結局、日本は2−0で因縁の相手を撃破。久保の1得点1アシストという結果だけでも絶大なインパクトだったが、自陣から相手ゴール前までスプリントを繰り返し、個の能力で相手DFを打開し、ゴールまで持って行けるオールラウンドの能力はやはり特筆に値する。この日前線に陣取った大迫、原口を含めた3枚全員が個人でフィニッシュまで持ち込める技術、フィジカル、力強さを兼ね備えているからこそ、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督がいきなり採用した4−3−3の新布陣もはまったのだ。久保というピースがいなければ、敵地でUAEにリベンジを果たすことはできなかったはず。今や彼は本田圭佑を凌駕し、ハリルジャパンに不可欠な存在になったと言っても過言ではないだろう。

「本田さんだけじゃなく、僕らの世代がもっと(上を)脅かすというか、そういう姿勢でやらないとダメだと思います。本田さんと同じポジションなので余計にそうだと思いますし。これで主力の座を奪ったという思いも全くない。まだ1試合結果を残しただけなんで、続けないといけない。危機感を持ってやりたいですね」と本人のスタンスは今後も変わることはない。スイス・ヤングボーイズ時代、家の壁にドイツ語を貼って猛勉強したように、全てをサッカーに捧げるストイックを持ち合わせた若き点取屋の覚醒が、今後の日本代表の大きな力になるだろう。

文=元川悦子