古田敦也、矢野燿大、とびきりの解説|野球報道
一昨日の話で恐縮だが、日曜日のスカイA+の「阪神vs巨人」戦の放送は絶品だった。試合も面白かったのだが、解説に聞き惚れた。
レギュラー解説の矢野燿大、福本豊にゲスト古田敦也。
古田はプロ入りは矢野の1年先輩。年齢は3つ上。
古田「(谷繁元信とともに)声に出しては、言わないが、お互いに意識する間柄」だったという。
矢野「(藤井彰捕手の)投げるしぐさ。古田さんに似てますよね。返球するとき、ちょっと腕を頭の上にあげるところなんか。(子供のころ)から真似してたんでしょうね」
1回、1死二三塁で、打者金本。巨人は前進守備。
古田「このケースで前進守備。考えられないですよね」
矢野「1点を取ることが、どれだけ重いかということでしょう」
2回の巨人の攻撃。無死一二塁で谷。
矢野「え、バントですか」
古田「まさか」
谷が投前にバント。
統一球導入以降のNPBの野球が変わったことが、はっきり表れている。飛ばないボールに対応するため、各チームは(とくに巨人は)、さらに小さな野球をやりはじめているのだ。
一流の捕手談義が最高だ。
矢野「メッセンジャーは、キャッチャーやってて楽しい投手ですね。カーブもいいし、ストレートも速い。コントロールがいいから、いろいろ策が立てられる。策に溺れることもありますけどね」
古田「両サイド、高低で捕手は考えます。そういうときは、捕手の責任も大きくなりますが。(両サイド、高低)どっちもできない投手いるんですよ」
岩本計介アナが「たとえば」と聞いたところから断続的に石井一久談義。
古田「(石井一久は)球威はあるけどコントロールはない。低めの球で三振取らせたいときに低めに構えてると、すごいワンバウンド投げてくる。(後で聞いたら)『ワンバウンド投げたらいいんでしょ』言うてる。こっちが必死で止めてると、またそれを振る打者がいるんですよ」
「あいつは何にも考えていない。若い時からマイペース。焚きつけてもダメ。立ち上がりから135km/hしか出てないから、みんな怪我でもしてるのか、と思ったら『大丈夫です。7回まで投げますから』いう。『頼むよ!みんなのために最初から一生懸命やってくれ』いうてもだめ。ほったらかすのがいいんです」
矢野「井川慶も自分のペースを崩しませんでしたねえ」
巨人の捕手、實松が打球を股間に当てる。
古田「『大丈夫か』と聞かれて『大丈夫』言うのもつらい。誰にも近づいてほしくない。一人にしてくれ、言う感じ」
村田修一の打席
古田「彼は今どき珍しいホームランバッターですね。ボールの下にバットを入れることにこだわっている。たぶん、子供のころからそうしていたのでしょう、落合博満さんがそうでしたね」
福本豊はこの日は大人しかった。面白い解説をするのだが、作戦面や投手論などは、それほど得意ではない。捕手出身の二人とは見えている部分が違う。ポジションによって野球論が違うのも興味深い。金本の大飛球に
福本「もったいな!」
古田は兵庫県川西市の公立高校出身。
古田「阪急子供会に入って、西宮球場によく行ってましたよ。いつ行っても人がいなかったので自由に座れましたし」
レギュラー解説者がゲストに気を使っているため、古田が多弁になるが、雰囲気は良い。
澤村が粘りの投球。
古田「ダルビッシュやまー君なんかは、ランナーがいないときは球速を抑えてますが、走者が出るとスピードを出してきます。完投したいからですね。澤村はスピードは変わらないが、走者が出るとコントロールが良くなりますね」
8回、巨人、實松が2度目の出塁。ブラゼルが捕手のサインで一塁に戻る。
古田「矢野さん、ブラゼルはサインわかってるんですかね」
矢野「わかってますよ」
古田「こういうとき、外国人はほとんど覚えてないですからね。捕手は投げるふりしますが、ふりだけの時が多いんです。(アダム・)リグスのときなんか諦めてました」
