日大高vs桐光学園 攻撃スタイルの日大高、桐光学園も破り、5年ぶりの関東大会進出!
先制打を放つ恩地(桐光学園)
今年の神奈川は右側が激戦といわれている。ざっと名前を挙げれば、横浜、東海大相模、慶應義塾、桐蔭学園、横浜隼人、平塚学園と錚々たる学校ばかりだ。左側が楽かというとそんなことはなく、日大高も茅ケ崎西浜、柏陽と実力ある公立を破る、準々決勝では武相を破り、一気に4強に進出した。対するは桐光学園。昨年から出場する選手が残り、しっかりとした野球ができる好チームで、強敵である。先制したのは桐光学園で、1回裏、桐光学園は一死一、二塁から5番恩地の左前適時打で1点を先制する。
先発の中村雅。背番号24を付けた投手で、右サイドから125キロ前後ぐらいだと思うが、スライダーをコーナーへ散らせて打たせて取る。突出した武器はないが、試合をまとめられる能力があり、こういう投手がいるのはなかなか心強いと思う。
3回表、日大高は立ち上がりから調子が上がらない桐光学園の先発・山田 将士を責め立てる。二死一塁から5番山梨の左前安打で二死一、二塁、6番竹村に死球で二死満塁。そして7番中村雅の押し出し四球で1対1の同点となり、投手交代。
二番手に右腕の佐々木。山田はレフトへ入る。
打席に入った8番川口 諒太(1年)は代わり端の初球を捉え、打球はレフトスタンドへ飛び込む逆転満塁ホームランとなり、日大高が5対1と逆転。8番打者なのに、なぜこんな思い切りがよく、長打力のある打者が控えていると思ったら、彼は4番を打っている試合もある、まるで猫の目のように変わる打線ということで、下位でも安心できない布陣ということなのだろう。
その裏、桐光学園は武が左中間を破る三塁打。そして2番根本の内野ゴロの間に1点を返す。
4回表、日大高は二死二塁から4番越智の左前適時打で1点を追加し、6対2に。日大高は5回途中から左腕の則竹が登板。則竹は夏の湘南工大付戦で一度見たことがあるが、角度ある投球フォームから振り下ろす直球が魅力な左腕と記憶にとどめたが、この日も角度ある直球を両サイドへ散らせ、スライダー、カーブを投げ分けていきながらテンポの良い投球を見せている。
6回裏に内野ゴロの間に1点を返されるが、要所を締める。ここまで日大高は桐光学園に堂々とした戦いを見せていた。
勝利を決めた川口(日大高)
7回表、追加点を入れたい日大高は3番越智が左前安打を放つ、5番山梨は犠打で一死二塁。6番竹村は一ゴロで二死三塁。7番則武が右前安打を放ち、1点を追加し、7対3とする。
8回裏、5番恩地は中前安打、6番重村 健太が直球を捉え右前安打。7番林は左前安打を打ち、満塁になったところで、則竹は交代。サードの川口が投手に入る。川口が右サイドからなかなか力強い速球を見せている。マウンド度胸も強く、ビシバシと速球で押していく。桐光学園は7番中村が速球を打ち返し、右犠飛。なおも一死一、二塁。9番竹中は中飛。1番武 拓人が左前適時打を放ち、7対5の2点差。2番根本は中飛に打ち取り、9回へ。
9回表、三者凡退に終わり、その裏。3番田中 幸城は遊撃手を襲うイレギュラー安打。4番坂本 憲吾は三ゴロで一死二塁。5番恩地は中飛で二死二塁。6番重村は投手強襲安打で二死一、三塁。そして7番林を直球で空振り三振! 川口はその瞬間、後方を向いて大きくガッツポーズ。選手たちは大きく喜びを見せて整列に加わった。
日大高。準決勝に勝ち進んだ3チームと比べると粗削りなところはあるのだが、守りに入らず、イケイケの攻撃スタイルの野球をするため、油断すると足元掬われる。そういう積極性が満塁ホームランを生み出したと思うし、そういう野球は関東大会でもぜひ発揮してほしいと思う。1年生が多く、なかなかポテンシャル自体は高く、関東大会までの1か月でどれだけ伸びるか楽しみ。
神奈川県民以外のファンは日大高は名前を知っていても、実際はどんなチームであるのかについてはにとってはあまり知らない方も多いと思う。見ていて思い切りがよく、エネルギッシュにあふれる好チームなので、ぜひ注目してほしい。
(文=河嶋 宗一)