【最新ハイテク講座】冬ボーナスの一番人気「薄型テレビ」技術の最前線
2007年の冬のボーナスで購入したい機器のトップは、ITデジタル家電購入意向調査(07年冬ボーナス商戦編)によると「薄型テレビ」だという。
「薄型テレビ」が昨年トップの「パソコン」を抑えて1位を獲得した背景には、地上アナログ放送が2011年7月の終了することや、2008年開催の北京オリンピック需要などがあるのだろう。
ところで、一口に「薄型テレビ」といっても、ハイテクが進んだ現在ではいろいろなタイプがある。そもそも薄型テレビは、どんな技術でなりたっているのだろう。
今回は、今もっとも注目されている「薄型テレビ」について調べてみよう。
■薄型テレビの種類
薄型テレビは、液晶テレビやプラズマテレビ、最近では有機ELテレビなど、その種類は様々だ。
まずは、それぞれのテレビの特徴からみていこう。
●液晶テレビ
・どういう仕組み
液晶とは、固体と液体との中間的な物質のこと。液晶テレビでは、2枚のガラス板の間に液晶を封入し、電圧を掛けることによって液晶分子の向きを変え、光の透過率を増減させて映像を表示する仕組みだ。ただし、液晶自体は発光しないので、液晶パネルの背後に設置したバックライトの光で表示する。
・液晶テレビは優等生?
液晶テレビは、携帯型のポータブルテレビから大型テレビまで、様々な画面サイズがある。たとえば、シャープの液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」では13V型から65V型までの全13種類※、パナソニックの「VIERA(ビエラ)」では15V型から37V型までの全6種類※、日立の「Wooo(ウー)」では26V型から37V型までの全3種類※、ソニーの「BRAVIA(ブラビア)」では20V型から70V型までの全7種類もある。(2007年12月20日現在)
液晶テレビに使用される液晶パネルは、パソコンのディスプレイやポータブルDVDプレイヤー、カーナビなどにも使用されるなど用途が広く、量産効果や生産メーカー競争による生産コスト抑制から低価格化がほかの薄型テレビより進んでいる。
・液晶テレビにも弱点はある?
優れた液晶テレビだが、後述するプラズマテレビに比べると、表示速度が遅いことが弱点でもある。スポーツ番組のように画面が激しく変わる映像では、液晶の表示が追いつかずに残像が残ってしまうという弱点※がある。
そこで最近の液晶テレビの中には、1秒間により多くの静止画を表示する“倍速駆動技術”を備え、残像そのものが映る時間を短くした製品なども登場してきている。またプラズマテレビに比べ、視野角が狭いことから、斜めからの見ると、正面から見るよりも暗くみえるといった性質もある。
※動画の「ブレ」
●プラズマテレビ
・どういう仕組み?
プラズマとは、原子や分子から電子が離れ、イオンと電子が混在した状態となる放電現象のこと。つまりプラズマテレビは、放電によって発生した紫外線で蛍光体を発光させる原理を利用しているのだ。身近な家電では、蛍光灯が同じ原理を利用している。
プラズマテレビでは、赤色(R)・緑色(G)・青色(B)の色を付けた小さな蛍光灯を発光させて表示を行っている。
・スポーツ観戦ならプラズマ
液晶テレビに比べて表示速度が速いのが最大の特徴。スポーツ番組など動く被写体が多い映像ソースの視聴に向いている。
パナソニックのプラズマテレビ「VIERA(ビエラ)」では、103V型の超大型プラズマテレビもラインナップされています。ちなみに、「VIERA(ビエラ)」では37V型から103V型までの全6種類※、日立の「Wooo(ウー)」では37V型から60V型までの全4種類(2007年12月20日現在)
・プラズマは大型中心?
プラズマテレビは、大型テレビが中心。
液晶テレビに使われる液晶は大画面テレビを作ることが難しい技術でもあり、プラズマのほうが大画面サイズのテレビに適していたことで、プラズマテレビは大型テレビを中心に開発が進んできた。反面、プラズマテレビは小型の製品が少なかったが、最近では「VIERA(ビエラ)」のように37V型のプラズマテレビも登場しはじめている。液晶テレビに比べると同サイズで高精細な表示ができないという弱点を持っているが、この問題も近年の技術革新により改良されつつある。
●有機ELテレビ
・どういう仕組み?
