習志野vs市立船橋 積極果敢な走・攻・守!習志野が攻撃的布陣で決勝戦へ!
同点打を放つ矢口(習志野)
秋季千葉県大会準決勝第2試合は、この大会、ここまで4試合で36得点と猛打で勝ち進んできた習志野と、エースの青野 善行を中心とした守備でこれまで無失点と鉄壁を誇る市立船橋という、今秋の千葉の「矛」と「盾」の対戦。注目の1戦は、好守連発、ロースコアのヒリヒリするようなせめぎあいとなった。
試合は初回から動いた。1回表、市立船橋1番・及川がヒットで出塁すると、2番・佐藤がバントで送り、いきなり先制のチャンスを迎える。ここで3番・六反の打球は高々と内野へ打ち上がる。打ち取った当たりだったが、ここで習志野のキャッチャーとピッチャーがお見合い。習志野守備陣まさかの乱れに、市立船橋が一死一、二塁とチャンスを広げる。続く4番・中島がキッチリとセンターへはじき返す4番の仕事を見せ、市立船橋が1点を先制をする。
その裏、市立船橋先発・青野は、エラーで1人ランナーを出すものの、3つのアウトすべてを三振でとるピッチングを見せ、スタンドを大いに沸かせる。 しかし、この1回の攻防でかかった時間は30分以上。習志野は、得点こそできなかったものの三振に打ち取られた各打者とも粘りに粘り、初回から好投手・青野を攻撃していく。
そして2回裏、習志野の攻撃。この回先頭の5番・野中がセンターを破る三塁打を放ち、チャンスメイク。続く6番・矢口が放った強烈な打球はファースト強襲のタイムリーとなり、習志野が早々に同点に追いつく。
さらに3回、習志野攻撃陣は、今度は足で稼ぐ。先頭の2番・國吉が四球を選び出塁。続く打者は倒れるものの、ここから國吉は大きなリードを取り、市立船橋バッテリーを揺さぶりにかかる。そして牽制を何度もされるなど、警戒される中、二塁への盗塁を敢行。送球が当たり逸れる間に一気に三塁へ。ここで4番・山本がセンターへ犠牲フライを放ち、ノーヒットで勝ち越しに成功。
4回には、またも先頭打者、6番・矢口がヒットで出塁し、これまたすかさず盗塁を決める。7番・石澤がツーストライクと追い込まれるもバントを決め、一死三塁。続く8番・石田の当たりは大きく伸びながらライトへ。長打と思われたが、市立船橋ライト・秋山が上手くキャッチ。抜かせはしなかったが、犠牲フライとなり習志野がまたも1点を追加した。
勝ち越しホームインに笑顔の國吉(習志野)
2回以降、やや精彩を欠いていたものの、グランド整備を終えた6回から、甦ったかのように好投を披露する青野に引っ張られ、市立船橋守備陣も好守を見せる。 この流れを攻撃にも持っていきたいところだったが、習志野は際どい当たりも積極的に取りに行く攻撃的な守備で、市立船橋のチャンスの芽を次々と摘んでいく。
結局、この2点差を守りきった習志野が、ひとまず関東大会出場を決めた。次に狙うは、千葉県制覇。7日に同じく千葉県野球場で行われる決勝戦でも走・攻・守に、積極果敢な姿勢を見せてくれることだろう。
一方、敗れた市立船橋だが、先発・青野のキレのある速球は、見るものをワクワクさせた。これから冬を越え、春、夏と成長が楽しみな投手の一人であることは間違いない。 だが、チームがしっかりと勝ち進むためには、もちろん青野一人の力では限界がある。市立船橋はチームとしての意思を持った攻撃面の強化が課題となってきそうだ。
決して打てないわけではない。ヒットの数は習志野が5本に対し、市立船橋が6本と上回っている。この試合は強打が好守にはばまれる場面も多かったが、一方で、簡単にフライを打ち上げてしまうシーンも目立った。ここぞ、という場面で簡単にアウトになる姿も見られた。今日の対戦相手、習志野がそうだったように、チームとしてのまとまった攻撃で相手を崩すことが可能になる。また、攻撃面での積極性や粘り、そこで得られた自信がさらなる好守を呼ぶ。守備ではいいものを既に持っているだけに、攻撃の強化は、ひいては守備の強化にもつながるはずだ。 いずれにせよ、伸びしろを感じさせられる楽しみなチーム。これからの鍛えっぷりに期待したい。
(文=編集部)