ライブドア(LD)グループをめぐる証券取引法違反事件で、同法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた元取締役、宮内亮治被告(39)ら旧経営陣4人に対する論告求刑公判が19日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれた。

 検察側は「新興企業、IT関連企業に対する投資者からの信頼を失わせ、我が国の企業内容等開示制度全般に対する国内外からの信頼までも失墜させた上、他の多くの堅実な新興企業等の資金調達に悪影響を与え、その発展を阻害させた所にあり、経済に与えた悪影響は重大である」と指摘。宮内被告に懲役2年6月、他の3被告に懲役1年6月を求刑した。

 11月22日に弁護側が最終弁論を行い、結審する。

 今回、宮内被告の他に求刑されたのは◆元代表取締役、熊谷史人(28)◆元取締役、岡本文人(38)◆ライブドアファイナンス(LDF)元社長、中村長也(39)の3被告。公判で宮内、岡本、中村の3被告はほぼ起訴事実を認めたが、熊谷被告は自社株売却益の売り上げ計上について「ファンド(投資事業組合)は連結対象外とみなしており、問題があるとの認識はなかった」と検察の主張を否定、一部無罪を主張している。

 論告で検察側は、一連の犯行は元社長、堀江貴文被告(33)=分離公判中=が主導したと位置付けた。動機や犯行について「LDグループの飽くなき拡大のため、時価総額増大を図るために敢行したもので、酌量の余地はいささかもない」と指弾した。

 さらに、犯行は容易には発覚しにくい仕組みで行われ、極めて巧妙かつ悪質なものであったことから、「粉飾決算の実態が投資者に判明したと同時に、投資者の信頼を失って上場廃止まで至った。同社の事業収益力・成長性を信じて株式を購入した多数の投資者に、多額の損害を被らせた」と個人投資家を含め、証券市場に与えた影響は極めて大きいと批判。LDは「粉飾の“連鎖”を拡大させていった」とまで言い切った。一方、熊谷被告が「検事から『一生保釈されない』と言われた」などを証言したことについては、「当初から事実を認めており、荒唐無稽(むけい)な弁明だ」と反論した。

 近年の証券取引法違反事件では、2006年3月にカネボウ元社長が2年間の連結決算をそれぞれ800億円粉飾したとして、懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)が言い渡されている。また、西武鉄道株を巡る同法違反事件では05年10月、コクド元会長に懲役2年6月、執行猶予4年、罰金500万円(求刑懲役3年、罰金500万円)が言い渡された。【了】