【蹴日報+】日韓戦反省会 #apfn
気になる試合の反省会を個人的に。
まさしく薄氷の勝利!内容で負けて試合で勝った!という感じでしたが、勝利は勝利。いまはただ美酒に酔いしれたい…と思いつつも一晩明けたので反省会と行きましょう。
図解が流行っているようなので、僕も導入してみましたよw
結果として1-1で終えた前半戦、日本の出来は素晴らしいものでした。韓国の出足が鈍かったということもありますが、相手のロングボールの出所にプレッシャーをかけ続けると共に、効果的な縦パスを何本も使って相手を押し下げ、シュートまで持って行く場面がたびたび見られました。
日本の攻撃がうまくいっている時は、ピッチを斜めに横切るパス→縦→落とし→中へ、というたった4〜5プレーで2回もDFが視点を入れ替える必要のあるプレーが頻繁に出ます。このプレーが出た時は、日本のFWはほとんどマークを外すことが出来ており、攻めとして効果的であることが良くわかります。
またゴール前の局所における縦パス→相手のいない方向へターン、という場面も頻繁に登場します。特に今大会はターンの天才・香川と、それを見て覚醒したのかターンが突然うまくなった岡崎がいるため、相手DFは縦パスに対して飛び込めないという状況が生まれていました。
しかし日本の全てが表現されているというか、試合のその後を決定づけたと思われる場面もありました。それが前半43分にあった、前田のシュートシーンです。
本田の無理矢理だが絶妙なアウトサイドのパスで前田がターンして、GKと完全な1対1になったシーンです。このシーン、ご存じの通り前田は全力のシュートを打って、枠を大きく外しました。GKが微妙に触っていたかもしれませんが、それにしても…なシュートです。
僕が以前サッカー留学について取材をした時、留学経験者からこのようなことを聞いたことがあります。それは
ということです。つまり…ゴールとは、ボールがゴールの枠の中に入れば良い話であって、強いシュート=良いシュートではないと。本当のストライカーであれば、常にGKが触れない場所へ「パス」をする、というイメージが必要だということです。
しかしこの前田のシュートはどうでしょうか。もちろん前田がこういった場面で流し込めない選手であるとも、力の無い選手であるとも思いません。しかし日本を代表するストライカーが、ここで思い切り蹴って枠を外してしまうこともまた事実なのです。日本がワンランク上の世界へ行くには、ここで冷静に流し込めるような選手が必要なのではないかと思うのですよね…。シュートに至る部分まではとても繊細でモダンなのに、最後だけ力押しというのは、違うと思うのです。
誤解して欲しくないのは、前田を責めるつもりはさらさら無いということ。この場面に関して問題意識を持たなければ日本のサッカーが成長しないということを言いたいのです。
とまあ、ここで2-1にしておけばこの試合は楽だった…という事実に間違いは無いのですが。
そして後半です。後半も15分くらいまでは良かったんですよね。前半の流れそのままというか、韓国のプレスをいなしてシュートまで持ち込めていましたからね。ただしカウンターのロングボールを恐れるあまり、シュートが縮こまっていたような気がしなくもありません。
注目すべきシーンは、後半1分の香川のこのターンでした。
いやあ、ほんと香川はターンの天才だな、と思いましたね。解説しておくと、このシーンは以下のようになっていました。
あまりに華麗なターンに絶句してしまいました。こういったターン、大抵は左右に流れることが多いのですが、香川は本当に真正面を向きます。これが本当に素晴らしい。彼特有の武器ですね。
とまあ良い感じで攻めてるなっと思っていたところで、後半20分に韓国が選手交代してきます。電柱FWだったチ・ドンウォンを下げてMFのホン・ジョンホを投入、香川のマンマークでかき回されていた中盤に人を増やし、ボールホルダーを囲む戦略に出ました。これが日本にとっては大打撃で、効果的な縦パスを入れられなくなり、その後の大苦戦に繋がるわけです。特に前田までボールがわたる場面がほとんど見られなくなりました。それは完全に本田と香川のところでボールがつぶされていたからです。これは彼らの責任というより、後半になって日本のパススピードと運動量が落ちたことに大きく起因していました。
DF面でも日本は苦戦を強いられます。まず第一に、岩政の競り方(具体的には手の使い方)が主審に目を付けられてしまったこと。後半の半ば以降、岩政が競った場面はほとんどファールになっていた印象が皆さんにもあるのではないでしょうか。
もう1つは、韓国が日本のDFラインの癖をうまくついてきたこと。
これを見てください。これはイ・チョンヨンに左サイドを突破された場面ですが、