有機ELは、電気を流すと光る性質を持った有機物質のこと。
有機ELテレビは、この有機ELの技術を利用したテレビで、プラズマテレビのように自発光型なので液晶テレビのようなバックライトが必要ない。またプラズマテレビは、蛍光体を発光させるために「セル」と呼ばれる小部屋を作るため、ある程度の厚さが必要になる。それに対して、有機ELテレビは、紙のように薄い有機ELを使用するので、プラズマテレビに比べて薄く作れるという利点がある。2007年12月20日現在、有機ELテレビはソニーのみが製品化している。画面サイズは11V型で20万円(希望小売価格)だが、最薄部は約3mmという薄さを実現している。
・万能な性能を誇る有機EL
有機ELテレビは、色の再現性が高く、映像の明暗にかかわらず、純度の高い鮮やかな色を表現できる特徴を持っている。またスポーツなどの早い動きの番組もなめらかに再現できる。
・性能は高いが価格がネック
有機ELテレビは、同サイズの液晶テレビに比べて価格が高く、寿命が短い※という弱点がある。しかし、こうした問題は、今後の技術革新による克服が期待されている。
※ソニーの有機ELテレビ「XEL-1」の場合、約3万時間。1日8時間の使用で約10年使用できる計算。
■薄型テレビの特徴
映像方式の違い以外にも、薄型テレビには以下の特徴がある。
●ハイビジョン対応
最近では、デジタルハイビジョン放送に対応した薄型テレビも増えてきた。1,920×1,080ピクセルのフルハイビジョンテレビは、高画質な映像を実現するが価格も高くなるため、そこまで画質にこだわらずハイビジョン画質を楽しむニーズから1,280×720ピクセル以上のハイビジョンテレビに人気がある。
●画面の大きさと視聴距離
薄型テレビは、ブラウン管テレビに比べて軽量で省スペースですむ特徴がある。ただ大型テレビの場合、画面の高さの約3倍が理想的な視聴距離であるといわれている。部屋の広さに計算すると、表1のようになる。V型とは、映像が実際に映る画面の対角寸法を基準とした大きさだ。
表1.部屋の広さと画面サイズ
※参考:リビングのテレビを選ぶ
編集部:関口哲司
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「薄型テレビ」が昨年トップの「パソコン」を抑えて1位を獲得した背景には、地上アナログ放送が2011年7月の終了することや、2008年開催の北京オリンピック需要などがあるのだろう。
ところで、一口に「薄型テレビ」といっても、ハイテクが進んだ現在ではいろいろなタイプがある。そもそも薄型テレビは、どんな技術でなりたっているのだろう。
■薄型テレビの種類
薄型テレビは、液晶テレビやプラズマテレビ、最近では有機ELテレビなど、その種類は様々だ。
まずは、それぞれのテレビの特徴からみていこう。
●液晶テレビ
・どういう仕組み
液晶とは、固体と液体との中間的な物質のこと。液晶テレビでは、2枚のガラス板の間に液晶を封入し、電圧を掛けることによって液晶分子の向きを変え、光の透過率を増減させて映像を表示する仕組みだ。ただし、液晶自体は発光しないので、液晶パネルの背後に設置したバックライトの光で表示する。
・液晶テレビは優等生?
液晶テレビは、携帯型のポータブルテレビから大型テレビまで、様々な画面サイズがある。たとえば、シャープの液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」では13V型から65V型までの全13種類※、パナソニックの「VIERA(ビエラ)」では15V型から37V型までの全6種類※、日立の「Wooo(ウー)」では26V型から37V型までの全3種類※、ソニーの「BRAVIA(ブラビア)」では20V型から70V型までの全7種類もある。(2007年12月20日現在)
液晶テレビに使用される液晶パネルは、パソコンのディスプレイやポータブルDVDプレイヤー、カーナビなどにも使用されるなど用途が広く、量産効果や生産メーカー競争による生産コスト抑制から低価格化がほかの薄型テレビより進んでいる。
・液晶テレビにも弱点はある?
