11月25日から2日間、千葉市の幕張メッセで開催された体験会で展示された「Wii」本体(撮影:東雲吾衣)

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任天堂<7974>は2日、次世代ゲーム機「Wii(ウィー)」の発売を開始する。11月11日に発売されたソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション3(PS3)」、昨年12月発売の米マイクロソフトの「Xbox360」両機に続き、大手3社による次世代ゲーム機3機種がついに出揃う。

 「Wii」は、リモコンを振ったりひねったりするだけで、それに合わせてゲームを楽しめる据え置き型ゲーム機。「PS3」や「Xbox360」は明るく精細な映像をウリにしているが、「Wii」は「誰でも遊べる直感操作」を前面に押し出すことでほかのゲーム機と一線を画している。価格は2万5000円(希望小売り価格)と、「PS3」廉価版の半額ほどの値段。インターネットと常時接続できたり、過去のゲーム機のソフトを有料で手に入れることができる。

 「こんなゲームは初めてなので新鮮で楽しかった。できれば当日に買いたい」――。11月25日から2日間、千葉市の幕張メッセで開催された「Wii」体験会で、栃木県から来たという高校生(18)は興奮気味にこう話した。大阪と名古屋でも同様の体験会が開かれており、6万人が足を運んだ。最大3時間待ちのゲームにも次々と人が集まる様子からも、来場者の期待の高さがうかがえる。

 「Wii」の初期出荷台数は国内で40万台弱。年内に約100万台の販売を見込む。ネット通販のアマゾン・ジャパンは複数回に分けて先行予約を行い、早い回では2分で販売予定台数に達したという。また、11月19日に世界に先駆け発売された米国では、発売から8日間で60万台を販売、ゲームソフトや周辺機器を含めると売り上げは1億9000万ドル(約220億円)に上り、人気の高さを印象づけた。

 一方、「Wii」に先駆けて年末商戦に殴り込みをかけた「PS3」は、プラットフォーム(ソフトを動作させる基盤)の拡大に躍起だ。11月21日には、「プレイステーション・ポータブル」(PSP)のシステムを更新し、「PS3」と「PSP」の連携機能を強化すると発表。これにより、利用者拡大を図りたい考えだが、現在「PS3」は、基幹部品の調達の遅れにより供給がうまく進まず、大手家電量販店でも次回の入荷の見込みが立たない状態だ。

 また、「互換性がある」と説明していた前世代機向けのソフトの一部で不具合が発生するなど、利用者を混乱させかねない問題も発生している。

 発売当初のソフトの種類は、「Wii」は16タイトルだが、「PS3」はその約3分の1の5タイトル。一般的に、ゲームの魅力は「ソフトのラインアップ」が大きなカギを握ると言われているだけに、各社が今後、どのようにソフトを拡充させていくかも注目される。

 「Xbox360」は発売後1年弱の今年10月までに、全世界で600万台を販売した。任天堂「Wii」は年内に全世界で400万台、SCE「PS3」は日米2カ国で200万台を目指す。3社がしのぎを削る次世代ゲーム機の戦いに注目が集まりそうだ。【了】

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