【TrendDoor】「オルソケラトロジー」寝ている間に視力が回復!奇蹟の技だと思いたいが…
「願いごとが叶うとしたら何を願う?」

 とりとめもない会話でよく耳にする言葉だ。「宝くじ3億円」「白馬の王子様」など現実感があまりない人もいれば、「一軒家をいますぐ!」「ローンの残債を消して!」といった“いままさに悩んでいます”的な問題をクリアにしたい人もいるはず。
実は筆者は学生時代に、願いごとに関するアンケートを集めたことがある。そして前述のようなお願いをする友人たちが圧倒的に多い中で印象的だったのが「目がよくなりたい」という回答だった。これは裸眼で暮らす筆者にはピンとこないものであったが、メガネ使用者にその話をすると「あ、やっぱりそれが一番かな」と、一度書いた「彼女」を消して「視力」と書き直した。

 そもそも近視とは“近くにある物はよく見えるが、遠くの物がぼやけてしまう状態”のこと。光が目の角膜と水晶体で屈折する際に、本来交差する部分より手前で焦点が結ばれてしまい、網膜面上にピントが合わないのだ。パソコンやテレビ、ゲームや携帯など、集中して目を使う機会が多く、食生活の乱れや睡眠不足など、ライフスタイルの変化にともなって、現在日本人の2人に1人が近視だという。

 “オルソケラトロジー”という技術をご存じだろうか? これは中央部が平らな特殊な形をしたコンタクトレンズを寝る前に装着し、朝起きたらそれを外す。角膜の表面(中心部)をわずかに圧迫することで焦点をだんだんと合わせるというアメリカ発の視力回復術だ。

 ただ、日本ではいまだ未承認の技術。つまり保険診療の対象外であり、それ自体の効果はある程度報告されているものの、角膜への安全面や装着時の問題、その対処法などが確立されていない。

 しかし医師には処方権という権利が許可されている。これは眼科医師会や厚生労働省の承認・非承認に関わらず、「医師が適切と判断したものは医師の指導によって処方ができる」ということを意味する。実際に2004年から国内6施設にて臨床試験を開始しており、現在はオルソケラトロジーをうたった病院や眼科が相当数存在しているが、医師が自らの経験の中で対応しているのが現状であることは否めない。

 もちろん新しい技術を歓迎する声は年々高まる一方であり、患者さんの評判もいまのところは上々のようだ。一般的に近視治療は低年齢ほど効果が高いと言われているため、子どもにオルソケラトロジーをさせる親御さんもさらに増えていくだろう。しかしその際の医師選びは充分に気をつけた方がいい。あくまで視力回復の選択肢のひとつとして考えていただくと同時に、その技術性・安全性の確立に期待したい。

筒井健二

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