Jリーグが終わり、ストーブリーグが活発になってきた。横浜FMは松田直樹や山瀬功治を戦力外とし、降格したFC東京の選手たちは残留か移籍かで揺れている。韓国に行った高原直泰は清水に来るかも、という話も出ているね。15日に大阪で行われたトライアウトには81人が参加したそうだ。
 
どんな有名選手、実績を残した選手でも、突然クビを切られることはある。選手とクラブは契約関係で結ばれているから、たとえば松田が放出されたのも、情はあっても不自然さはない。プロ選手とはそういうものだよね。
 
むしろ考えたいのは、若くして引退する選手たちのセカンドキャリアだ。Jリーガーの引退平均年齢は、26歳前後と聞く。それまでの時間をサッカー一筋で過ごしてきて、26歳で社会に放り出されるのは、昨今の雇用状況を考えてもすごく厳しいよね。Jリーグはセカンドキャリアをバックアップする取り組みをしているけど、その中身が足りているとも、魅力的だとも思えない。
 
プロリーグとして、野球選手と同等の待遇を約束できるほど成長するには、まだまだ時間がかかる。本来ならそれが一番理想的だけど、現実的とは言えないね。だとすると、引退した選手の“サッカー界での”受け皿を増やすように、協会と一緒になって、フットサルや女子サッカーの拡大を進めていくことが必要だよ。スクールコーチや現場の雇用をもっともっと増やすべきだ。つまりはサッカー文化の普及拡大だね。
 
選手たち自身も、厳しい世界にいるという自覚を常に持つべきだと思うね。若い頃にいくら将来を嘱望されても、突然評価されなくなることだってある。そういう世界に身を置いているということを、忘れちゃいけない。僕も外国人選手として日本へやって来て、引退したらどうしようかというのはいつも模索しながらやっていたよ。
 
一つ付け加えると、選手はプロ選手として「契約」でプレーしている。単年契約ならまさに1年1年が勝負。つまり体を張っている、人生を賭けているわけだけど、納得がいかないのは、経営陣は親会社からの出向がほとんど、という事実だ。チームへの愛、サッカーへの愛というものに対して、選手やサポーターとの間に温度差があるのもしょうがないよね。今オフの横浜FMや浦和を見ているとなおさらそう思うよ。(了)
 
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