金正恩の妹・金与正には日本との意外な接点も(写真:共同通信社)

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 叔父(張成沢)と兄(金正男)を殺したロケットマン独裁者が頼るのは、妹しかいなかった。金正恩の妹である金与正(キムヨジョン・30)が、朝鮮労働党の中枢メンバーである政治局員候補に抜擢された。これについて、東京新聞編集委員で金一族に詳しい五味洋治氏が解説する。

「与正氏は正恩氏とともにスイスに留学したこともあり、いまや正恩氏が唯一信頼する人物です。面会したことのある人たちはみな、『話していると楽しくはしゃぐ年相応の普通の女の子』と口を揃えますが、メディアを統制する『宣伝扇動部』出身のため思想宣伝に長けており、住民のホンネを探るために密使を張り巡らせるなど、表と裏の顔がまるで違う。

 父の故・金正日総書記も政治的センスを認め、後継者に考えたこともあるほど。正恩氏も万が一の時の後継者に与正氏を考えているのではないか」

 金与正には、日本との意外な接点がある。コリア・レポート編集長の辺真一氏が言う。

「幼少期に正恩氏と来日し、ディズニーランドで遊んだことがある。そうした経験からか、スイス留学時代には、何の作品か不明ですが日本のアニメキャラの絵を描いて学友に見せていたそうです。与正氏が党幹部であることが分かったのは3年前、北朝鮮国内のアニメ映画撮影所を兄とともに視察した際のこと。メモを片手に笑う姿が写真に残っており、アニメには強い関心があるようです」

 もう一つ日本に関わる話がある。かつて、横田めぐみさんの娘のキム・ウンギョンさんと「同じ大学に通い、同じ政府機関の部署で働いていた」との情報が流れ、日本でも読売新聞(2014年3月18日付)が報じた。事実とすればめぐみさん救出のキーパーソンにもなり得るが、「拉致被害者家族と金一族を引き合わせることはあり得ない」(前出・辺氏)と否定的な見方が強い。

「問題は、この話を流しているのが韓国の拉致家族会だということ。情報は金正恩政権の中枢から提供されており、めぐみさんの名前が出れば日本メディアが飛びつき、拉致問題の世論を動かせると考えたのではないか」(前出・五味氏)

 この“情報工作”に与正氏自身が関与していたかは不明だが、宣伝と煽動に長けたロケットガールは、なかなか癖が強そうだ。

※週刊ポスト2017年10月27日号