フリーで詰めるだけというイージーな状況だったが、この位置にいたことを評価すべきだろう。前節同様、香川の位置取りは非常に効果的だった。ただ、ドルトムントは公式戦3試合連続未勝利……。チームとして決定力を上げる必要がある。 (C) Getty Images

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 1月19日(現地時間)、ブンデスリーガ第19節が行なわれ、ドルトムントは1-1でヘルタ・ベルリンと引き分けた。

 ともに日本人選手が所属するチーム同士の対戦だが、ドルトムント香川真司を公式戦7試合連続で先発起用したのに対し、ヘルタの原口は前節に続いてベンチ外となった。また彼同様、今冬での移籍が噂されるドルトムントのオーバメヤンも、今回のベルリン遠征には加わらなかった。
 
 試合は、開始直後にヘルタがいきなり敵陣深くまで攻め入ったが、すぐにドルトムントがボールを保持。順位では大きく上を行くだけに(ドルトムントは4位、ヘルタは11位)、そのままペースを掴むかと思われたが、ホームチームも負けてはいない。
 
 ヘルタはスピーディーかつスムーズにボールを繋ぎ、5分にはドルトムントに先んじてファーストシュートも放つ。その後も、主に右サイドからゴールに迫り、幾つものクロスを入れながら、思い切ったフィニッシュで再三、相手ゴールを脅かした。
 
 対するドルトムントは、14分に最初の好機を迎える。ゲッツェの縦パスを起点にした攻撃で、プリシッチが右からクロスを入れると、ゴール前に入った香川がヘッドで合わせたが、ボールはクロスバーを越えていった。
 
 前節同様に右のインサイドハーフとして試合開始を迎えた香川は、相変わらず縦横に広く動き、前線で好機を待ち、守備では相手をチェイスしたかと思えば、自陣の最終ライン近くまで戻ってボールを受けに行くなど、あらゆる位置でプレーに絡もうとする。
 
 左足でのロングパスでサイドチェンジを決めるなど正確なキックを見せる香川は、36分には左サイドのサンチョに絶妙のスルーパスを通す。その一方で、ピシュチェクのダイレクトパスをペナルティーエリア内で受けながらもトラップが乱れて好機を逸したり、中盤でコントロールを乱して奪われるという場面も見られた。
 
 ボールポゼッションでは互角ながら、ドルトムントはなかなか相手陣内深くでボールを繋げず、ホームチームの方がより効果的で、ゴールに近付いた前半の45分が終了した。
 
 ともにスコアレスで迎えた後半、開始から1分も経たないうちに均衡が破れる。ラザロが巧みに右サイドを抜け出して入れたクロスを、ファーサイドでゼルケが合わせてGKビュルキの牙城を破り、ヘルタが先制ゴールを奪った。
 
 リードを奪われたドルトムントは、ここから攻勢に転じ、やや引き気味となったホームチームの守備を攻略にかかる。56分にはDFをかわしたプリシッチが強烈なシュートを放ち、その3分後にはトリャンの右からのクロスを香川が無理な体勢でのボレーで合わせたが、いずれもGKクラフトが正面で防いだ。
 
 対するヘルタは62分、スルーパスでカルーが抜け出し、飛び出したビュルキを抜くシュート。ボールはゴールに向かって転がったが、これをオフサイドポジションにいたドゥダが詰めたため、無効としてしまった。
 
 リードを広げる絶好のチャンスを自ら潰したヘルタに対し、ドルトムントは執拗に攻撃を仕掛け、71分、ついに同点のゴールを奪う。サンチョが左サイドから仕掛け、一度ははね返されるも、ボールを拾ってクロスを入れると、ファーサイドで待ち受けたフリーの香川がヘッドでゴールネットを揺らした。
 
 常に点を取れる位置に走り込むなど、ゴールを意識したプレーを心掛けていた香川の通算4得点目。このゴールはまた、ブンデスリーガ史上、通算2万点目のアウェーゴールとなった(ブンデスリーガ公式サイトより)。
 
 こうして試合を振り出しに戻したドルトムントは、さらに82分にサンチョ、86分に交代出場のイサクが決定機を迎えるも、ゴールマウスを捉えることはできない。
 
 その後も、攻勢のアウェーチームはヘルタの守備をこじ開けようとしたが、あと一歩のところではね返され、結局、前節に続いて勝点1止まり。2018年の初勝利はまたもお預けとなった。フライブルクをホームに迎える次節(27日)は、17節以来の白星奪取はなるか。