【3分でわかる】さよなら絶望先生 前編
週刊少年マガジンで連載中の「さよなら絶望先生」。2007年度の講談社漫画賞において少年部門受賞の栄誉に輝き、アニメは平成20年度の文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員会推薦作品に選ばれている。7月からはアニメ3期の放送も決定しており、のりにのっている作品だ。
主人公「糸色望」は高校教師。彼が受け持つクラスには強烈な個性を持つ女生徒が数多く在籍している。何事もきっちりしていないと気がすまない「木津千里」、望に恋するあまりストーキング行為をくり返す「常月まとい」、動物の尻尾に異常な執着を見せる「小節あびる」、普段はほとんどしゃべらないがメールでは毒舌の「音無芽留」、腐女子「藤吉晴美」などなど。望は日々彼女らにふり回されている。
……絶望した!自分の筆力のなさに絶望した!
あらすじをうまいことまとめようとしたが、どうにもうまくいかない。作品を知らずにこれを読んだ人はありがちなハーレム系萌え漫画だと思ってしまうではないか。そういった要素もなくはないのだが、それ以上に大切な細かいニュアンスが伝えられない。参考までにと目を通したWikipediaに、こんな一文を見つけた。
『ツッコミ系コラム』――素晴らしい。この作品のすべてを表しきった一言である。
この作品は主に望がなにかに絶望し、それについて掘り下げたり広げたり脱線したりしてオチが来る1話完結ものである。絶望するのは“なんでも知らせようとする通知社会”であったり、“ひとりよがりのダメ自己PR”であったり、“消去法だらけの日本”であったり。1つのテーマを掲げ、それにひたすらつっこむのは作者である久米田康治氏の前作「かってに改蔵」を踏襲したスタイルだ。
自ら確立した手法に個性的な女性キャラクターたちをかみ合わせたこの作品は、前作に比べて多くの読者から支持されることとなった。しかし古くからの久米田ファンは連載開始当初は戸惑ったことであろう。なぜなら、前作では女性キャラクターが数多く登場する漫画をあてこするような台詞が多く見られたからだ。かくいう私も、久米田の野郎ついに長い物に巻かれたか、とひとりごちてしまった。
しかし今思えば改蔵内で何度もくり返していた、萌え漫画であればなんでも売れる、という自らのひがみにまんまと乗った姿勢は潔い。個人的には絶望先生=萌え漫画という図式は全力をもって否定したいところであるが、そんなことをしても久米田氏には“恩着せがましい”“主語のデカイ人”と片づけられてしまうであろう。
萌え要素はさておき、この作品の魅力は誰もが感じている小さな矛盾や疑問を小姑のごとくちくちくと拾うことにある。テーマに沿った例として久米田氏が挙げる事柄はどれもマニアックであり、だからこそそれを知っている読者は大きくうなずかざるを得ない。共感とは狭ければ狭いほど強く、深くその胸に刻まれるものである。それを知りあらゆる方面に共感の種をまく久米田氏の脳内こそ、一つの作品といえよう。
(編集部:三浦ヨーコ)
【参照】
・さよなら絶望先生 -Wikipedia-
【関連記事】
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・3分でわかる「ピューと吹く!ジャガー」 前編
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主人公「糸色望」は高校教師。彼が受け持つクラスには強烈な個性を持つ女生徒が数多く在籍している。何事もきっちりしていないと気がすまない「木津千里」、望に恋するあまりストーキング行為をくり返す「常月まとい」、動物の尻尾に異常な執着を見せる「小節あびる」、普段はほとんどしゃべらないがメールでは毒舌の「音無芽留」、腐女子「藤吉晴美」などなど。望は日々彼女らにふり回されている。
あらすじをうまいことまとめようとしたが、どうにもうまくいかない。作品を知らずにこれを読んだ人はありがちなハーレム系萌え漫画だと思ってしまうではないか。そういった要素もなくはないのだが、それ以上に大切な細かいニュアンスが伝えられない。参考までにと目を通したWikipediaに、こんな一文を見つけた。
『ツッコミ系コラム』――素晴らしい。この作品のすべてを表しきった一言である。
この作品は主に望がなにかに絶望し、それについて掘り下げたり広げたり脱線したりしてオチが来る1話完結ものである。絶望するのは“なんでも知らせようとする通知社会”であったり、“ひとりよがりのダメ自己PR”であったり、“消去法だらけの日本”であったり。1つのテーマを掲げ、それにひたすらつっこむのは作者である久米田康治氏の前作「かってに改蔵」を踏襲したスタイルだ。
自ら確立した手法に個性的な女性キャラクターたちをかみ合わせたこの作品は、前作に比べて多くの読者から支持されることとなった。しかし古くからの久米田ファンは連載開始当初は戸惑ったことであろう。なぜなら、前作では女性キャラクターが数多く登場する漫画をあてこするような台詞が多く見られたからだ。かくいう私も、久米田の野郎ついに長い物に巻かれたか、とひとりごちてしまった。
しかし今思えば改蔵内で何度もくり返していた、萌え漫画であればなんでも売れる、という自らのひがみにまんまと乗った姿勢は潔い。個人的には絶望先生=萌え漫画という図式は全力をもって否定したいところであるが、そんなことをしても久米田氏には“恩着せがましい”“主語のデカイ人”と片づけられてしまうであろう。
萌え要素はさておき、この作品の魅力は誰もが感じている小さな矛盾や疑問を小姑のごとくちくちくと拾うことにある。テーマに沿った例として久米田氏が挙げる事柄はどれもマニアックであり、だからこそそれを知っている読者は大きくうなずかざるを得ない。共感とは狭ければ狭いほど強く、深くその胸に刻まれるものである。それを知りあらゆる方面に共感の種をまく久米田氏の脳内こそ、一つの作品といえよう。
(編集部:三浦ヨーコ)
【参照】
・さよなら絶望先生 -Wikipedia-
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