日テレ凋落 もうとまらない
日本テレビの凋落が続いている。2006年3月決算では売上高、経常利益、純利益とも全てマイナス。視聴率は低迷し、看板の巨人戦も06年4月、5月と過去最低を記録。6月はとうとう9.2%と2ケタを切った。番組のヤラセ問題や、アナウンサーの女子高生パンツ盗撮事件などの不祥事もひきもきらない。
日本テレビの不祥事は03年から急増する。03年10月に発覚したのは、男性社員プロデューサー(当時41歳)による視聴率操作工作。視聴率調査会社「ビデオリサーチ」のモニター世帯を興信所を使って割り出し、日テレの番組を見るよう依頼した事件だ。
02年度まで日テレは9年連続視聴率の"三冠王"。ゴールデンタイム、プライム、全日のいずれもトップを独走した。日本初の民間放送局であり、民放のリーダー的存在だったのだが、その地位と誇りが崩れ去るのがこの03年だ。
日テレはどうしてしまったのか
視聴率工作以降、日テレの凋落につながる事件や不祥事をJINビジネスニュースは調べてみた。すると、書ききれないほどあった。
『ニュースプラス1』03年11月5日の放送での「イセエビ事件」。がんばって伊勢エビを捕る内容だが、番組に登場したのは、事前購入したエビだった。
同11月27日の「恐怖!洗濯機が爆発!」。衣類を洗濯したら爆発した、という実験映像を「ねつ造」。
04年1月に、年越し番組で、上空に発射したアルミニウム製のテープが、「ゆりかもめ」の走行路に入り、運行できなくなる。
04年3月1日の『ニュースプラス1』。「銀座・新橋・汐留のOL・サラリーマンが選ぶ店ベスト10」。アンケート結果ねつ造。
05年7月6日、9月19日の『ニュースプラス1』。「個人情報の入った名簿の売買」。名簿を買う男は身内だった。
05年2月15日の『カミングダウト』で、未成年タレントが過去に集団窃盗をはたらいたコメントを放送。
06年7月2日、『第26回全国高等学校クイズ選手権』の収録中、お笑いコンビのオリエンタルラジオの中田敦彦が、パラシュートで東京の赤坂御用地に不時着。皇宮警察の事情聴取を受けた。
このほか、(1)2005年3月13日放送の『NNNドキュメント ‘05』。ニートの実態を特集したが、ニート役が俳優だった。(2)「峰竜太のホンの昼メシ前」で、通行人に「おいしくて有名」とウソのコメントをいわせた。(2)『ぐるぐるナインティナイン』で、クチコミで観客は集まるかを試したが、観客は来たが全部「仕込み」だった、などの疑惑がネットなどでささやかれている。
炭谷宗佑アナウンサーがJR横浜駅の上りエスカレーターで、女子高校生のスカートの中を携帯電話のカメラで盗撮。日テレは06年2月20日の当初、事件を報道せず、報道しても同アナの名前を隠した。視聴者から日テレの"隠ぺい"報道姿勢に苦情が殺到した。
日テレのパワーの象徴だった「巨人戦」の視聴率の落ち込みもすさまじい。かつては20%以上が普通だったが、ビデオリサーチによると、06年4月は12.7%、5月は11.1%と、とうとう6月は9.2%と2ケタを切った。巨人が弱いのも響いてはいるが、人気そのものが低迷しているのが大きい。
番組にヒットがないせいも加わって、日テレから視聴者離れが急速に進んだ。CM収入など業績にも大きく影響し、06年5月19日に出揃った民放キー局5社の06年3月期連結決算では、民放4社が絶好調の売上高最高を記録する中で、日テレだけが売上高、経常利益、純利益とも全て前年割れした。
なぜこれほどまで日テレがダメになったのか。次回はその背景をリポートする。