批判への答えはマジックだったのか ／ザックJAPAN・オランダ戦
試合前、日本サポーターが陣取ったゴール裏には、「結果を出している国内組より結果・出場していない海外組の方が大事？ ZACさん海外が全て?」という横断幕があった。
所属クラブで出番に恵まれない長谷部や香川のコンディションを上げるため、代表ではスタメンで起用し続けた。代表での活動期間は限られるため、彼ら以外にもメンバーを固定した。指揮官からすればコンビネーションの熟成を図りたかったのだろうが、それが海外組重視と見えた。ベンチワークでも動きが遅く、効果的な選手交代も少なかった。
しかし、山口がアンカーに入ったことで長谷部の攻撃力が復活した。44分に岡崎のパスカットからショートカウンターを仕掛け、長谷部がドリブル突破でマークを引きつけることで大迫のゴールを演出する。さらに後半から遠藤と香川を送り込む、これまでにない早めの交代策を敢行した。
すると、これまでパスを選択することの多かった香川が果敢にドリブルを仕掛け、遠藤も高い位置でプレーしてオランダにプレッシャーを掛ける。60分には遠藤のサイドチェンジから内田、岡崎、本田、大迫が絡むコンビプレーで同点弾。その後も、いつもなら守備固めに入るところだが、両サイドDFと1トップを入れ替えて攻撃重視の姿勢を強めた。
はたしてこれは“ザックの魔法”だったのか。
選手交代の理由をザッケローニ監督は「火曜にベルギー戦があるので、仕掛けた選手はローテーションを考えた」と説明した。そう、別にマジックでも何でもない。常識的な采配を実行しただけだ。これまで硬直的でワンパターンだった采配に、やっと柔軟性が見られた。それがオランダ戦の一番の収穫である。そしてもったいなかったのは、初勝利という“果実”をもぎ取り損ねたことだろう。
▼ゴール裏に「結果を出している国内組より結果・出場していない海外組の方が大事？ ZACさん海外が全て?」という横断幕があった
※撮影は、岸本勉（PICSPORT）。
関連情報（BiZ PAGE＋）
サッカージャーナル編集部によるオリジナル記事。インタビューや特別起稿など、ここでしか読めない情報をお届けします。