優れた液晶テレビだが、後述するプラズマテレビに比べると、表示速度が遅いことが弱点でもある。スポーツ番組のように画面が激しく変わる映像では、液晶の表示が追いつかずに残像が残ってしまうという弱点※がある。
そこで最近の液晶テレビの中には、1秒間により多くの静止画を表示する“倍速駆動技術”を備え、残像そのものが映る時間を短くした製品なども登場してきている。またプラズマテレビに比べ、視野角が狭いことから、斜めからの見ると、正面から見るよりも暗くみえるといった性質もある。
※動画の「ブレ」
●プラズマテレビ
・どういう仕組み?
プラズマとは、原子や分子から電子が離れ、イオンと電子が混在した状態となる放電現象のこと。つまりプラズマテレビは、放電によって発生した紫外線で蛍光体を発光させる原理を利用しているのだ。身近な家電では、蛍光灯が同じ原理を利用している。
プラズマテレビでは、赤色(R)・緑色(G)・青色(B)の色を付けた小さな蛍光灯を発光させて表示を行っている。
・スポーツ観戦ならプラズマ
液晶テレビに比べて表示速度が速いのが最大の特徴。スポーツ番組など動く被写体が多い映像ソースの視聴に向いている。
パナソニックのプラズマテレビ「VIERA(ビエラ)」では、103V型の超大型プラズマテレビもラインナップされています。ちなみに、「VIERA(ビエラ)」では37V型から103V型までの全6種類※、日立の「Wooo(ウー)」では37V型から60V型までの全4種類(2007年12月20日現在)
・プラズマは大型中心?
プラズマテレビは、大型テレビが中心。
液晶テレビに使われる液晶は大画面テレビを作ることが難しい技術でもあり、プラズマのほうが大画面サイズのテレビに適していたことで、プラズマテレビは大型テレビを中心に開発が進んできた。反面、プラズマテレビは小型の製品が少なかったが、最近では「VIERA(ビエラ)」のように37V型のプラズマテレビも登場しはじめている。液晶テレビに比べると同サイズで高精細な表示ができないという弱点を持っているが、この問題も近年の技術革新により改良されつつある。
●有機ELテレビ
・どういう仕組み?
有機ELは、電気を流すと光る性質を持った有機物質のこと。
有機ELテレビは、この有機ELの技術を利用したテレビで、プラズマテレビのように自発光型なので液晶テレビのようなバックライトが必要ない。またプラズマテレビは、蛍光体を発光させるために「セル」と呼ばれる小部屋を作るため、ある程度の厚さが必要になる。それに対して、有機ELテレビは、紙のように薄い有機ELを使用するので、プラズマテレビに比べて薄く作れるという利点がある。2007年12月20日現在、有機ELテレビはソニーのみが製品化している。画面サイズは11V型で20万円(希望小売価格)だが、最薄部は約3mmという薄さを実現している。
・万能な性能を誇る有機EL
有機ELテレビは、色の再現性が高く、映像の明暗にかかわらず、純度の高い鮮やかな色を表現できる特徴を持っている。またスポーツなどの早い動きの番組もなめらかに再現できる。
・性能は高いが価格がネック
有機ELテレビは、同サイズの液晶テレビに比べて価格が高く、寿命が短い※という弱点がある。しかし、こうした問題は、今後の技術革新による克服が期待されている。
※ソニーの有機ELテレビ「XEL-1」の場合、約3万時間。1日8時間の使用で約10年使用できる計算。
■薄型テレビの特徴
映像方式の違い以外にも、薄型テレビには以下の特徴がある。
●ハイビジョン対応
最近では、デジタルハイビジョン放送に対応した薄型テレビも増えてきた。1,920×1,080ピクセルのフルハイビジョンテレビは、高画質な映像を実現するが価格も高くなるため、そこまで画質にこだわらずハイビジョン画質を楽しむニーズから1,280×720ピクセル以上のハイビジョンテレビに人気がある。
●画面の大きさと視聴距離
薄型テレビは、ブラウン管テレビに比べて軽量で省スペースですむ特徴がある。ただ大型テレビの場合、画面の高さの約3倍が理想的な視聴距離であるといわれている。部屋の広さに計算すると、表1のようになる。V型とは、映像が実際に映る画面の対角寸法を基準とした大きさだ。
10畳〜 | 58V型〜 |
8畳 | 50V型 |
6畳 | 42V型 |
4.5畳 | 37V型 |
編集部:関口哲司
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