■ 準決勝はスウェーデン

女子W杯の準決勝。FIFAランキングで4位の日本代表と、FIFAランキングで5位のスウェーデンの対戦。日本は準々決勝で地元をドイツを1対0で下して初のベスト4入りを果たした。

日本は「4-2-2-2」。GK海堀。DF近賀、石清水、熊谷、鮫島。MF阪口、澤、大野、宮間。FW川澄、安藤。これまでの4試合は同じスタメンだったが、この試合ではFW永里がベンチスタートでFW川澄が初スタメンとなった。

■ 3対1で快勝

試合の立ち上がりはスウェーデンがリズムをつかむ。激しいプレスをかけてきて日本は少し戸惑いを見せる。すると、前半10分にMF澤の横パスが少し弱くなったところを奪われて、ドリブルからミドルシュートを決められて先制ゴールを許してしまう。

しかし、リードを許したことで、逆に落ち着いた日本は、前半19分にMF大野がドリブルで中央を崩して左サイドのMF宮間にパスを送ると、MF宮間がダイレクトでクロス。これをFW川澄が体ごと押し込んで同点に追いつく。FW川澄は今大会初ゴール。いい時間帯に1対1の同点に追いついて前半を終了する。

後半は立ち上がりから日本が勢いよく攻め込んでいく。後半早々にMF大野のミドルシュートがクロスバーを直撃するシーンを作るなど、押せ押せで試合を進めると、後半15分に波状攻撃を見せる。最後は左サイドのDF鮫島のクロスにFW安藤が飛び込むと、こぼれ球をMF澤が頭で押し込んで2対1と逆転に成功する。MF澤は今大会4ゴール目。

さらに、後半19分には、ロングボールのこぼれ球を拾ったFW川澄の超ロングシュートで3点目を挙げる。初スタメンのFW川澄は2ゴールの活躍となった。結局、日本が3対1で勝利し、初の決勝進出が決定。アメリカと世界一を賭けて対戦することになった。

■ 初の決勝進出を果たす

自分たちのミスから先制ゴールを許した日本だったが、その後は、完全に試合を支配して3対1で勝利。シュート数は、日本が14本だったのに対して、スウェーデンはわずかに4本だけ。ボール支配率も日本が60%と圧倒し、世界大会の準決勝の試合だったとは思えないほど、日本がスウェーデンを圧倒した。

スタメンでFW川澄を起用してきた佐々木監督の采配も当たったが、何よりも日本の選手のコンディションがよくて、スウェーデンに走り勝っていたことが大きかった。スウェーデンは高さのあるチームなので、日本としては苦手なスタイルのチームだったが、高さの勝負に持ち込まれることも少なく、試合の終盤には、これまで出場機会に恵まれていなかったFW高瀬やDF上尾野辺を起用するだけの余裕も生まれた。

■ 決勝ゴールはMF澤穂希

1対1の状況で決勝ゴールを決めたのはエースのMF澤で、今大会は4ゴール目。得点ランキングでもトップに立っていて、優勝と得点王というダブルタイトル獲得の可能性も膨らんできた。前半は、MF澤らしくないプレーが多くて、失点シーンもMF澤のミスから始まったが、そのミスを帳消しにする活躍でチームを勝利に導いた。

メキシコ戦のハットトリックでFW釜本の記録を更新したことが話題になっているが、今大会、ボランチでプレーしているにもかかわらず、これまでと同じような得点力を見せていることが驚きで、ゴールシーンも、普通のボランチであると、あそこまで上がっていくことは難しく、上がっていくタイミングも見事だった。

MF澤が積極的に前に上がっていくので、MF阪口とMF宮間のところには大きな負担がかかっていて、この二人は大変な役回りとなっているが、これだけ、MF澤がゴールに絡んでくれると、2人も黒子に徹する甲斐があるというところで、うまく中盤はバランスが取れている。

■ FW川澄が2ゴール

試合前から、調子の上がっていないFW永里の起用方法が注目されていて、ドイツ戦で決勝ゴールを挙げたFW丸山のスタメン起用の可能性が高いと思っていたが、佐々木監督はFW川澄の起用を選択し、これが見事に当たったといえる。ここまで4試合はスタメンを固定していたので、準決勝で代えるというのは勇気のいる決断だったと思うが、FW川澄が2ゴールという活躍で、大成功に終わった。

この試合のニューヒロインとなったのはFW川澄だったが、右サイドハーフのMF大野と、左サイドバックのDF鮫島のパフォーマンスも高く、貢献度では負けていなかった。同点ゴールのシーンは、MF大野のドリブルが見事で、スウェーデンのDFを翻弄し、後半に見せたDF鮫島のドリブル突破は効果的で、MF澤のゴールもDF鮫島のクロスが起点になった。

決勝の相手となるアメリカは、過去、一度も勝利したことが無い相手なので厳しい相手であるが、なでしこジャパンは日替わりでヒロインが出てきていて、勢いではアメリカを上回っている。「世界一」になれるチャンスというのは、次はいつになるのか、全く分からない。ここまで来たら、頂点を狙って、思い切って戦ってほしい。



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