統一球はセリーグをどう変えたか?|2011年NPBペナントレース

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NPBのペナントレースは全体の12〜3%を消化した。まだ序盤戦だが、統一球の影響は確実に現れている。

しかし、その影響は各チーム均等ではない。オフの補強状況や戦い方によって大きな差が出ている。攻守のほぼ同じデータを比較することで各チームの投打のバランス、収支を見て見たい。防御率と1試合当たりの打点(RBI/G)は必ずしも一致しない。自責点と打点の基準が違うからだ。まずはセリーグ。今年の数字は一昨日終了時点。

セリーグの場合ERAは4.24から3.28へ。リーグ打率は.267から.248へ。本塁打率(本塁打÷打数)は0.0295から0.0234へ。投高打低は確実に進んでいる。
驚くべきことにヤクルトと横浜は本塁打率が前年より上昇している。一時期「統一球の効果なし!」とスポーツ新聞が書いていたが、そうではなくて補強と不振だった選手の復活、そして起用法によって本塁打が増えたのだ。ヤクルトは被本塁打率が大幅に減少、また打率被打率の収支も大幅に改善。これによって1試合当たりの得失差も大きくなった。躍進しているのは当然だ。
広島は前田健太にくわえてバリントンが活躍、ERAが大幅に向上。攻撃面も向上したために収支が改善した。

反対に巨人、阪神は本塁打率、打率が大きく下落。被本塁打率、打率も下がっているのだが、攻撃面の下げ幅がより大きかったため苦戦している。
さらにもともと貧打だった中日はベテランの不振もあって打率はリーグでダントツの最下位に沈んでいる。投手陣は健闘しているのだが、打線が足を引っ張っている。まるでSEAのようだ。

横浜は前述のように打線は向上しているし、投手力も少しは改善しているのだが、もともとの収支勘定が大幅な赤字だっただけに、少々の改善では追いつかない。横浜の弱体化はそれほど深刻だと言うことだ。

結局、野球は攻守のバランスシートである。昨年の上位チームはバランスシートが変わることを予見して動かなかったために苦戦している。勝っているときでも動かなければならないのだ。