EURO2012のベスト8の中で、準々決勝にどのフォーメーションで臨むか予想できないのは、イタリアだけだ。2試合を戦った3-5-2か、アイルランド戦の4-3-2-1か。イタリアには、一人で試合を決められるクリスティアーノ・ロナウドがいない。イタリアの強みは、相手に適応できるユーティリティー性と、それによる予測不可能さだ。

イングランドのロイ・ホジソン監督は、イタリアがどう出てくるか分からないだろう。チェーザレ・プランデッリ監督は21日の練習でも、2つのフォーメーションを使って指揮している。だが実際には、4-3-1-2でいくことを決めているのだ。マリオ・バロテッリは先発となるだろう。

ダニエレ・デ・ロッシをセンターに置く3バックは、中盤の人数を増やし、高い位置から良いプレスを組織することができる。それにより、スペインが好きなパスゲームを阻み、クロアチア戦でもハイテンポなプレーを防いだ。

イングランドはまた別の戦い方だ。彼らは引いて守り、カウンターを狙う。3-5-2なら、サイドのカバーリングがより有効だ。グレン・ジョンソンがジェームズ・ミルナー(もしくはセオ・ウォルコット)を追い越して右サイドを上がってくれば、レオナルド・ボヌッチがフェデリコ・バルザレッティのカバーに入るだろう。

4-3-1-2の場合、右サイドバック(イニャツィオ・アバーテ)のカバーにインサイドハーフ(クラウディオ・マルキージオ)がずれることとなるが、より複雑でエネルギーを消耗する。アイルランド戦ではその代償を払うことがなかったが、イングランドのサイドのクオリティーはまったく別物だ。また、3バックなら、スペースに飛び込むウェイン・ルーニーを抑えるのに、より屈強な障害を築くことができる。

つまり、3-5-2はより良い守備を保証してくれるのだ。だが、4-3-1-2なら、イングランドの4-4-2をよりうまく攻撃することができる。プランデッリ監督の哲学にそった選択だ。つまり、自分たちがプレーし、自分たち攻め、相手を抑えるだけにとどまらない、いうことである。

そのための最善策は、相手のライン間で天才という爆弾に火をつけることだ。アントニオ・カッサーノからバロテッリ、チアゴ・モッタ、もしくは別の前線に飛び込んだMFへのパスである。オープンスペースへ飛び込むバロテッリへの、アンドレア・ピルロの速い縦パスも貴重なものとなるだろう。

バロテッリの起用は、彼の才能とフィジカルの強さが理由だ。だが同時に、イングランドの選手たちが彼を知っており、彼を恐れているからでもある。バロテッリもまた、彼らのことを知っている。アントニオ・ディ・ナターレは途中出場で、疲れた相手に対してスピードとテクニックをより生かせるはずだ。

中盤では、一つ変更があるかもしれない。T・モッタの調子が万全ではないからだ。リッカルド・モントリーヴォかアントニオ・ノチェリーノが起用されるかもしれない。ノチェリーノはフレッシュで、イングランド戦に向けて理想的な選手だ。ケヴィン=プリンス・ボアテングのような偽トップ下としてもできるし、ピルロの前でマルキージオ、デ・ロッシとトリオにする4-1-3-2にすることもできる。

その場合、マルキージオとノチェリーノが、強力なイングランドのサイドをダブルマークにつけるだろう。デ・ロッシはイングランドの頭脳であるスティーブン・ジェラードにアタックできる。つまり、攻撃のために選ぶフォーメーションが、良いカバーリングにもつながるわけだ。