著しく反する。首相まで経験した政治家として、あまりにも軽率で極めて遺憾だ」と怒り心頭。古巣である民主党の岡田代表も、3月23日の記者会見で「元首相なので、あってはならないことだ。自らの責任の重さと立場をよく考えてもらいたい」と、すっかり愛想を尽かした格好だ。
鳩山氏は2013(平成25)年6月にも、日本政府が「尖閣諸島には領土問題は存在しない」との立場なのにもかかわらず香港のフェニックステレビのインタビューで「尖閣諸島は中国側からすれば盗んだという主張はあり得るだろう」などと宣っているが、単に「舌禍」というのではなく「確信犯」なのだからタチが悪い。
識者のなかには、「もし日本に『国家反逆罪』があれば、鳩山などは間違いなく逮捕、訴追されるべきだ」と主張する者もいるが、筆者も同感だ。
翁長沖縄県知事は国益を考えていないそんな鳩山氏に負けず劣らず、「沖縄の民意」と称し、日本の安全保障などいっさい顧みずに国益を著しく害する「謀叛人」が翁長沖縄県知事だ。
言うまでもないが、菅官房長官が繰り返し主張するように日本は法治国家である、行政には「継続性」が求められる。前任の仲井眞弘多知事が「個人」としてではなく、「沖縄県の意思」として埋め立てを承認し、岩礁破壊許可を与えた以上、たとえ知事が代わっても、むやみやたらに撤回はできない。
もしそれを許せば、法治的安定性は著しく害され、許可を得た者は安心して事業に取り掛かれないし、沖縄県の言うことなど誰も信じなくなってしまうだろう。
ましてや、後任の知事が前任者の手続きの瑕疵を検証する「アラ探し」をするなど、同じ沖縄県の知事として常軌を逸している。その意味で「一度出した許可は取り消せない。前知事の許可は有効だ」との政府側の主張のほうが理に適っており、翁長知事は行政の仕組みをまったく解っていないということになる。
米国との約束を反故にすれば日本は危うい日本の安全はひとえに米軍に委ねられている。それに基地というのは、どこにあってもいいというものではなく、軍事上の要地でなければ抑止力は働かない。
特に、不埒にも力による地域秩序の変更を企てて東シナ海や南シナ海に野心を露わにしている中国に近く、日中の係争の火種になっている尖閣諸島が帰属する沖縄県に精鋭の米海兵隊が駐留する戦略上の意味は大きい。
それに、辺野古移設は「国と国との約束」であり、沖縄県民の反対のような国内事情に左右されるようなことがあってはならない。
もし約束を反故にすれば、日本は米国の信頼を失い、日米安全保障条約を基軸とする日本の安全保障政策は成り立たなくなってしまう。
そもそも、観光以外にさしたる産業もない沖縄県民の生活が成り立つのは、ひとえに米軍基地と政府の「沖縄振興予算」の恩恵による部分も大きい。翁長知事も、「負の部分」のみを主張して移設反対派を煽り、日本の安全保障を危うくするような「謀叛人」的な姿勢は厳に謹んで、もっと愛国心をもってもらいたいものだ。
いずれにせよ、いまの翁長知事は鳩山氏以上に「反日的」すぎる。
(Photo by Jerry Morrison via Wikimedia Commons)
朝倉秀雄(あさくらひでお)ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。現職を退いた現在も永田町との太いパイプを活かして、取材・執筆活動を行っている。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』『日本はアメリカとどう関わってきたか?』(以上、彩図社)など。最新刊『平成闇の権力 政財界事件簿』(イースト・プレス)が好評発売中