“打倒”カップヌードルで協業へ
日清食品<2897>の安藤宏基社長と明星食品<2900>の永野博信社長は15日、東京都千代田区の帝国ホテルで共同記者会見を開き、多種多様なめん類を総合的に扱う連合体を目指した資本・業務提携の締結に合意した、と正式に発表した。
日清は16日から12月14日までの29日間で明星株のTOB(公開買い付け)を行う。発行済み株式の33.4%以上の取得を目標としているが、それを超える応募があった場合はその全部を買い付ける。1株あたりの買い付け価格は米系投資ファンド、スティール・パートナーズが行うTOBの700円を上回る870円で、取得額は最大で約370億円に達する見通し。明星は日清側のTOBに賛同したため、スティール側の敵対色が鮮明となった。
また、業界首位の日清と同4位の明星が手を結んだことで、1兆4000億円規模とされる国内めん市場(外食除く)で22.9%を占める巨大グループが誕生することになる。業務提携では当面、小麦、タマゴ、エビ、ネギなど原材料の共同調達でコスト削減を図ると同時に、定評のある明星の製めん技術を生かした共同開発、世界に14の販売網、26工場を抱える日清のビジネス拠点を足がかりとした国際競争力強化など両社の強みを相互に共有していくことでシナジーを追求する。
「消費者の利益の最大化のために、これまで通りライバルとして競い合うこともいとわない」(永野社長)としており、明星の『チャルメラ』『中華三昧』、日清の『チキンラーメン』『出前一丁』など長い歴史を持つ両社の看板ブランドについては現状を維持する方針だ。
明星の永野社長は、提携先に日清を選んだ理由を「当社の経営方針、効率化の取り組みを高く評価し、グローバル展開でも確固たる実績を持つ日清食品こそが長期的なパートナーシップを構築できる相手として最もふさわしいと判断した」とし、自ら日清側に提携を持ちかけたと説明。提携のテーマを「協業と競争」と掲げ、日清のTOB成立後も永野社長を中心とする現経営体制を継続する意向を示した。
一方、安藤・日清社長は「カップヌードルを1971年に安藤百福会長(創業者)が開発して以来、それを上回るカップ麺を作れというのが日清の社内標語。明星もカップヌードルに対抗した商品を持っており、この提携は『打倒カップヌードル』ということで大いに結構」と話し、協業を歓迎した。両社の経営統合の可能性については否定した。
また、永野社長は、筆頭株主のスティールがTOBに踏み切る前にMBO(経営陣による自社買収)を迫ってきたことも明かし、「経営施策について真摯な対話を行ってきたと認識していたが、今回スティールが行うTOBは企業価値を高めることにはならないと判断せざるを得ず、誠に残念」と語った。【了】
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日清は16日から12月14日までの29日間で明星株のTOB(公開買い付け)を行う。発行済み株式の33.4%以上の取得を目標としているが、それを超える応募があった場合はその全部を買い付ける。1株あたりの買い付け価格は米系投資ファンド、スティール・パートナーズが行うTOBの700円を上回る870円で、取得額は最大で約370億円に達する見通し。明星は日清側のTOBに賛同したため、スティール側の敵対色が鮮明となった。
「消費者の利益の最大化のために、これまで通りライバルとして競い合うこともいとわない」(永野社長)としており、明星の『チャルメラ』『中華三昧』、日清の『チキンラーメン』『出前一丁』など長い歴史を持つ両社の看板ブランドについては現状を維持する方針だ。
明星の永野社長は、提携先に日清を選んだ理由を「当社の経営方針、効率化の取り組みを高く評価し、グローバル展開でも確固たる実績を持つ日清食品こそが長期的なパートナーシップを構築できる相手として最もふさわしいと判断した」とし、自ら日清側に提携を持ちかけたと説明。提携のテーマを「協業と競争」と掲げ、日清のTOB成立後も永野社長を中心とする現経営体制を継続する意向を示した。
一方、安藤・日清社長は「カップヌードルを1971年に安藤百福会長(創業者)が開発して以来、それを上回るカップ麺を作れというのが日清の社内標語。明星もカップヌードルに対抗した商品を持っており、この提携は『打倒カップヌードル』ということで大いに結構」と話し、協業を歓迎した。両社の経営統合の可能性については否定した。
また、永野社長は、筆頭株主のスティールがTOBに踏み切る前にMBO(経営陣による自社買収)を迫ってきたことも明かし、「経営施策について真摯な対話を行ってきたと認識していたが、今回スティールが行うTOBは企業価値を高めることにはならないと判断せざるを得ず、誠に残念」と語った。【了】
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