撮影:野原誠治
 2002年10月、シングル「Stay With You」でデビューを果たしたシンガーソングライター、“ピアノガール”星村麻衣。2作のアルバムを経て、昨年3月に発表したシングル「桜日和」はスマッシュヒットを記録し、続く「瞬間、ストロボ」「かけがえのない人へ」「regret」といずれの作品でも優れたメロディセンスをいかんなく発揮。カップリングでは一転、恋する女性の気持ちを代弁するかの様にリアルな歌詞が共感を集めている。その彼女が今月20日、竹野内豊・菅野美穂出演により医療の現場が抱える様々な問題を描いたヒューマンドラマ「Tomorrow -陽はまたのぼる-」の主題歌としてオンエア中のニューシングル「ひかり」をリリースした。

――今回の「ひかり」はTBS系ドラマ日曜劇場「Tomorrow –陽はまたのぼる-」の主題歌として7月よりオンエアされていますが、撮影現場や舞台となった病院を実際に訪れて取材されたそうですね。取材したことによって新たに気付かされたことなどはありましたか?

星村麻衣(以降、星村):歌詞は取材する前に、ドラマの第一話の台本を読ませて頂いてもう書き始めてはいたんですけど、やっぱり医療の世界は自分とすごく遠いというか、音楽をやっていると全く分からないことなので、それをより身近に感じたいなと思って、お話を聞きに行って。自分が今まで思っていたよりも全然、地方の医者不足という現状は厳しくて、本当にすごく大変で。地方の病院を立て直そうと頑張っている事務長さんに最初お話を聞いたんですけど、すごく信念が強いというか。患者さんの笑顔だったり、希望を信じているから自分は頑張れるんだというリアルな声を聞くと、今回、私も楽曲でドラマに携わるにあたって、責任感みたいなものがより強くなって。「本当に中途半端なものは出せないな」という覚悟が、現場に行ってお話を聞く前と後とでは全然違いましたね。

――今までにリリースした曲の中で、今回のように取材をしたことはあったのですか?

星村:無いです。初めてですね。

――普段、あまり病院に行く機会は少ないですか?

星村:少ないですねー。割と健康ですね(笑)。

――「何かが変わってくれること ただ待っていたんだ」「変わる強さの 意味を感じている」と歌詞にありますが、周囲との関係や自分自身の中でも変化を感じることはありますか?

星村:本当にその歌詞の通りで。例えば自分の悩みとか嫌なことは、すごく他人任せで、自分のことは棚に上げて「周りが変わらないからいけないんだ」という考え方をしていた時も実際にあって。でも、それが今は人の話を聞くことだったり、やっぱり自分一人じゃ出来ないことだし、「みんなと一緒に音楽を作っている」という意識がデビューの時よりも断然強くなっていて。そういう所はすごく大きく変化した所ですね。「自分が変わっていかないと、周りの状況も変わらないんだな」というのは最近、本当に思っていることで。それをそのまま歌詞に書きました。

――「心の中にある 優しくよりそうひかり 私を導くひかり」とありますが、星村さんにとって「ひかり」のように感じるものは何ですか?

星村:やっぱり何か辛いことじゃなくて、ちょっとした楽しいことだったり、何かすごい喜びの瞬間だったり。それは曲を作っていても、色々な過程であるんですけど、レコーディングで曲がどんどん化粧していって、最後に出来上がる瞬間だったり。そういうものが私の中では「ひかり」なんですけど、そういうものがあるからこそ辛いことも頑張れるし、そこに向かって進んでいけると思いますね。

――デビュー以前からこういう歌を歌いたいとか、こういう歌手になりたいというイメージはありましたか?

星村:デビューの時は、デビューすることがその時は一応ゴールだったりして。実際には、そうでは無かったんですけど(笑)。いつもイッパイイッパイで、そんなことを考える余裕さえも無かったような気がしますね。