ライブドア現社長の平松氏(左)と元社長の堀江被告(撮影:東雲吾衣/吉川忠行)

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証券取引法違反事件で、ライブドアの社長降板から135日。最近の堀江貴文被告は、御巣鷹の尾根に登山した5月21日以来外出せず、東京・六本木ヒルズの自宅マンションで過ごしているようだ。連日朝から晩まで、調書を片手に弁護士と裁判の打ち合わせをし、空き時間には、料理やソーセージづくりに励む。マンション内のスポーツジムで汗を流すのを日課としていたが、部屋でもできるトレーニング法も開発したという。

 東京地裁(小坂敏幸裁判長)は7日、証券取引法違反(偽計取引、風説の流布、有価証券報告書の虚偽記載)の罪で起訴された堀江被告の2度目の公判前整理手続きを行った。裁判官3人、検察側3人、被告側からは高井康行弁護士と政木道夫弁護士の2人がそれぞれ出席し、午後1時過ぎから約2時間にわたり争点を絞り込むための議論がなされた。被告本人の出頭が義務づけられていない協議の場には、今回も堀江被告の姿はなかった。

 ちょうど同じ頃、東京都港区の明治記念館で、現社長の平松庚三氏は、兼務していた会計ソフト会社「弥生」の社長職を12日付で退き、グループ再生に専念すると発表。AOLジャパン社長から“再生請負人”として転じた外資系ソフト会社ではMBO(経営陣による買収)で弥生を独立させ、ライブドア傘下で業界首位、営業利益率40%の優良企業にまで育てあげた5年あまりを、感慨深げに振り返った。

 平松氏は、堀江被告の逮捕を受けて社長に就任した1月以来、事態の収拾に追われ、“本業”の弥生に割く時間が激減していた。後任の飼沼健氏は、平松氏と3社をともに渡り歩いてきた懐刀。2氏が握手する形で報道陣のフォトセッションに応じると、平松氏は「カメラを向けられると反射的に謝ってしまう体質になっているので」と話し、会場の記者たちから失笑がもれる場面もあった。

 終了後、平松氏は記者団に対し、グループ再編に向けた子会社との協議が大詰めを迎えていると言及。メディアエクスチェンジが残留、ライブドアオートとダイナシティが離脱する方針を明らかにした。また、ライブドア株6.75%を保有する米投資会社「サイオン・キャピタル」が宇野康秀・USEN社長の社外取締役就任に臨時株主総会で反対する方針を示したことを受け、「他のファンドは大丈夫」と計48%を占める外国人株主の多くが理解を示していることに自信をにじませた。

 「背中が張ったままだけど、体は慣れてきた」としながらも疲れ気味の平松氏。9月までに策定する事業計画や大株主との協議など山積する課題を挙げながら、株主総会の準備のため会場を後にした。【了】

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