南シナ海を舞台とする米中の対立がエスカレートしている。10日には米戦略爆撃機のB−52が、中国が実効支配する人工島から2海里の距離にまで接近した。海軍三大艦隊である北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊のすべてを投入して軍事演習を実施した。(イメージ写真提供:(C)jamesh77/123RF.COM)

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 南シナ海を舞台とする米中の対立がエスカレートしている。10日には米戦略爆撃機のB-52が、中国が実効支配する人工島から2海里の距離にまで接近した。海軍三大艦隊である北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊のすべてを投入して軍事演習を実施した。

 10日未明のB-52の航行について、米国側は原因を「悪天候のため」と説明。領有権に「過度な主張」を牽制するための「航行の自由権」の行使ではなかったという。

 しかし、中国側は猛反発した。王毅外相は訪問先のベルリンで、南シナ海の問題で「域外国家が風をあおり、火をつけるべきでない」と米国を批判。中国など関係国の努力で南シナ海は「全体的な安定」を保っているとして、米国が常態的に南シナ海で軍用機を飛行させていることを批判した。

 一方で、中国メディアの観察者網によると、中国側は南シナ海で、海軍三大艦隊である北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊のすべてを投入する演習を実施した。

 北海艦隊と南海艦隊が同演習に派遣した通常動力潜水艦、ミサイル駆逐艦、ミサイル護衛艦からなる部隊を「レッド」、東海艦隊の「ブルー」部隊は対潜水艦戦と防空戦を想定して対峙した。さながら実戦の「真に迫った」演習で、損害を受けた潜水艦に対する救助や、相手側船舶の拿捕の演習も行ったという。

 「レッド」部隊の司令官を務めた空母「遼寧」の艦長である李暁岩大佐によると「時間は短かったが、前例のない激烈な対抗演習だった」と説明したという。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)jamesh77/123RF.COM)