徳本健太朗(龍谷大平安)

京都注目の一戦!勝負を分けたビッグプレー!

今春の選抜大会に出場したチーム同士の対戦。この夏も準々決勝で激突し、京都翔英が制した。「夏はミスで負けた。何とか倍返ししたかった」と龍谷大平安・原田英彦監督が話すように、この日の試合は勝ちへの執念を見せて大勝。見事にリベンジを果たした。

3時間4分の重苦しい試合。結果的には、ミスがほとんどなかった龍谷大平安と、15与四死球や3失策などディフェンスが崩れた京都翔英という部分で勝敗が分かれた形だ。

投手も京都翔英が5人、龍谷大平安が3人登板するなど、まだまだ柱となる投手が確立されていない。だからこそ、失点に関しては両チームとも不安な要素があった。その中で勝負を左右する大きなプレーが3回にあった。

2回に3点を先制した龍谷大平安だが、相手のミスに乗じた得点であり、まだ波には乗れていなかった。3回裏、ヒットで走者を背負った先発の犬塚貴哉(2年)が、二死から四球を2つ与え満塁としてしまう。ここで原田監督は、犬塚に代えて背番号『18』の中田竜次(2年)をマウンドに送った。

代わりっぱな。京都翔英の4番玉田 琢磨(1年)がセンター前へと弾き返す。二者が生還し1点差に迫った京都翔英。しかし一塁走者の中村陽和(2年)が三塁へ向かうのを、センターの徳本健太朗(2年)が見逃さなかった。すぐに本塁返球をあきらめ、三塁へ送球。中村がタッチアウトになり、1点差に迫った京都翔英がその後の攻撃をすることなく、このイニングが終わった。

「長打警戒の深めの守備位置だったので、ホームへ投げるのは無理だと思って切り替えた。ランナーが三塁へ向かうのはしっかりと見えていました」としてやったりの徳本。京都翔英の太田弘昭監督も、「あれはランナーの暴走ではないです。センターが良く見ていた」と徳本の機転を讃えた。

この場面、代わりっぱなで1点差になり、さらに二死一、三塁と場面が続いていたならば、試合展開がまったくわからなくなっていた。それだけに『先を読んでいた』という徳本のビックプレーだったと言えるだろう。

そして勝負に繋がる“次の1点”も徳本のバットから挙げられている。5回、二死一塁から打席が回ってきた9番の徳本。1球目からセーフティバントの構えを見せるなど、京都翔英の守りの注意を十分に引きつけた。そして7球目、思い切ってスイングした打球がセンターの頭上へ。一塁走者が一気に本塁を駆け抜けた。

龍谷大平安の得点した4イニングの中で唯一四死球が絡まなかった5回の1点。それを守備でビッグプレーをした男のバットで挙げ、勝負を制した。

 

(文=編集部)