ガンバ大阪の宇佐美貴史 (撮影:二宮渉/フォート・キシモト)

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今年J1に昇格した関西の2チーム、神戸とG大阪は今明暗が分かれています。神戸が首位争いに絡んでいるのに対し、G大阪はなかなか浮上できず苦しんでいます。

ですが、僕はG大阪の戦いぶりを見ている限りあまり心配していません。たとえば第9節で、今Jリーグではもっともバランスがいい川崎を相手にしても、G大阪はうまくパスを回し攻め込んでいました。結果こそ敗戦でしたが、個々の技術はしっかりしているし、攻撃的な素晴らしい戦いを見せていると思います。

問題は遠藤保仁をFWとして使わざるを得ないという攻撃陣の層の薄さ。遠藤もワールドカップを前に本来のボランチで感覚を作っておきたいでしょうが、そこは経験豊富な選手。今の状態でも与えられたポジションをこなしながら、中盤でもプレーしています。遠藤については何ら心配することがないと思っています。

ではG大阪に、頼れるストライカーが来れば、上位浮上は間違いないのか。僕はそう思います。そのG大阪の問題点を一気に解決するかもしれないのが、2月に左腓骨筋腱脱臼で離脱していた宇佐美貴史の復帰でした。川崎戦、柏戦と途中交代でピッチに入ると宇佐美はたちまち試合のリズムを変えました。さらに宇佐美がトップに入れば遠藤はボランチの位置に下がり、自在に配球することができます。G大阪の強さは一気に回復することでしょう。

さて、その宇佐美が12日に発表されるザック・ジャパンのサプライズになるでしょうか。もし負傷がなく、シーズン頭から活躍していたら、僕はぜひ代表メンバーに入ってほしい選手でした。

ザッケローニ監督のこれまでの慎重なメンバー選びを考えると、難しいというのが本当でしょう。ですがまだ時間は残っています。宇佐美にはぜひ自分の力を全部発揮してほしいと思います。

そしてもし今回選ばれなくても、宇佐美は5月6日で22歳と、まだ活躍できる時間がたっぷり残っています。前回、香川真司が南アフリカワールドカップのメンバーに選ばれず悔しい思いをしました。今、努力しておくことが選ばれるかどうかに関わらず、将来のためになります。そのためにも、宇佐美には頑張ってほしい。心からそう思います。