ニューカッスルのサム・アラダイス監督が、新シーズンに向けた攻撃陣の編成に危機感を募らせている。昨シーズン終盤に長年監督を務めたボルトンを退団し、新天地にニューカッスルを選んだアラダイス。古豪復活を託された指揮官は、すでにFWマーク・ヴィドゥカ(元ミドルスブラ)やMFジョーイ・バートン(元マンチェスター・シティ)などを獲得し、着々と戦力を整えていた。しかし、ここにきて、チームの柱となるべきストライカー2人の去就に暗雲が立ち込めはじめた。

 今オフの移籍が根強く噂されているのが、イングランド代表FWマイケル・オーウェンだ。その移籍先として有力視されているマンチェスター・ユナイテッドは、オーウェン獲得に400万ポンド(9億8000万円)+FWアラン・スミスの条件を近日中に提示する模様。また、オーウェンの契約内容には、900万ポンド(約22億円)でニューカッスルとの契約を破棄できるとの条項が含まれているとも言われている。

 さらに、移籍初年度からリーグ戦で11ゴールを記録したFWオバフェミ・マルティンスは、アーセナルへの移籍が取り沙汰されている。FWティエリ・アンリをバルセロナへ放出したガンナーズは、その後継者として22歳のナイジェリア代表を指名。そのマルティンスも、オーウェンと同様、契約内容に「1300万ポンド(約32億円)で自由に移籍できる」との条項を盛り込んでいる。

 2人のエース候補の去就について、アラダイス監督は移籍を認める条項の存在を認め、早くも諦めの表情を浮かべている。

「マルティンスの契約内容については周知の通りだ。おかげで、我々は厳しい状況に追い込まれている。条項を行使されれば、我々に打つ手は残されていない。私としては、新シーズンに向けて、オーウェンとマルティンスを含めたチーム作りを考えている。しかし、8月末までの期間中に、彼らを失う可能性はある。我々にとっては、非常に大きな痛手となるだろう・・・」

 就任早々、チームの根幹を揺るがす移籍問題を抱えることとなったアラダイス。プレミアの上位に食い込むためにも、最低でもオーウェンかマルティンスのどちらか一方は残留させたいところ。エース候補の移籍阻止に向け、新監督の求心力がいきなり問われることとなりそうだ。