テーマが衝撃的だ。

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「水回りをキレイにするとお金が貯まる」と聞いて以来、その周辺の掃除は怠らないようにしています。特に、トイレ。かの北野武が「毎日、トイレ掃除をしている」なんて言ってたらしく、そんなエピソードを知ってしまった日には……。
とは言いつつ、トイレ自体のことをわれわれは知っているようで未だよくわかってません。

そこで、朗報! あらゆる側面で私たちの“生”に関わっている「トイレ」を掘り下げるイベントが、日本科学未来館にて開催されるようです。その名は、企画展「トイレ? 行っトイレ!〜ボクらのうんちと地球のみらい」。
「うんちの匂いや形」など身近な話題に始まり、「排泄物から地球環境の問題」といったテーマまで、あらゆる方向からトイレを学んでいくという内容になっているそう。

では、この企画展の内容について追っていきましょうか。まず会場に入ると、いきなりトイレが鎮座している模様。
「LIXILさんにご提供いただいた“日本最先端のトイレ”です。『なんで、トイレがこんなにうやうやしくあるの?』という状況ではあるんですけど(笑)。実際、トイレ一つ作るにも『目立たない』、そして『いつも清潔である』という気配りのもとに作られています」(担当者)
確かにトイレって、そこまで押しが強くない。だって、トイレ室は一人でホッと安らげる場所でもあるのだし。でもよく見ると、あちこちが複雑な形状をしてたり、少ない水でしっかり流す工夫が施されていたり。いい機会ですから、そんなトイレにしっかり向き合ってくださいコーナーです。

そのまま歩を進めると、「プロローグ」コーナーへとたどり着く。テーマは「もしもトイレがしゃべれたら……」。
「ここは、放送作家の鈴木おさむさんにご担当いただきました。何か言いたいことが、トイレにあるみたいです(笑)」(担当者)
えっ!? 何を言いたいのだろう。気になるなぁ……。ちなみにプロローグのみならずエピローグも、鈴木おさむさんが担当しているらしい。トイレに感謝したくなり、同時にクスっと笑ってしまうような曲と演出を施してくれているようです。その辺にも、期待!

さあ、ここからが本番。プロローグを過ぎると、エリア1「今日どんなうんち出た?」に到着します。
「うんちをしっかり見ることにより、健康状態がわかる。だから、うんちから目をそらさないことが大事なんだよ。……がテーマのエリアです」(担当者)
でも、いきなり他人のうんちは見たくないなぁ。そこで今回は、上野動物園から提供される動物(9種類)のうんちが展示されます。
「例えば、ウサギは自分のうんちを食べるんですね。あるいは、ほぼ原型で出てくる動物(パンダ、ゾウ)もいます。反芻したり何もしなかったり、それらによってこんなにうんちに違いが出てくるっていうことを見てもらおうと思っています」(担当者)

さて続いては、エリア2「きみはトイレで何してる?」。ここでは、いろんなトイレが展示されるようです。例えば、“ゲームするトイレ”なんてものもある。
「セガが開発した『トイレッツ』(男性用トイレ)は、小便器の上にセンサーを付いており、おしっこの勢いでキャラクターが動きゲームをします。例えば、前にした人のおしっこの量と対戦できたり、そういうトイレです(笑)。間期中は会場脇の男性用トイレに導入されるので、男性の皆さんは是非楽しんでください」(担当者)
他に、こんなトイレもあるらしい。
「今、一部の保育園で“仕切りのないトイレ”が試験的に使われているんですね。子ども同士で、お喋りしながらおしっこしています」(担当者)
トイレを閉鎖してしまうと、「保育士さんが見づらい」という問題が出てくる。しかし仕切りをなくせば、今度は「子どもが緊張しないでいつでもトイレに行ける空間が作れる」というメリットが生まれます。
「トイレトレーニングが始まったばかりの子って、周りの様子を見ながら刺激を受けるんです。『あの子、ちゃんと拭いてる』とか『ちゃんと座ってる』とか」(担当者)
友だちがお手本になるし、コミュニケーションが生まれるし。このトイレで育てば、われわれが思春期に悩まされた“トイレ行けない問題”がなくなるかもしれない!?

