ロマンティック世界遺産/パイインターナショナル

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「もう仕事のことなんか忘れてしまいたい……」などとやさぐれた気分の時には旅行に出かけたくなるものですが、思いついたらすぐ実行! とはいきませんよね。疲れたり、悩んだりしていなくても遠くへ出かけてリフレッシュしたい時もあります。実際に行けなくても、少しでも旅気分を味わって気分転換したいと思い『ロマンティック世界遺産』という写真集を手にとってみました。

この写真集はその名のごとく、ロマンティックな世界遺産が集められています。といっても、美しい風景であったり、恋愛映画や世界中で有名な物語の舞台となった場所であったり、かわいらしい建物であったりと、ときめくポイントはさまざま。

“ロマンティック”をテーマにした世界遺産の本はめずらしいと思い編集担当・及川さんにお話を伺ってみました。
「世界遺産をテーマにした書籍は多数出ているので、他と違った切り口で本を作りたいと思いました。人が世界遺産を訪ねる時、その場所に何を求めるのか……と、考えた時に、いにしえの愛の物語だったり、ロマンのある逸話だったり……どこかロマンティックに感じる情景に思いを馳せることが多いのでは? と感じました。そうやって、まず、タイトルが浮かびました」

ページをめくるたびに、普段写真を撮らない私が「かわいい街! 写真を撮りたい!」「きれいな風景! ここも写真を撮りたい!」と思ってしまったほど、心ときめく場所ばかり。掲載されている写真が本当に美しいのでこんな風に思ってしまうのかもしれません。

そんな素敵な世界遺産が50ほど紹介されていますが、選んだ決め手は何だったのでしょう。
「もともとヨーロッパを旅するのが大好きで、ある程度の場所を訪れたことがありました。実際に自分が見てロマンティックだなぁ……と、感じたところを中心にまとめ、社内でアンケートを取り、票数の多い場所を掲載しました」

実際に訪れたことのある及川さんが選んだ場所なら行ってみる価値がありそうだなあと、再び写真集を眺めると、「チンクエ・テッレ(イタリア)やテルチ歴史地区(チェコ)などカラフルな町並みが好きなのかも」と自分の好みを新たに発見できました。
では、旅好きの及川さんが好きな世界遺産はどこでしょう。
「チャイコフスキーが周囲を散策しながら『白鳥の湖』の構想を練ったというノヴォデヴィチ修道院群(ロシア)を散策してみたいですね。時を超えて、偉人が歩いた場所を昔と同じように歩けるなんてロマンティックではありませんか? それと、オルチャ渓谷(イタリア)のうっとりするような風景を眺めながら、ジョギングしてみたいです」

そう聞いて、三度写真集を眺めては「なるほど。100年以上も前にチャイコフスキーが歩いた場所を歩くってなんだかすごい気がするな」「オルチャ渓谷でジョギングなんて気持ちよさそう! サイクリングもいいかも」と及川さんのコメントにうなずき、「待てよ、歩くならオーストリアのハルシュタルトも気持ちよさそうだ」と、行きたいところが増えてしまいました。

と、個人的には旅行シミレーションをして楽しんでいますが、この写真集の楽しみ方も聞いてみました。
「本書は、旅行に行く前の旅気分を高めたり、実際に行った気になることができる写真集です。写真の色の再現性にも力を入れていますので、寝る前に眺めるだけでリラックスできますよ。また、以前、読者の方からお聞きしたのですが、入院しているご友人にプレゼントしたら、とても喜ばれたそうです。訪れることはむずかしいけれど、写真集を眺めていたら気持ちが晴れ渡ったと……。すごくありがたいメッセージだと思いました」
そうです。確かにこの写真集には癒されてしまいます。美しいものを見ると元気になってしまうものですね。

イタリアの『ロミオとジュリエット』の舞台となったヴェローナや人気映画の舞台になったアマルフィ。オランダにある風車群。フランス・パリのセーヌ河岸から眺める夜景。世界各地のお城や宮殿、修道院。あなたはどの世界遺産にときめきますか?
(上村逸美/boox)