【話題】子どもが将来「おでんツンツン男」にならないためには

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通称「おでんツンツン男」が、いま話題にのぼっています。

“いざか族”が増えている!?「子どもを居酒屋に連れて行くアリ? なし?」問題

男性はコンビニで、おでんを指で繰り返しつついて販売できなくさせたうえ、店の業務を妨害した、器物破損と威力業務妨害の疑いで逮捕されました。

男性は、おでんをつつく様子を撮影した動画をインターネットに投稿。炎上したら「反省しています〜」と、鼻糞をほじりながら謝る動画を続けて投稿し、再び炎上しました。

馬鹿げているというか、何だか悲しいですよね。

その後には模倣犯まで出てきて、牛丼屋の備え付けの紅ショウガのトングを使って、自分の食べかけの牛丼をかき混ぜる動画を投稿した男性も。こちらも話題になっていました。

もし、子どもが将来、そんな大人になってしまったら残念ですよね。

でも、親の対応によって、その片鱗が出てきていることもあるんですよ。
『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』の著者の、立石美津子がお話しします。

100点よりも0点とる方が近道。根は深いのではないか

ニュースでは、大の大人のこの行為について様々言われていますが、私は根っこが深い気がしています。

私は長年、仕事で幼児に授業をしていますが、担当生徒の中に問題行動が収まらない子どもがいました。叱れば叱るほど、むしろそれを楽しみにし、喜んでいるようで、態度がますます悪化するのです。

最初は何故、叱っても叱っても、その行動が収まらないのか不思議に思っていました。そしてあるとき、その子が私が他の子に関わっているときに限って、椅子を倒したり、鉛筆を投げたり、お友だちに鼻糞や唾を吐いたりしていることに気が付きました。

つまり、子どもの行動にはある一つの目的がありました。「僕だけを見て見て〜」という自己アピールの気持ちがとても強く、私が他の子に関わっているのは面白くなくて、自分のところに私を呼び寄せるためにそのような行動に出ていたのです。

私にも非があり、いつも全体の中での評価しかしておらず、「あの子はほかの子に比べて態度が悪く、扱いにくい子」と頭の片隅に常にあって、たとえ、その子が静かに座っている瞬間があったとしても、それについては無視無言。何か事をしでかしたときだけ、叱ることをしていたのです。

きっと、その子の気持ちの中には「僕はどんなに努力しても他の子と同じような良い子ではいられないし、ちょっと頑張っていても先生は気づいてくれない。だったら、手っ取り早く悪い行動をした方が、先生は気づいて僕にかまってくれる」と考えていたのです。

つまり、100点を取るには遠い道のりでも、0点を取る方が手っ取り早いわけです。

私はそのことに気がついてからは“教室に休まずに来ている”“トイレに行って手を洗って出てきた”“道具を持ってきている”“髪の毛がグチャグチャになっていない”そんなことさえ褒めるように方向転換していきました。

すると、あれだけ叱っても態度が改善しなかったのに、次第に問題行動が消失していきました。

“日の目を見ない子”とは

何でもできてしまう子、親の期待通りの良い子でいられる子、絵がうまい子、かけっこが速い子。成績優秀な子など、ある意味100点を取るような子であれば、「素晴らしいね!」「立派だね!」と褒められる機会も多く、注目され、大人の評価を受けることが出来ます。

もちろん、このような栄光を勝ち得るのはほんの一握りの子ですから、その他大勢の凡人はそんなことはしないのですが、なかなかパッとせず、そこに至るには相当長い道のりだったり、永遠に手に入らない子の中には、180度方向転換して、悪い行動に出たりする子どもも実際いるのです。

どうすればよいのか

この世に生まれて何も出来ない人間の子ども。一番の理解者になって寄り添ってやらなくてはならない親から、いつも優秀な子や兄弟姉妹と比較されて、存在さえ認められない環境で育った人が、やがて成長して大人になったとき、おでんツンツンなどとんでもない行為に出てしまうケースがあるような気がしてなりません。

頭をド派手に染めて奇抜な格好をするのも、似たような深層心理がそこにはあるような気がします。

さて、子どもにこのような行動が見られたときは一体どうしたら良いのでしょうか?

そんなときは“負の行動(悪い行動)を無視して、正の行動(良い行動)を強化”しましょう。

つまり、おでんをツンツンしたり、牛丼を紅ショウガをとる共用のトングでかき混ぜても、無視無視無視。テレビでも取り上げない。ネットでも炎上しない。「どう頑張って悪さをしても、誰からも注目されない」ことを経験させるのです。

そして、良いことをしたらすごーーーーく評価してやります。鉛筆を投げても椅子を倒しても無視無視無視。その代わり、一瞬でも座っていたり、鉛筆を持っていたら「頑張っているね」と評価するのです。

家庭で行うときは、良い行為は特別なことでなくてもいいのです。食後に食器を下げたとか、自分から「おはよう」と親に挨拶できたとか、親に言われなくても手洗いうがいをしたとか、そんな些細なことで構わないのです。

これを言葉に出してやることで「あなたのことをいつも見ていて、ちゃんと評価しているのよ」という愛情表現になるのです。そうすれば良い行動が必ず増えていきます。

まとめ

子どもを産んだときは「元気でいてくれさえすれば、それで十分」とあなたも高望みをしたり、期待値を上げてはいなかったはずです。それがいつしか他人の子や兄弟姉妹と比較する“比べる病”にかかってしまい、子どものことを否定ばかりしていないでしょうか?

いつも子どもが悪い行動をしたときだけ、ガミガミと叱っているママさん達へ。今一度、この事件で自分の子育ての姿勢を振り返ってみてはいかがでしょうか。

そして、究極、そして「元気に生きているだけでそれで十分」と思ってみてはどうでしょうか?