さて、個人的にエリア3はオススメ! テーマは「うんちはどこへ行くんだろう?」。いわば、体験コーナーです。
「ここは、下水処理場の話です。目玉は、巨大トイレ。うんちの帽子を被って、すべり台からトイレの中に滑り込むという体験ができます。奥はトンネル状になっていて(微生物がいっぱいいる空間)、そこで下水処理のことが学べます」(担当者)
うんちをどうやって処理しているのか? 自分がうんちになったつもりで下水を通過していき、自ずと学べるという仕組みになっているようです。……っていうか、うんちの疑似体験じゃないですか!

エリア4のテーマは、「宇宙のトイレは未来のトイレ?」。
いきなり仰々しいテーマですけど、内容も仰々しいです。今、例えば人間が月へ行こうとすると、生活に必要なもの(水、食料など)をロケットに積む必要がありますよね。それらを消費しながら目的地まで行き、消費しながら戻ってくる。
しかし。火星へ行く場合は片道で半年かかるので、全ての食料・水を持っていくのは大変。そうすると宇宙船の中でうんちを利用し、畑を作って、ものを食べて……というシステムを作らなければならない。
「その研究を実際にやっている団体があるので、監修をお願いし、仮想の“宇宙トイレ”を作りました。それを展示します」(担当者)

だがその前に解決しなきゃいけない問題が、地球上にも山ほどある……。というわけで、エリア5「みんなが幸せになれるトイレって?」へ突入! ここでのテーマは、「個人のトイレ」「世界のトイレ」「震災のトイレ」の3本柱です。
「『個人のトイレ』は、赤ちゃんからお年寄りまでの排泄に関する問題を全部ピックアップします。年をとると、足腰が弱ったり、おしっこが漏れやすくなったり、誰もがトイレに行きづらくなる。それは老化現象で、しょうがないですよね。にもかかわらず、誰にも言えず悩んでる人がいる。でも実際、いろんなケア法があるんですよ」(担当者)
というわけで寝たきりのお年寄り・尿漏れに悩む人たちのためのトイレが、このエリアでは紹介されます。例えば、こういうのを。お尻も乾かしてくれ、うんちもおしっこも吸い取ってくれ、快適を保ってくれるトイレがあるらしいのです。
「また『世界のトイレ』では、発展途上国でのトイレ問題を取り上げます」(担当者)
どういうトイレがあるのか? 例えば、アフリカにあるスラム街・キベラでは「フライングトイレ」というものがあるらしい。
「ビニール袋に用を足し、ポイって投げる。それが『フライングトイレ』です」(担当者)
投げ捨てられたビニール袋からは汚物が漏れ、しかもその合間を縫って子どもたちが遊ぶという状況……。結果、乳幼児の死亡率は非常に高く、平均寿命も下がります。この見逃せない問題を解決すべく、今、新たなトイレが開発されたらしい!
「ビニール袋の中に、おしっこやうんちを無害化する薬品を入れておくんです。ビニール袋自体も土に埋めると溶ける素材で作っており、そこにうんちをしてもらう。それを畑に埋めると、肥料になります」(担当者)
今までは、街に投げ捨ててるのが問題だった。しかし、それを解決する仕組みができ始めている。もちろん、企画展で紹介されます。

さて、広く深く「トイレ」を学ぶことのできる、今回の企画展。話を聞くと、テーマは意外とシリアスでした。……が、あくまで子どもたちに楽しんでもらえるよう、可愛らしい形で準備されている模様。
「世界の人口は約70億人ですが、その1/3以上の25億人がトイレの無い暮らしを送っています。しかもトイレが無いことで、他国の子どもたちは命の危険にさらされている。来館する子どもたちにとっても衝撃的な話だと思うので、何かしらを掴んで帰ってもらえると嬉しいですね」(担当者)

開催期間は7月2日〜10月5日。難しいだけでなく……どころか“楽しさ”優先で学べる内容になっているようで、どうか構えないでください。
うんちの帽子をかぶって、巨大トイレのすべり台を滑ってみたいと思いませんか!?
(寺西ジャジューカ)