日本と中国が受注を競ったインドネシア・ジャワ島の高速鉄道において、事業費の全額融資やインドネシア政府の債務保証を求めないという破格の提案で中国が受注を勝ち取ったのは記憶に新しい。(イメージ写真提供:123RF)

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 日本と中国が受注を競ったインドネシア・ジャワ島の高速鉄道において、事業費の全額融資やインドネシア政府の債務保証を求めないという破格の提案で中国が受注を勝ち取ったのは記憶に新しい。

 だが、中国メディアの中国新聞社はこのほど、インドネシア最大の全国紙Kompasの報道を引用し、インドネシア国営企業省の関係者の話として、インドネシア政府が中国が提案した事業案を採用した背景には「日本が提出した事業案の内容に異議があったため」と述べたことを紹介した。

 記事は、インドネシア政府の高官が公式の場で日本の事業案を「拒絶」した理由を述べたのは今回が初めてだと紹介。インドネシア政府が中国案を採用した背景には、政府の債務保証を求めないといった中国側の破格の提案とは無関係に、「日本の案に問題があったため」との見方を示した。

 続けて、インドネシア政府高官の見解として、インドネシア政府が日本の案を拒絶した理由は2つあるとし、1つは「投資主体がインドネシア政府であること」だったと紹介。投資主体がインドネシア政府であるということは、建設資金はインドネシア政府の持ち出しであることを意味すると指摘した。2つ目は「インドネシア政府にプロジェクトに必要となる融資の担保供与を求めたこと」であったとし、ジャワ島以外のインフラ整備に予算を投下したかったインドネシア政府と日本の事業案は思惑が一致しなかったと論じた。つまり、中国側が提示した条件は、日本が提示した条件に対してまさにインドネシア政府が難色を示した箇所を改善させた内容であり、インドネシア政府にとっては最高の提案だったということだ。

 また記事は、ジャワ島の高速鉄道計画において、インドネシア政府はあくまでも出資は行わないとしたうえで、事業主体となる中国とインドネシアの合弁企業は運賃収入のほか、駅周辺の商業開発によって得た収入で中国側からの借入金を返済していくと報じている。すでに起工式も行われたジャワ島の高速鉄道計画だが、中国側が提出した書類には不備が多々存在していたとの報道もあり、果たして予定どおりに計画が進むのか、進捗を注視したい。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)