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「『ブラック企業なら、労働組合に相談するんじゃなくて、すぐにやめたらいいじゃないか!』など、労働者がたたかうことを揶揄をするような風潮もネット上で広がっている。どう考えるべきか?」

12月23日に開かれたブラック企業大賞の発表・授賞式のあとにおこなわれたシンポジウムの質疑応答で、こんな内容の質問が会場からあがった。

●「たたかえる労働者はたたかうべきだ」

ブラック企業大賞の実行委員の須田光照さん(全国一般東京東部労組書記長)は「大前提として、(ブラック企業の)労働者たちは、長時間労働やパワハラで痛めつけられている。自殺という手段を選ばないといけないほど、追い詰められた労働者が、緊急避難的に、職場を去るという選択肢はあっていい」と話した。

実際に相談を受けて、そう助言をすることもあるという。ただ、須田さんは「労働者がたたかうことを揶揄するような主張は、痛めつけられている労働者のことを思って言っていることではない。声をあげられて、たたかわれることが、嫌で嫌で仕方ないから、経営者の利益を代弁するかたちで言っていることだと思う。たたかえる労働者は、たたかってもらいたい」と話した。

●簡単にやめる選択肢があるといえないケースも

実行委員の竹信三恵子さん(ジャーナリスト)は「この時代、正社員になっても、定年までいられなかったり、過労死してしまうこともあったりする。労働法や身を守る方法を身に着けないと、死んでしまう。やめた先でまたひどい目にあう。やめて終わりにならない。だったら、たたかう方法を身に着けるべきだ」と述べた。

実行委員の松本千枝さん(ジャーナリスト)は、子育てをしている女性が、仕事をやめたら、保育園に子どもをあずけられないことを例にあげた。「みんな自分の生活状況を考えながら仕事を選んでいる」「簡単にやめる選択肢があるとはいえないケースもある」と指摘した。

(弁護士ドットコムニュース)