胸のすくような勝利ではなかった。6分というひと際長いロスタイムが終わりを告げた瞬間、第1戦に続いてテクニカルエリアで立ちっぱなしだったザッケローニ監督は右手の拳を突き上げた。しかし、僕自身は歓喜や興奮ではなく安堵に包まれていた。スリリングな攻防となった何よりの理由は、もちろん、川島の退場にある。副審の旗はオフサイドを示していたから、不運だったのは間違いない。ただ、微妙なPKを与えた主審がしばしばそ