この場面では結果としてク・ジャチョルの強引さ・若さにより、シュートが枠を外れて事なきを得ますが、もう少しアイデアがあったらやばかったと思います。また同様の場面はこれから延長後半に至るまで何度も何度も見られたわけですが、最後まで修正されませんでした。さすがに中盤の選手がDFに吸収され気味になることでスペースを減らせはしましたが、相手が悠々と低いプレッシャーでプレーする場面が幾度となくありましたね。相手が入ってくるパターンと入ってこないパターンがあったので、DFラインに混乱があったのかもしれません。
この場面については、中盤の選手が5対5の同数であることに安心して、戻りきれなかったことも原因ですが、サイドを崩された時、とにかく戻ってラインを形成することばかりが優先されているのではないかと危惧されるようなものでした。ミドルシュートのある相手に対して、それは無いだろうと。気持ちはわかるんですが、やっぱり下がりすぎなんですよね。
延長以降は…けっこう無残な感じでしたね。
試合を決めたと言っても過言では無いのが、韓国の2点目につながったFKの場面です。そもそもこの場面では、無用なFKを与えたことが大きな問題でした。しかも直前に入ったばかりのフレッシュな選手である本田拓が、相手について行けず、結果として安易に選択したスライディングによるファールです。清水に所属していた選手が、しかも守備的ボランチの選手が、こんな場面・場所で軽々しくスライディングしてファールを犯してしまうことが本当に信じられませんでした。ありえない。彼はいったい何をアピールしたかったんでしょうか?健太だったらお説教するレベルですよ。スタジオで見ていて歯がゆかっただろうなあ…。
全体的にまずかったのが川島とDFラインの連携でもあります。基本的にイニシアチブはGKにあって、正しく指示を出すことがGKの大きな(メインであると言っても過言では無いほどの)仕事であるわけです。しかしそこがうまくいっていなかった。川島は、移籍してからちょっと能力が落ちたのではないかと疑われても仕方がないくらいの状況でしたね。
DFラインのボール回しが狭くて遅いので、容易に韓国のプレッシャーを受けていました。疲れている時ほどDFラインでボールを速く動かし、自分たちは休む…という判断が欲しかったなあと思いました。昨日のDFラインではまわせないということなのかな。香川が下りてくることでマンマークも引き連れてきてしまう(つまり局面における相手の人数が増える)って状況もマズかったのかもしれません。
後半20分からの蹂躙状態に、何も手を打ってこなかったのが心配です。経験優先で耐えさせたのかな?誰か詳しく聞いてくれないかなあ。交代で入った選手と監督の発言とで、狙いが一致していない点も気になります。指示は正しく出ていたのでしょうか?
とまあこんな感じで、日本は苦戦するべく苦戦しました。韓国のミドルシュートの精度が高ければまず間違いなく負けていたでしょう。
勝ったには勝ちました。後に残るのは結果だけであり、日本が韓国に勝利したという事実だけが一人歩きすることになります。
しかしこの試合、日本代表の弱点が嫌というほどさらされたのは間違いありません。格下がやってくる攻略法と、同格がやってくるそれがここまで違うものとは…と痛感させられました。決勝はオーストラリアですが、間違いなく同じことを実践してくるでしょう。韓国ほどのスピードがないことが救いではありますが、苦戦する様子が容易に想像できます。
ザッケローニ監督のオーストラリア対策、修正能力に期待ですかね。それとも自分たちのサッカーを貫いて、経験値の積み上げを重視するのかな…とにかく泣いても笑ってもあと1試合。見逃すことなく応援したいと思います。
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まさしく薄氷の勝利!内容で負けて試合で勝った!という感じでしたが、勝利は勝利。いまはただ美酒に酔いしれたい…と思いつつも一晩明けたので反省会と行きましょう。
図解が流行っているようなので、僕も導入してみましたよw
素晴らしかった前半の出来
結果として1-1で終えた前半戦、日本の出来は素晴らしいものでした。韓国の出足が鈍かったということもありますが、相手のロングボールの出所にプレッシャーをかけ続けると共に、効果的な縦パスを何本も使って相手を押し下げ、シュートまで持って行く場面がたびたび見られました。
日本の攻撃がうまくいっている時は、ピッチを斜めに横切るパス→縦→落とし→中へ、というたった4〜5プレーで2回もDFが視点を入れ替える必要のあるプレーが頻繁に出ます。このプレーが出た時は、日本のFWはほとんどマークを外すことが出来ており、攻めとして効果的であることが良くわかります。
またゴール前の局所における縦パス→相手のいない方向へターン、という場面も頻繁に登場します。特に今大会はターンの天才・香川と、それを見て覚醒したのかターンが突然うまくなった岡崎がいるため、相手DFは縦パスに対して飛び込めないという状況が生まれていました。
