1月26日、鹿児島県と宮崎県の県境に位置する霧島山・新燃岳(しんもえだけ)が52年ぶりの爆発的噴火を観測してから、ちょうど1年がたった。

 現在も再噴火の可能性が指摘されており、近隣住民にとって予断を許さない状況が続いているが、爆発的噴火が危惧されているのは霧島山・新燃岳だけではない。実は、同じマグマだまりを共有する鹿児島県・桜島の噴火活動が、例年にないほど活発化しているのだ。

 桜島といえば、噴煙を上げる姿が鹿児島のシンボルでもある活火山。1月14日には今年100回目となる爆発的噴火が発生しているが、年明けから半月もたたずに100回を超えたのは、なんと1955年の観測開始以来、最速なのだ。

 九州地方で何度も起きてきた「破局噴火」をテーマに、『死都日本』(講談社)などの小説作品を発表してきた火山研究者・石黒耀氏は、九州だけでなく日本中を混乱に陥れる巨大噴火災害の危機が、今やフィクションで描いた内容に重なりつつあると語る。

「桜島と新燃岳のマグマだまりは鹿児島湾北部直下約10kmに潜んでいますが、その下から供給されるマグマ量は両火山の噴出物量をはるかに上回り、その証拠に湾内海底では不気味な隆起が始まっています。私は、この湾北部と重なる直径約23kmの巨大カルデラ(姶良カルデラ)で2万年前頃に起きた破局噴火の迫力に思いを馳せて小説を書きましたが、このままマグマ量が増え続ければ、九州だけでなく日本広域に火山噴出物をまき散らす超巨大噴火が近々に再発しかねない」

 現在も全国各地で余震が続く日本列島。東日本大震災で発生した強力な圧力エネルギーは、日本全域の火山活動を活性化させる引き金にもなってしまったようだ。

(取材/有賀 訓、取材協力/辻 維周)

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