マートンの元気のなさが目立つ。凡打してゆっくり一塁へ走る。
矢野「今のマートンの走塁はないですよね。去年あたりから、カバーに行かなかったり、そういうところ目立ちますよね。残念。みんなが注目しているんだから」
これは、今年、特に気になるところだ。
最終回、渡辺亮がマウンドにあがる。
岩井アナ、
「渡辺もそうですが、阪神中継ぎ陣はほとんど防御率が0点台なんですね」
矢野「だから、点取れっちゅう話ですよ」
古田「ほとんど点が取れていないですから。チャンスがないということはないんで」
矢野「チャンスに作戦が出来る打者に打順が回ってきていませんね。そのまま打てという選手だけで」
ワンバウンド論議
岩井アナ「藤井のワンバウンドを止める技術には、多くの投手が助けられています」
矢野「ワンバウンドを止めるというより、取りにいってます。だから取れるんです。これは、古田さんがやりだしたんですが。僕は古田さんの“取っちゃえ”ができなかった。晩年になってできるようになりましたが」
古田「取りに行ったら意外に取れるんですね。取りに行って失敗したら怒られますが。僕も野村監督によく怒られました」
キャッチング
矢野「古田さんとご一緒した時はいつも言っていますが、古田さんはキャッチングですよ。僕が審判やったら全部ストライクと言ってしまいそうなキャッチング。古田さんは体が柔らかいんですよ。だから最初から低めに構えている。田畑(一也)の球を受けてるときなんか全部ストライクに見えました」
古田「やわらかい体は親に感謝ですね」
試合は2対1で巨人の勝ち。
インタビューで澤村
「課題としてはフォークボールだけかなと」
古田「澤村はフォークボールに自信がないんだということが解ったのが、解説者として収穫ですね。これをどう改善していくのか注目ですね」
いろいろな精神論も飛び交ったのだが、古田は目の付け所が違う。
野球以外の番組での活躍も目立つ古田だが、やはり一流の野球人だ。
こういう解説は、素人上がりにはできない。本当に聞きたいのはこんな話だ。
レギュラー解説の矢野燿大、福本豊にゲスト古田敦也。
古田はプロ入りは矢野の1年先輩。年齢は3つ上。
古田「(谷繁元信とともに)声に出しては、言わないが、お互いに意識する間柄」だったという。
矢野「(藤井彰捕手の)投げるしぐさ。古田さんに似てますよね。返球するとき、ちょっと腕を頭の上にあげるところなんか。(子供のころ)から真似してたんでしょうね」
古田「このケースで前進守備。考えられないですよね」
矢野「1点を取ることが、どれだけ重いかということでしょう」
2回の巨人の攻撃。無死一二塁で谷。
矢野「え、バントですか」
古田「まさか」
谷が投前にバント。
統一球導入以降のNPBの野球が変わったことが、はっきり表れている。飛ばないボールに対応するため、各チームは(とくに巨人は)、さらに小さな野球をやりはじめているのだ。
一流の捕手談義が最高だ。
矢野「メッセンジャーは、キャッチャーやってて楽しい投手ですね。カーブもいいし、ストレートも速い。コントロールがいいから、いろいろ策が立てられる。策に溺れることもありますけどね」
古田「両サイド、高低で捕手は考えます。そういうときは、捕手の責任も大きくなりますが。(両サイド、高低)どっちもできない投手いるんですよ」
岩本計介アナが「たとえば」と聞いたところから断続的に石井一久談義。
古田「(石井一久は)球威はあるけどコントロールはない。低めの球で三振取らせたいときに低めに構えてると、すごいワンバウンド投げてくる。(後で聞いたら)『ワンバウンド投げたらいいんでしょ』言うてる。こっちが必死で止めてると、またそれを振る打者がいるんですよ」
