オープン初日のセンター前には長蛇の列が!

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ポケモンは万能だ。フランスで友人のホームパーティーに招かれた時、その場に小さな子供がいたら、まずポケモンの話題を出すようにしている。日本の子供たちとでさえ、なかなか共通の話題を見つけられない私にとって、海外の子供たちとのそれは、なおさら難しい。しかしポケモンをきっかけにすれば、彼らの仲間に入れてもらえる。

ポケモンは日本だけでなく、今や欧州でもよく知られた存在だ。フランスでもピカチュウは子供たちに愛されるマスコットになっている。そんなパリに、6月4日から21日までの期間限定で、ポケモンセンターがオープンした。なぜ欧州初のポケモンセンターにパリが選ばれたのか。

「ポケモン」のプロデュースを行う会社「株式会社ポケモン」によれば、ゲームソフト『ポケットモンスター』シリーズ最新作の『ポケットモンスター X・Y』の舞台モチーフが、フランスだからだそうだ。ちなみにパリのセンターは、日本国内のようなグッズを売る直営店としたセンターではなく(ただし小規模な物販スペースはある)、アートイラストの展示などによって、ゲームの世界観を、ファンにより深く楽しんでもらうこと目的としたイベントだ。

オープン当日の会場もすごかった。朝10時半の開店前には、すでに100メートルほどの列ができ、パリのポケモン・ファンの期待の高さを表していた。客層は主に高校生で、なかにはピカチュウの着ぐるみや、サトシ、ジョーイの格好をした人もいる。気合いは十分だ。入場制限が行われたため、オープン後も列はなかなか進まず、並び始めてから入場できるまで約1時間半かかった。

センター内は、地上階にグッズの販売や、最新のポケモンゲームを遊べるスペースが設けられている。やはり一番人気はピカチュウ! レジに並ぶ人の多くも腕にピカチュウを抱えていた。ぬいぐるみが置かれた棚には「1人3つまで」と注意書きもされていた。

地下は未公開のものを含む、イラストなどを展示するギャラリーだ。写真撮影はOK。来場者はイラスト1つ1つを、ニンテンドー3DSのカメラで撮っていた。

とにかく欧州でこれだけ充実したものは他になく、訪れた人々も楽しそう。これならいっそのこと、期間限定ではなく、ちゃんとしたセンターを作ってしまえばいいのに(!)と思うのだが、株式会社ポケモンによれば「パリへの店舗展開の予定はないです」とのこと。残念……!

ちなみに最新作である『ポケットモンスター X・Y』は、7言語(英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語)から好きな言葉を選んで遊べる。まさに世界標準! 入場待ちをしている人たちも「英語で設定しているの?」「うん、米国人だから」とフランス語で会話しながらポケモンをしている。世界でのポケモンの存在感を、まざまざと感じさせたパリのポケモンセンターだった。
(加藤亨延)