そして、最後の韓国戦。やはりザックは結果にこだわったと思う。もし韓国戦までに優勝の可能性が絶たれていたとしたら、もし結果よりも新戦力のテストの方を優先していたとしたら、おそらく韓国戦のGKには林を起用していたのではないだろうか。更には、良いパフォーマンスの選手をセレクトするのか、逆に、追試となるような選手をセレクトするのか、そこはわからないが、もし韓国戦までに優勝の可能性が絶たれいたとしたら、もし結果よりも新戦力のテストの方を優先していたとしたら、コンディションよりも第1戦と第2戦の選手を組み合わせたチームで韓国戦を戦ったのではないかと思う。しかし、手に入れられる可能性の高い栄冠をわざわざ捨てる必要は無いし、自分が目指しているチームの在り方で、このチームでもいいから勝利という結果を得たい、という事もあったと思うし、やはりザックは結果にこだわったと思う。

そして、またしてもまたしても、リードしておきながら同点に追い付かれる、という展開ではあったが、しかし、前2試合とは違う堅守を発揮して長い長い苦しい時間を耐え抜き、引き分けでもカードの枚数によって優勝できるという現実的な考え方もしっかりと持ち、結局はそういう粘り強さと冷静さがアディショナルタイムに得点を奪って勝利、優勝、という結果へと導いたのであるから、おそらくザックとしては至極ご満悦だったのではないかと思う。「このメンバーからすぐに代表に呼ばれる選手もいるだろうし、将来的に代表に入る選手もいると思う」と試合後すぐのインタビューで語ったザックだが、このメンバーからすぐに代表に呼ばれる選手もいる、という発言は、ある意味では饒舌になりすぎてしまったのではないかと思うし、やはりそれだけ喜びが大きかったのだと思う。

最後に、個人的に今回のメンバーの事でとても高く評価したいのは、個の力をチームへと落とす、個の力を個のアピールのためではなくチームを勝たせるために使う、そういう考え方を全員が持ってプレーしていた事で、「個としてのアピールよりも、チームを良い結果へと導いたという実績。そして、チームを良い結果へと導いたという実績こそが、個としての最大のアピールとなる」と私は大会前のエントリーで書いたが、それをそのまま実行し、更には、優勝という結果まで出してくれた事に、個人的には、日本人選手のサッカーセンスのポテンシャルの可能性の高さを感じた。そしてまた、そうであった事で、ザックが今大会のメンバーから選手を招集しやすくなったのではないかと思う。チームのために働ける事、チームを良い結果へと導ける事、そういう実績が何よりも重要で、やはりそれに勝るアピールは無いのではないだろうか。