まだまだございます。2000年セカンド・ステージ13位で終えた清水エスパルスを引き継いで天皇杯では準優勝に導き、翌年はリーグで大躍進させた上にゼロックス・スパー杯と天皇杯を獲得し、翌年もゼロックス・スパー杯を連覇させたゼムノヴィッチ監督、つまり2年間で3つものタイトルをもたらしたゼムノヴィッチ監督を切った当時の強化管理部がいかに愚かであったかは、その後のエスパルスの低迷ぶりを見ればわかることです。その後、浮上のきっかけを得た清水エスパルスが準優勝こそすれタイトルに縁がないのは、フットボールの神様が未だにその愚行を許していないのだと、全く個人的な見解として私は思っています。そして、そのゼムノヴィッチ監督に対する不条理な解任を憤っていた当時FC東京の原監督の姿を、今もって忘れることが出来ません。

いずれにしましても、はっきり申し上げることが出来るのは、これら愚かな監督人事は全て理に適っていないということ。そしてその背景には、共通するある意図が見え隠れするのは、GM経験者であれば誰もが分かっていることと存じます。

日本のマスコミがあまりにお粗末で、監督人事に対しての正しい論評が出来ないことも悲劇を助長しているわけですが、監督の良し悪しについては余程サポーターの皆さんの方が分かっていらっしゃると思います。浦和レッズはペトロヴィッチ監督を迎え、昨季よりも順位を上げたのは必然でしたし、セレッソ大阪や大宮アルディージャが残留出来たのは、指導者の選択を間違えなかったからです。智将ペトロヴィッチ氏と条件面で折り合わず、OBの森保氏を監督に迎えたサンフレッチェ広島が浦和レッズよりも優秀な成績を収めるどころか優勝してしまったり、ヴィッセル神戸から三顧の礼を持って迎えられた西野氏が途中で解任されたりするハプニングはありましたが、いずれもその結果が各GMの運営方針や力量と密接に関係していることに変わりはございません。

そして一方で、今回のガンバ大阪のJ2降格という出来事を踏まえてつくづく思うのは、Jリーグの指導レベルが間違いなく進歩しているということです。Jリーグ開幕当初は、昇格も降格もなく、高級取りの選手を採算度外視で獲得出来るクラブなどもあったため、監督の良し悪しが分かりにくい構造になっていましたが、これまでに述べた優秀な監督達の功績も手伝って、昨今はデタラメな監督人事をしていると手痛いしっぺ返しがくるリーグへと変貌したことを痛感致します。サポーターはたまったものではありませんが、理に適わない監督人事をすると、あのガンバ大阪ですら降格してしまう程Jリーグ指導者の質が上がってきているということ、またJFLに降格した町田ゼルビアのように、日本でしか名前の通っていない指揮官を安易に担ぎ出してくると、無様な結果を招いてしまう程J2の監督の質も上がってきていることを、日本の全てのGM職にある皆様は、是非教訓として頂きたいと存じます。