しかし日本の全てが表現されているというか、試合のその後を決定づけたと思われる場面もありました。それが前半43分にあった、前田のシュートシーンです。
本田の無理矢理だが絶妙なアウトサイドのパスで前田がターンして、GKと完全な1対1になったシーンです。このシーン、ご存じの通り前田は全力のシュートを打って、枠を大きく外しました。GKが微妙に触っていたかもしれませんが、それにしても…なシュートです。
僕が以前サッカー留学について取材をした時、留学経験者からこのようなことを聞いたことがあります。それは
ブラジル人指導者に「日本人はゴール前で思い切り蹴ることをやめろ」と言われた
ということです。つまり…ゴールとは、ボールがゴールの枠の中に入れば良い話であって、強いシュート=良いシュートではないと。本当のストライカーであれば、常にGKが触れない場所へ「パス」をする、というイメージが必要だということです。
しかしこの前田のシュートはどうでしょうか。もちろん前田がこういった場面で流し込めない選手であるとも、力の無い選手であるとも思いません。しかし日本を代表するストライカーが、ここで思い切り蹴って枠を外してしまうこともまた事実なのです。日本がワンランク上の世界へ行くには、ここで冷静に流し込めるような選手が必要なのではないかと思うのですよね…。シュートに至る部分まではとても繊細でモダンなのに、最後だけ力押しというのは、違うと思うのです。
誤解して欲しくないのは、前田を責めるつもりはさらさら無いということ。この場面に関して問題意識を持たなければ日本のサッカーが成長しないということを言いたいのです。
とまあ、ここで2-1にしておけばこの試合は楽だった…という事実に間違いは無いのですが。
後半以降はズタボロにされた
そして後半です。後半も15分くらいまでは良かったんですよね。前半の流れそのままというか、韓国のプレスをいなしてシュートまで持ち込めていましたからね。ただしカウンターのロングボールを恐れるあまり、シュートが縮こまっていたような気がしなくもありません。
注目すべきシーンは、後半1分の香川のこのターンでした。
いやあ、ほんと香川はターンの天才だな、と思いましたね。解説しておくと、このシーンは以下のようになっていました。
- 1、韓国DFとMFのギャップ(隙間)でボールを受けるべく、移動する香川。その際、既に前を向くためのスペースを作りながら動いている。考え方としては、チャレンジしてきた韓国DFをかわせばそのままドリブルでペナ直前までいけるイメージ。
- 2、長谷部からのボールは香川の真正面に入ってきてしまった。香川としては右足のほうにスペースがあるので、そっちにターンしたかったのだがこれではターンできない。そこで香川がとった驚きのアイデアとは…まず相手の飛び込んでくるコースを確認したのち、自分の体でボールを隠す(見えなくする)。次に自らボールの軌道よりも1歩左側(タッチライン側)に移動することで、左にターンすると思わせると共に、右足側のスペースを1歩分確保、同時に左足に向かって飛び込んできた相手をスクリーン。
- 3、相手は香川の行く先にボールが無いとは思わず、足が出せない。香川はそのまま右に1ステップして、ボールにほぼ触れることなくターン、即トップスピードに。
あまりに華麗なターンに絶句してしまいました。こういったターン、大抵は左右に流れることが多いのですが、香川は本当に真正面を向きます。これが本当に素晴らしい。彼特有の武器ですね。
とまあ良い感じで攻めてるなっと思っていたところで、後半20分に韓国が選手交代してきます。電柱FWだったチ・ドンウォンを下げてMFのホン・ジョンホを投入、香川のマンマークでかき回されていた中盤に人を増やし、ボールホルダーを囲む戦略に出ました。これが日本にとっては大打撃で、効果的な縦パスを入れられなくなり、その後の大苦戦に繋がるわけです。特に前田までボールがわたる場面がほとんど見られなくなりました。それは完全に本田と香川のところでボールがつぶされていたからです。これは彼らの責任というより、後半になって日本のパススピードと運動量が落ちたことに大きく起因していました。
DF面でも日本は苦戦を強いられます。まず第一に、岩政の競り方(具体的には手の使い方)が主審に目を付けられてしまったこと。後半の半ば以降、岩政が競った場面はほとんどファールになっていた印象が皆さんにもあるのではないでしょうか。
もう1つは、韓国が日本のDFラインの癖をうまくついてきたこと。
これを見てください。これはイ・チョンヨンに左サイドを突破された場面ですが、
