東北だけでなく、ネット上も盛り上がった楽天の優勝。史上最大級のセールが成功に終わり、社員はホクホク?

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ある楽天社員(30代)がホクホク顔で振り返る。

「すぐに回復して事なきを得ましたが、セール開始直後にアクセスが殺到してページが重くなるトラブルが発生するなど、予想以上の反響でした。10月の一日の平均売り上げは約40億円。それがセール期間中は約200億円。5倍ですよ、5倍!」

第7戦までもつれこんだ巨人との激闘を制し、球団創設9年目で初の日本一に輝いた東北楽天。

親会社の楽天が運営する通販サイト「楽天市場」では、ネットの利点を生かし、優勝決定直後の11月3日午後10時頃から「楽天日本一大セール」をスタート。

このセール、パ・リーグ優勝決定時のセールを上回る「過去最大級」というフレコミどおり、楽天市場の2万8000店以上もの店舗が参加、約10万点の商品が売りに出された。

目玉商品は、ホンダの乗用車フィットやロレックスの腕時計、シャンパンのドンペリといった高額商品で、星野仙一監督の背番号77にちなんだ77%引きという大盤振る舞い。さらに、最短30分更新の「楽天市場最安値に挑戦アイテム」など各種セールも実施するなどして、話題を呼んだ。

実はこの優勝セール、前出の楽天社員によれば、パ・リーグ優勝決定後、つまり1ヵ月も前から準備が進められていたとか。

なかでも多忙を極めたのが、ECC(イーコマースコンサルタント)と呼ばれる、楽天市場に出店している店舗をサポートする社員たち。

「非常にタイトなスケジュールで約4万店に協力を呼びかけたので、われわれはもちろん、ご協力いただいた店舗さんの負担も大きかったと思います。半額商品集めなどのノルマもあり、毎週のように休日出勤とまではいきませんでしたが、店舗さんとの打ち合わせや資料作り、目玉商品の登録など膨大な量の作業をこなさなければならず、深夜までの残業が続きました」(20代の女性社員)

普段の5倍の売り上げを叩き出したとはいえ、そんな重たいノルマを課せられていたとなると、社員たちには同情しそうになる。ところが……。

「正直、巨人ファンなんですけど、入社1年目で初優勝という歴史的瞬間に立ち会えた。当たり年!」(新卒の男性社員)

「野球なんて興味なかったけど、入社してよかった。貴重な体験をありがとうって感じです」(入社3年目の女性社員)

「同世代の選手が頑張って日本一になったので、次は僕らが日本、世界を“エンパワーメント”する番です」(20代の男性社員)

なんと、不満の声はゼロ。

「優勝のかかった第6戦、第7戦は土日で社休日だったのですが、社員はもちろん、家族、知人らにも声をかけ、大勢で社内テレビ観戦。会社側から応援グッズやビールも配られ、最高に盛り上がりましたよ。優勝が決まった瞬間? 誰彼構わず抱き合うお祭り状態。こぼれたビールでフロアの床はびしょびしょでした(笑)」(20代の男性社員)

選手よりひと足先にビールかけ? 社員たちは初優勝に向け、一丸となっていた様子。

ちなみに、今回のセールについて、一部ユーザーからは「目玉商品はどれも一瞬で売り切れて買えない」「そんなに安くなっていない商品が多い」とのブーイングも聞かれ、その後、割引率の過大演出という不当表示問題も発覚したのだが、前出の20代の女性社員はこう話す。

「ネットで叩かれている割に、社内ではあんまり反応ないですね。売り上げがよかったから気にしていないんだと思います(苦笑)」

日本シリーズはもちろん、優勝記念セールでも楽天大勝利、ということか。

(写真/益田佑一)