重要な戦力である。だからこそ闘莉王の軽率なミスが悔やまれる<br>(photo by Kiminori SAWADA)

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 日付がかわるころに埼玉スタジアムから自宅へ辿り着き、録画しておいた映像を観る。ウズベキスタンに喫した失点シーンを振り返る。何か見落としているものはないかと、巻き戻して再生という作業を繰り返す。スタジアムで感じた疑問は、消えないままだった。

 疑問が残るのは闘莉王の対応だ。失点に至る流れのなかで、彼はウズベキスタンのタテパスをジャンピングボレーでクリアしようとしている。だが、ジャストミートできなかったボールは、相手選手へのパスになってしまう。そこから左サイドを突かれ、グラウンダーのクロスをシャツキフに押し込まれたのだった。

 やや背走しながらのクリアだったので、十分な態勢でなかったところはある。それにしても、ジャンピングボレーでなければ跳ね返せないボールではなかった。

 自陣でのクリアに、アクロバチックな要素など必要ない。守備の人数が揃っていないのであれば、しっかり前に蹴り出して流れを切ることを最優先するべきだ。これはもう、クリアミスというより、プレーの選択ミス(判断ミス)である。

 空中戦の競り合いではほとんど負けなかったし、その高さは相手ゴール前でも威力を発揮していた。闘莉王がこのチームに欠かせない選手であるのは間違いない。

 それだけに、軽率とも言えるあの判断ミスが、僕には残念でならなかった。W杯予選では絶対にやってはいけない種類のプレーであり、一つひとつのプレーの重みを分かっていなかったとの指摘も免れない。

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