発見続く旧日本軍の潜水艦:「潜水空母」や、真珠湾の「最後の1隻」

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Nathan Hodge


PHOTO: NOVA/Ingo Bauernfeind、サイトトップの画像は「炎上する米海軍戦艦『アリゾナ』。Wikipediaより

真珠湾攻撃[1941年12月8日未明(日本時間)攻撃開始]から70年近くが経とうとしている今、研究者たちは、停泊していた米艦隊(『Battleship Row』)に日本軍が攻撃を仕掛けた際に、特殊潜航艇(甲標的)がその任務を達成できていた可能性があることを示す、新しい証拠を発見したと考えている。

潜水艇によるテスト潜水を行なっていた海洋研究者たちが、真珠湾に近い海底に、奇妙な鋼鉄の残骸を見つけた。PBS(全米公共テレビ放送網)のテレビシリーズ『NOVA』の調査団はこれについて、魚雷を発射した後、乗組員によって沈められた日本の特殊潜航艇の残骸である可能性が高いと結論づけた。

水深300メートルを超える海底に分断されて眠っていた、日本の2人乗り潜航艇を発見したのは、ハワイ海底調査研究所(HURL)が操作する深海調査潜水艇『Pisces IV』および『Pisces V』だ。

潜航艇の残骸は、1944年の戦火で破壊され、海中に投棄された米軍の水陸両用強襲車両(AAV)のスクラップと一緒になっていた。海洋法歴史学者であり、海軍将校として潜水艦に乗っていた経験もあるParks Stephenson氏が、NOVAの探査を指揮して調査し、小型潜航艇の発見に至った。

この潜航艇の発見は、真珠湾攻撃の歴史の1章を完結させるかもしれない。奇襲に参加する予定だった5隻の特殊潜航艇のうち、4隻は目標にまで到達できず、座礁したか、沈められたか、破壊されたかのいずれかだった。5隻目の潜航艇がどうなったかはわかっていなかったのだが、NOVAの調査団は、この艇が真珠湾への潜入に成功し、搭載していた360キログラム強の魚雷2本を発射し、おそらくは米戦艦オクラホマに命中させたと考えている。

[特殊潜航艇は航続距離が短いため、作戦地点までは伊号潜水艦の前部甲板に載せて輸送され、作戦終了後は搭乗員の救出後、船底に装備されていた爆薬を用いる等して自沈処分されることになっていた。しかし実際には、開戦劈頭の攻撃は,帰還することが期待できない「特別攻撃」だった真珠湾攻撃においては、撃沈された4隻の乗組員8名と、拿捕された艇で戦死した1名を加えた9名が「九軍神」として日本国内で宣伝された。拿捕された艇の艇長で捕虜となった酒巻和男海軍少尉は「軍神」から外され、捕虜となったことは公表されなかった]

ドキュメンタリー番組が放映されるのは2010年1月5日(米国時間)まで待たなければならないが、番組用に新たに立ち上げられたウェブサイトを訪れれば、ポッドキャストが視聴できるし、歴史的背景を知ることもできる。

最近になって発見されたのはこれだけではない。『National Geographic』誌の調査グループは2009年、オアフ島沖の深海を探検し、[第二次世界大戦における]日本の最大にして最速の潜水艦[『伊四〇〇型潜水艦』]等を捜索、数機の残骸を発見した。これは、米本土への攻撃あるいはパナマ運河への攻撃を想定して建造されたものだった。[National Geographic日本語版記事によると、2005年には伊号第四〇一潜水艦、2009年2月には伊号第一四潜水艦と伊号第二〇一潜水艦を発見している。通常型潜水艦として史上最大の規模を誇る伊号第四〇〇潜水艦は、依然として不明で現在も捜索中という]

これらの大型潜水艦は、[終戦後に]米国が接収したものだが、その後、ソビエト連邦に技術が漏えいすることのないよう、海軍によって海に沈められた。

[伊四〇〇型潜水艦は、3機の(カタパルト発射式)特殊攻撃機『晴嵐』を搭載可能で、潜水空母とも俗称される。第二次世界大戦中に就航した潜水艦の中で最大の大きさであり、全長は米海軍のガトー級を37メートル上回り、理論上は、地球を一周半可能という長大な航続距離を誇る。パナマ運河を搭載機で攻撃するという作戦が考案されたが、本艦が完成したころには、日本海軍は連合国軍により国土周辺の制海権、制空権ともに失い壊滅的な状態になっており、すでに時期を逸していた。同型艦3隻が就航したが、いずれも具体的な戦果をあげる前に敗戦を迎え、米軍に接収・調査された後、撃沈処分された。以下はNational Geographic Channelの動画]

WIRED NEWS 原文(English)

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