「あいつは何にも考えていない。若い時からマイペース。焚きつけてもダメ。立ち上がりから135km/hしか出てないから、みんな怪我でもしてるのか、と思ったら『大丈夫です。7回まで投げますから』いう。『頼むよ!みんなのために最初から一生懸命やってくれ』いうてもだめ。ほったらかすのがいいんです」
矢野「井川慶も自分のペースを崩しませんでしたねえ」
巨人の捕手、實松が打球を股間に当てる。
古田「『大丈夫か』と聞かれて『大丈夫』言うのもつらい。誰にも近づいてほしくない。一人にしてくれ、言う感じ」
村田修一の打席
古田「彼は今どき珍しいホームランバッターですね。ボールの下にバットを入れることにこだわっている。たぶん、子供のころからそうしていたのでしょう、落合博満さんがそうでしたね」
福本豊はこの日は大人しかった。面白い解説をするのだが、作戦面や投手論などは、それほど得意ではない。捕手出身の二人とは見えている部分が違う。ポジションによって野球論が違うのも興味深い。金本の大飛球に
福本「もったいな!」
古田は兵庫県川西市の公立高校出身。
古田「阪急子供会に入って、西宮球場によく行ってましたよ。いつ行っても人がいなかったので自由に座れましたし」
レギュラー解説者がゲストに気を使っているため、古田が多弁になるが、雰囲気は良い。
澤村が粘りの投球。
古田「ダルビッシュやまー君なんかは、ランナーがいないときは球速を抑えてますが、走者が出るとスピードを出してきます。完投したいからですね。澤村はスピードは変わらないが、走者が出るとコントロールが良くなりますね」
8回、巨人、實松が2度目の出塁。ブラゼルが捕手のサインで一塁に戻る。
古田「矢野さん、ブラゼルはサインわかってるんですかね」
矢野「わかってますよ」
古田「こういうとき、外国人はほとんど覚えてないですからね。捕手は投げるふりしますが、ふりだけの時が多いんです。(アダム・)リグスのときなんか諦めてました」
マートンの元気のなさが目立つ。凡打してゆっくり一塁へ走る。
矢野「今のマートンの走塁はないですよね。去年あたりから、カバーに行かなかったり、そういうところ目立ちますよね。残念。みんなが注目しているんだから」
これは、今年、特に気になるところだ。
最終回、渡辺亮がマウンドにあがる。
岩井アナ、
「渡辺もそうですが、阪神中継ぎ陣はほとんど防御率が0点台なんですね」
矢野「だから、点取れっちゅう話ですよ」
古田「ほとんど点が取れていないですから。チャンスがないということはないんで」
矢野「チャンスに作戦が出来る打者に打順が回ってきていませんね。そのまま打てという選手だけで」
ワンバウンド論議
岩井アナ「藤井のワンバウンドを止める技術には、多くの投手が助けられています」
矢野「ワンバウンドを止めるというより、取りにいってます。だから取れるんです。これは、古田さんがやりだしたんですが。僕は古田さんの“取っちゃえ”ができなかった。晩年になってできるようになりましたが」
古田「取りに行ったら意外に取れるんですね。取りに行って失敗したら怒られますが。僕も野村監督によく怒られました」
キャッチング
矢野「古田さんとご一緒した時はいつも言っていますが、古田さんはキャッチングですよ。僕が審判やったら全部ストライクと言ってしまいそうなキャッチング。古田さんは体が柔らかいんですよ。だから最初から低めに構えている。田畑(一也)の球を受けてるときなんか全部ストライクに見えました」
古田「やわらかい体は親に感謝ですね」
試合は2対1で巨人の勝ち。
インタビューで澤村
「課題としてはフォークボールだけかなと」
古田「澤村はフォークボールに自信がないんだということが解ったのが、解説者として収穫ですね。これをどう改善していくのか注目ですね」
いろいろな精神論も飛び交ったのだが、古田は目の付け所が違う。
野球以外の番組での活躍も目立つ古田だが、やはり一流の野球人だ。
こういう解説は、素人上がりにはできない。本当に聞きたいのはこんな話だ。