コンビニも24時間営業をやめるべき? 知られざる「深夜作業」の実態
コンビニ業界に詳しいライターの日比谷新太さんが、業界の裏事情を徹底レポートする当シリーズ。前回の「ガム」にまつわる話題に続き、今回取り上げるのはコンビニの深夜営業に関するお話。このところ外食産業では、24時間営業を止めたりする動きがチラホラと出てきていますが、コンビニの深夜営業は一体どのような状況になっているのでしょうか。
コンビニの24時間営業は見直すべき?
コンビニエンスストアといえば、24時間営業が当たり前。急に小腹がすいたときや、なんとなく眠れないときなどに、真夜中のコンビニにふらりと寄られたことがある方は多いと思います。
ところが、そんなコンビニの深夜営業も、最近では見直すべきではないかという意見も出てきています。主な理由としては「アルバイトが集まらない」「人件費が高騰している」「そもそもお客さんが来ない」などが挙げられます。
確かにお昼時などと比べれば、お客さんはぐっと減る深夜のコンビニ。とはいえ店舗のほうも、ただ単に暇を持て余しているわけではありません。一体どのような作業をしているのでしょうか?
コンビニの深夜に行われている作業とは
深夜勤務シフトは、大半の店舗で22時〜6時となっています。22時に勤務を開始し、レジ作業を行いながら、商品在庫整理などを始めます。24時ぐらいまではお客さんが来店しているので、最後の売り上げを稼ぐ作業を続け、終電などで帰ってきた通勤客の来店が終わる時間帯に突入すると、以下のような深夜作業を本格的に始めます。
(1)雑誌返本作業
雑誌納品は深夜2時・3時頃にあります。雑誌納品時には、前日までの販売期限切れの雑誌を売場から下げて段ボール詰めをして、配達作業員に渡す必要があります。そのため、その日に返本すべき雑誌をピックアップする必要が生じます。
具体的には返本予定リストを印刷し、リストに掲載されている雑誌を売場から探し出すという作業なんですが、これが意外に手間取るのです。というのも、立ち読みしたお客さんが、最初に陳列されていた場所に戻してくれるとは限らないからです。
というわけで、店員さんは「この辺りにあるはず」と考えて、売場をくまなく確認するのですが、これがなかなか見つからないのです。返本雑誌を全て探し出すことに成功すると、何とも言えない達成感に包まれるといいます。
(2)床清掃
店内にお客さんがいなくなると床清掃を始めますが、この作業も最近の店舗でほとんど必要なくなりました。というのも床素材が進化し、大半の店舗でセラミックス製のものが導入されたためです。セラミックス製の床の場合、家庭で使用するクイックルワイパーのような清掃用具で埃を集めるだけで、あらかたキレイになります。
いっぽう、昔ながらのPタイルの店舗では、まだ床清掃が必要です。ポリッシャーマシンを使い、床のワックスを磨く作業を行います。
(3)菓子等の品出し
深夜時間帯になると、「お菓子」「カップラーメン」といったドライ系商品が納品されます(おおよそ週に2〜3回)。店内にお客さんも少ないので、段ボールを店内の通路にドンドン開け、商品をゴンドラに詰めていきます。商品を陳列する際には、先入れ先出し(古い商品を前になるように)で行います。
(4)おでん等のレジ周り清掃
レジ上に展開されているカウンター商品の清掃も、主に深夜帯に行う作業。販売什器に残っている在庫を廃棄処理した後に、中華まん什器からは蒸気を発生させるための水を抜き、陳列棚を全て取り外して洗います。同様におでんも、全ての鍋・木枠・過熱機を取り外して、掃除・水洗いを行います。
(5)商品廃棄
おにぎり・弁当などは、昼時間帯も販売期間を過ぎた商品を廃棄していますが、深夜時間帯には、これらのFF(ファストフード)商材に加えて、「調味料」や「珍味」といった比較的販売期間が長い商品に関しても、販売期間のチェックを行います。もし販売期限切れの商品があれば、廃棄を行います。
これらの作業に没頭しながら、少ないながらお客さんも来店しますので、その対応も同時にこなしていかないといけません。
このように、お客さんがあまり来ない真夜中のコンビニですが、そんな時間帯にしかできない作業が実は山のようにあるのです。一見すると非効率的にみえるコンビニの深夜営業も、実は大いに意味があるのです。
image by:Takamex / Shutterstock.com
文/日比谷 新太(ひびや・あらた)
日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp
出典元:まぐまぐニュース!