- 1、DFがクロスに対応すべくラインを下げることばかりを気にするあまり、ゾーンを埋めるだけになっている。実際には、そこにいるだけになっているのが画像からもわかると思います。
- 2、DFが必死でもどって振り返ると…そこには韓国の選手はいませんでした。直前の場面を見返してわかったのですが、韓国の選手は全速力で走ってきていません。日本のDFラインの戻りが速いことを利用して、あえてゆっくり入ってくることでスペースを作っていました
- 3、驚くべきことに、中盤から飛び込んでくる4人の韓国の選手にたいし、後ろから追いかけてくる・プレッシャーをかける選手が画面内にいません。
この場面では結果としてク・ジャチョルの強引さ・若さにより、シュートが枠を外れて事なきを得ますが、もう少しアイデアがあったらやばかったと思います。また同様の場面はこれから延長後半に至るまで何度も何度も見られたわけですが、最後まで修正されませんでした。さすがに中盤の選手がDFに吸収され気味になることでスペースを減らせはしましたが、相手が悠々と低いプレッシャーでプレーする場面が幾度となくありましたね。相手が入ってくるパターンと入ってこないパターンがあったので、DFラインに混乱があったのかもしれません。
この場面については、中盤の選手が5対5の同数であることに安心して、戻りきれなかったことも原因ですが、サイドを崩された時、とにかく戻ってラインを形成することばかりが優先されているのではないかと危惧されるようなものでした。ミドルシュートのある相手に対して、それは無いだろうと。気持ちはわかるんですが、やっぱり下がりすぎなんですよね。
延長以降は…けっこう無残な感じでしたね。
最悪の場面…本田拓のファール
試合を決めたと言っても過言では無いのが、韓国の2点目につながったFKの場面です。そもそもこの場面では、無用なFKを与えたことが大きな問題でした。しかも直前に入ったばかりのフレッシュな選手である本田拓が、相手について行けず、結果として安易に選択したスライディングによるファールです。清水に所属していた選手が、しかも守備的ボランチの選手が、こんな場面・場所で軽々しくスライディングしてファールを犯してしまうことが本当に信じられませんでした。ありえない。彼はいったい何をアピールしたかったんでしょうか?健太だったらお説教するレベルですよ。スタジオで見ていて歯がゆかっただろうなあ…。
川島のコーチングミス
全体的にまずかったのが川島とDFラインの連携でもあります。基本的にイニシアチブはGKにあって、正しく指示を出すことがGKの大きな(メインであると言っても過言では無いほどの)仕事であるわけです。しかしそこがうまくいっていなかった。川島は、移籍してからちょっと能力が落ちたのではないかと疑われても仕方がないくらいの状況でしたね。
DFラインのボール回し
DFラインのボール回しが狭くて遅いので、容易に韓国のプレッシャーを受けていました。疲れている時ほどDFラインでボールを速く動かし、自分たちは休む…という判断が欲しかったなあと思いました。昨日のDFラインではまわせないということなのかな。香川が下りてくることでマンマークも引き連れてきてしまう(つまり局面における相手の人数が増える)って状況もマズかったのかもしれません。
ザッケローニ監督の修正能力
後半20分からの蹂躙状態に、何も手を打ってこなかったのが心配です。経験優先で耐えさせたのかな?誰か詳しく聞いてくれないかなあ。交代で入った選手と監督の発言とで、狙いが一致していない点も気になります。指示は正しく出ていたのでしょうか?
まとめ
とまあこんな感じで、日本は苦戦するべく苦戦しました。韓国のミドルシュートの精度が高ければまず間違いなく負けていたでしょう。
勝ったには勝ちました。後に残るのは結果だけであり、日本が韓国に勝利したという事実だけが一人歩きすることになります。
しかしこの試合、日本代表の弱点が嫌というほどさらされたのは間違いありません。格下がやってくる攻略法と、同格がやってくるそれがここまで違うものとは…と痛感させられました。決勝はオーストラリアですが、間違いなく同じことを実践してくるでしょう。韓国ほどのスピードがないことが救いではありますが、苦戦する様子が容易に想像できます。
ザッケローニ監督のオーストラリア対策、修正能力に期待ですかね。それとも自分たちのサッカーを貫いて、経験値の積み上げを重視するのかな…とにかく泣いても笑ってもあと1試合。見逃すことなく応援したいと思います。
韓国男性に恋してはいけない36の理由
サッカーからみる日韓のナショナリティとローカリティ―地域スポーツ実践の場への文化人類学的アプローチ
サッカーの見方は1日で変えられる
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Webディレクター、プランナーにしてJFA公認C級コーチの中山氏によるブログ