14日、マンチェスターでUEFA杯決勝が行われる。今季の本命と言われたバイエルン・ミュンヘン(独)、対抗馬だったフィオレンティーナ(伊)をそれぞれ準決勝で下した、ゼニト・サンクトペテルブルク(露)とグラスゴー・レンジャーズ(スコットランド)が、ファイナルで激突する。

 1873年に創設したレンジャーズのトロフィールームには、カップウィナーズ杯(1972年)があり、他に51回のリーグ優勝、31回のスコットランド杯がある。
 ゼニトには、それに比肩する華々しいタイトル歴はない。URSSスーパー杯を獲得した他は、これまでに7回だけUEFA杯に参戦し2005-06年シーズンに収めたベスト8が最高成績だ。2006年、ロシア国営巨大エネルギー企業「ガスプロム」がオーナーになると、すべてが変わった。翌年すぐにリーグ優勝を達成する。

 ゼニトのエースであり、今季UEFA杯ゴールランキング・トップ(10得点)のFWパベル・ポグレブニャクは累積警告で決勝に出られない。だが、準決勝において巨人バイエルンを無尽蔵のスタミナと走攻守で圧倒した、2006年ロシア最優秀選手アンドレイ・アルシャヴィンを初めとする精鋭たちには負けられない理由がある。

 サンクトペテルブルグは、7日の政権禅譲後も絶大な権力を温存するロシア前大統領プーチンの故郷であり、プーチンは出生地チームに優勝を厳命している。さらに今季のロシア国内リーグは始まったばかりで、選手のフレッシュ度では疲労困憊のレンジャーズと雲泥の差がある。指揮官アドフォカートに、このビッグタイトルを逃す選択肢はないのだ。